2010.8/16_岡山・山陰旅(2)【廃墟】津山プラザホテル(後編)
ホテル2階へと潜入。
どこの廃墟も抱えている問題だと思うが、「できる限り人の手の入っていない自然な風化」と「人の手が入ることによる破壊性を伴う劣化」のどちらの状態を歓迎するべきか、ということを考えさせられます。
物件の歴史的な経緯、建築の観点からの記録などとなると間違いなく前者の状態を望むわけですが、人が出入りし、示威的な落書きや破壊行為によって急速に劣化することによって廃墟らしさを得る物件もあります。それは見た目が荒んで「らしく」なっただけかも知れませんが。
実にへっぽこな落書きだ。興を削ぐ。しかし超一流のグラフィティがここに描かれていたとしても、それが素晴らしいということには断じて、ならない。それもまた興醒め。所詮は廃墟。無名で無価値で、浅ましいものでなければ却って似つかわしくないか。
などと考えつつ、じりじり歩む。
こういうのを撮りたかった。
まるで生前の肖像画だ。今やこの様だが。
滅びることを微塵も信じていないこの絵は好きだ。
2Fもまた1Fと同じ位置に宴会場がある。
レジがふっとんでこんなところに落ちていて面白い。
思わずレジの対面撮り。
レジー。
実に風化していて立派だ。
食い破られたはらわた。「ホテル」の仮面を剥がされた廃墟の素顔が見れて嬉しい。
うわぁステキ。。。
こういうの興奮する。
宴会場の奥には小部屋があり、準備室となっていた。
カセットテープ等が今も山積する。
中途半端に古くて、全然知らない曲ばかりだった。
誰かが引きずり出したであろうターンテーブルとカセット。
このままでは聴けません。空回り。
「アルゼンチンよ泣かないで」 うへぇ。
カーテン、ではない。死んだウバザメの皮、でもない。
ホテルの皮膚が剥がれて垂れ下がる。
質感が気持ち悪い。
一人用炊飯器みたいなのも、だらり。
照明だったか、忘れてしまった。
津山市の未来は明るいか否か。
ブツ撮りも好きなので、先ほどのレジをもう一度。
レジー。
まだまだ2Fには細かい部屋があるので散策。
宴会場の準備・調理室などがある。
酒のメニューが大雑把すぎてワロタ。
なんだよ「sake」て。
状態は良好。割れてはいるが、食器としては綺麗だ。
清潔感のあるツヤ。
あと十年、二十年もすれば、いい風格を伴うだろうのう。
大量に食器残骸を発見しました。これまだまだ現役稼働できただろうに。
なむ。。。
ナショナルのスピーカー様。
まんまる。
スピーカーについては取り外して持ち帰ったりせず、そのまま放置になるのですね。
披露宴受付が。。。
ここで挙げる予定をしていた方々もいたのかも知れない。
廃墟に行く度にやりたくなる、砕け散ったガラスから見える光景。
その先へと進むと事務室のようなものがあり、無数の備品や記録書などが散乱していた。
これは…。
一体どうなるのか。納品はしたのか? ここに写真があるということは、結婚した本人たちの元には届いていないかもしれない?
祝いの後の無造作な放置やいかに。
これもまた廃墟らしさ。
せめて、今もお幸せに――と手を合わせてみる。
なむ。
マッチのデザインが若干かわいい。カブトムシの幼虫がこういう形してましたよね。
面倒臭いので「つやま」読んでません。
廃墟散策においては身の安全を確保しながらの散策と撮影が主になるので、予想以上に気が張っているし、忙しいです。
書類や本の類を見ている暇があまりない。
会議室?
天井が剥がれて(剥がされた?)床に散らばっている。
脱皮。
簡単に人が入れるところはとりあえず落書きされている。他にやることないんなら家で宿題でもしていろと言いたい。
天井の穴の開き方が、何かが歩いたみたいで好き。
2Fの散策も終了。小唄氏とタクちゃんは上の階をほぼ全て探検し終えたようだ。
遅ればせながら階段を上がって挑戦しに行く。ここからはほとんどが客室で、小唄氏によると「ほとんど鍵がかかっていて、全部同じ」だという。
上がってみた。
3F到着。
先ほどのビニールが奥に大量に積まれている。
障子は取り外されてずたずた。
ドアの開いていた客室へ。
思うに地元の高校生とかが入ってきて、麻雀したりエロ本回し読みしたりして、ちょっと開放的に悪ぶってみました、というところか。
気持ちは分からなくもないが、わざわざ遠足みたいにコンビニでアイスとか買ってきて乗り込んだんだろうなーと思うと
フフフ。
そのすぐ脇のベッド。
エロ本にベッドときてティッシュとは、はっはっは・・・いや、まあ、お若いですな。
コホン。
他の部屋も見てみましょう。
和室。
酒飲みの亭主が暴れた痕ではありません。
しかし壁も畳も実に綺麗だ。保存されているといった風です。
窓が開け放たれて、風雨がどんどん入ってこないと十年二十年経っても大概このままだろうと思わされる。
廊下より開かずのドアを。
これ以上の散策は無意味となったので、階段へ引き返す。
どれも鍵が掛っているし、部屋の構造はどれも同じだろう。
4Fへの階段踊り場。
電話がぶっ飛んでいた。誰かがぶん投げたのか、蹴り付けてぶっ飛ばしたのか。いずれにせよグッジョブ。
白い円形の物は確か碁石。
ここが一番良かった。
階段は床から手すりから、赤橙のような色で統一してあり、単焦点50mmで撮ったりなんかすると楽しかった。
ホテルの階段のドアは一方通行になることがある(階段側からは自由に開くが、廊下側からは鍵が掛かった状態になって、開かない)ので、ドアに物を挟みつつ注意して先を行きます。
ますます何もない。
上へと行けば行くほど綺麗になっている。
先程までとは異なり、天井の損傷がやたら少ない。
鍵が開いていたので、洋室へ入る。
よく見るホテルのご案内、および持ち帰り可の、ホテルの封筒・便箋・メモセット。
これを見るとホテルっぽさを実感する。
でんわちゃん。
もう何処にも繋がりません。
起き上がれないカメのように引っ繰り返るのみ。
確か廊下の照明。
まあるい。
4F以降は侵入者らも飽きたのか、ほとんど手付かずである。
記録的撮影なら先にそっちから回った方が良いかも知れん。しかし前半で盛り上がりすぎて実際「もう仕事終わりだな」「撮るもんは撮った」と私までも刀を鞘に収めつつある状況。
窓が開いた。
特に景観に優れているとか、何かが気持ち良いということでもない。
ホテルから駅や商店街が歩いて近いということでもない。
むしろ入口からぐるりと建物を迂回して正面ロビーにやっと辿り着く坂道は、徒歩ではロスでしかない。
団体客でしか潤わなさそうだ。
まだ現役かと思ってしまうほど、整っていた。
チャンネルガイドが熱い。
10年前の地方都市のシティホテルか、今見るとなんだかやっぱり古ぼけて見える。
またレコード(笑) 誰ですか持ってきたの。
しかもキングレコード。
拡大したら「結婚式用特集レコード」「瀬戸の花嫁」と書いてました。
さすが津山のホテル。岡山県ですからね。瀬戸ですわな。
ドアをはじめとする廊下側の設備もばっちり現役風で、もはや「廃墟」としての撮影は望めない状況に。
若すぎるワインが飲めたもんじゃないような感じです。味が薄いとか。
しかし場所によってはこのように矢鱈目ったら廃墟化してたりする。
見応えがあり、好んで撮影。
天井からの建材、綿の露出を見ると、アスベストが怖くなったり。
本来、廃墟に立ち入るときには、変な物(未知・有害・有毒)を吸引しないようマスク装備も必要なんですが、この程度なら大丈夫でしょう。
天井をじっくり。
スパイや忍者がうろうろできるほどのスペースは全然ないです。
5Fより上も同じ設備と状態が冷静に続くだけのようなので、ここで散策を終了。
戻ります。
そもそも、密閉状態で廊下がひどく暗かった。
稼働時の物件は、照明と採光があるからこそ普通に内部で人が活動できるが、機能が停止すれば、白昼であろうと容易に真っ暗になる。意外と怖いものだ。
階段踊り場の小窓。
尽きることのない光を見ると非常に安心する。
( ー_ー) はぁ。
難易度に関係なく、廃墟は緊張する。
場数を踏んでないせいもあるが、いつ何処から人が入ってきて面倒が起らないかは分からない。
なんとなく野生の動物、しかも食われる側の気持ちが分からんでもないな。
そしてカオスな1F、最初のロビーへ帰還。
小唄氏とタクちゃんは散策・撮影を終了し、もういつでも出られる具合だった。
暑い。
猛暑で真夏で密閉とはこれいかに。
現役時代のサービスが。
この手の資料は興味深い。どの部屋で、どんな催しが行われ、どのような稼働形態だったのか。
ビアガーデン営業は分かったが、詳細は一切不明というざっくり感も良し。
出入り口にこんなにもお目出度いものが。
残念ながら全然お目出度くない方向に向かってしまったようだが、まあ頑張ってくれたまえ。
ホテル入口の照明を撮影。
なんだか無骨ながら独特な形をしていたので気になっていた。
興味を惹かれたブツは単焦点で撮るに限る。
(・x・)
3人とも退出。直後、小唄氏による演武。
無論、こんな大穴を開けたのは先駆者の業であり、我々はその副次的な利益を通っただけに過ぎませんのでご了承を。
もうガラスを割るような年でもないんですよねー。
ガラス割りたいのってたぶん大学に入る手前ぐらいまでですよねー。
終了、
と思っていたらまだ進入経路があった。
帰り道で通りがかった、ボイラー室への従業員専用通路である。
中は暗く、そしてひたすらカビ臭かった。
ムハッ。
絶対これ空気中に何か舞ってる。何かが舞っている!
3人ともムハムハしながら、好奇心には勝てず、歩を進める。
まさにこちらこそ廃墟にふさわしい。
ゆっくりと進む。何か獲物は無いものか… しかし暗い。
本館の構造からすれば、地下1階にでもあたるだろう。
突き当りの広いフロアが、ボイラーや電源等が配置されていた。
陽の光は僅かな範囲に差し込む程度で、通常の手持ち撮影は特定の箇所以外、まず望めないほど暗かった。
ガイシ。
オオグソクムシ的な蛇腹状のボディと、滑らかなツヤにはついつい目がいってしまう。
感度は相当あげて撮影。ISO4000ぐらいあったかも。
小唄氏&ボイラーマシーン。
無音の中で撮っていると、遺跡調査にでも来たみたいだ。
パイプ等のカーブ部分がいちいち美しい。
EOS 5D Mark II&50mm単焦点(f1.2)の威力は凄まじいに尽きる。AFでピントが合わず、何度もウィンウィン、ウィンウィンさせた結果、仕上がりを見るとこんなに明るい。
実際はもっと暗かった。肉眼でMFピント合わせを試みたが、どこが正解なのか結局よく分からなくてやめた。
ボイラー室では一番気に入ったのが、これ。
謎の配線、配管は、魅惑的だ。
錆も良い。
くすんだ色しか無い中で、バルブだけはまだ鮮やかな青を光らせていた。
あー黴くさい!
ずっと中にいたらおかしくなってしまう。
つたは元気だなあ。こんなにくそ暑いのに。
片側車線を覆い、まだ伸びようと云うのか。
つたがもっともっと覆い尽くして、この館が何だったのかが怪しくなるまで覆ってしまえばいい。
いい熟成を待っておるぞ。
なむ。
津山プラザホテル終了。
お次はZガンダムが現われます。