2012.7.14(土)【登山】西穂高岳(2)雨の夜~西穂山頂~山荘帰還
西穂高岳を経て、色々とヤバいルートを踏破して向こう側へたどり着こうとしている私と師匠。
しかし!天候は崩れる一方であった!
酒がすすむぞちくしょう!
酒!酒やねん!
酒なかったらもう死んじゃう!
(※新穂高ロープウェイの駅でこっそり仕入れました)
19:21
雨がちなのがかなり気になる・・・これ、明日どうなる??
19:25
さすがは7月、時間の割に驚異的に明るい。
テントが内側から光っていて、綺麗だった。
一方、西穂山荘の中では、貴族の遊戯が。
トランプ伯爵の時間(´ `)
優雅だ・・・
何ごともなく、夜が過ぎますように・・・。
しかし不吉な影が忍び寄るのであった。
どこぞの小粋なコテージのような西穂山荘。
見た目のおしゃれさに反して、客が多いときの山小屋は、おっさんたちのイビキの巣窟になるし、みんな就寝が異様に早い(20時には完全おやすみ)ので、予想以上にやりづらい。
・・・
深夜・・・。
<span class="deco" style="font-weight:bold;">ざああああああああ
ばちばちばち ばらばらばら
ばらばらばらばら ばらばらばらばら
ばらら ばらば ら ばち ばらばらばら</span>
おい。
( ・_ ;) めっちゃ雨やん。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<span class="deco" style="font-weight:bold;">2012.7.15(日)</span>
ねてられるかーボケナスー。
4:17
悪食の子のように惰眠を貪ろうともするが、びちばちザーザーと雨が不穏なため、まんじりともしない我々。
テントも浸水しているのか? 妙に内側が濡れてきている。
なんだこの切迫感は。テントのせいか、雨音がすごく響く。
必要以上に煽られている感があり、緊張する。このままテントは耐えてくれるだろうか?
大人二人と、十分すぎる荷物とに支えられて、飛んだりはしないのだけれど、なおも不安になる。
4:49
天候全く優れぬままに朝。出発を決めねばならない。
西穂山荘のテレビでは始終、天気予報系の番組を放映していて、アメダス等々の情報に皆、朝の四時から食い入っていた。
高山市一帯は晴れそうで、予報でも天候は昼にかけて、回復に向かうと出た。
あちこちから聞こえる。「これは晴れる」「行かなきゃ!」
これは行くしかない。午前中の雨天は必ず晴れるものと信じて、攻めることにする。
ここからは完全に縦走で一気に切り抜けていくつもりでいたので、デポ無し、荷物全部持っての移動となった。
五時半前頃、出発。
天気予報とにらめっこしていたら少々遅くなったが、まだ大丈夫だろう。
西穂山荘から、まず一つ目のピーク「丸山」(標高2452m)を通過する。
これはもう完全に準備運動。
丸山〜西穂独標までは、ガラガラとした岩石が多いものの、遊歩道らしきものが階段状に整備されていて、全く危険ではない。
ルートが明確で、ハイキングの上位版のようなもの。
6:10
天候が悪く、ガスというか雨雲りというか、何とも苦しい状況。
まだこの時点ではパラパラな降りで済んでいたが・・・
6:15 雨に誘われ、ヒキガエルの登場!
( ^-^)ハ ッッシャアア!! ←うれしい
アルプスのガマ大王!
[
西穂独標の手前で急に道が岩場になる。
高度が上がり、急峻な地形になればなるほど、霧と雨と風が強くなってきた。
嫌な雰囲気がそのまま形になって襲ってくる。Ummmm...
6:45、西穂独標に到着。
標高2701m。
コースタイム約1時間15分。
地図では1時間半となっていたので、フル装備の重量からすれば、まずまずか。
ここで20分ほどビバーク。
完全に雨。バラバラ、ザラザラ。
視界がきかず、レインウェアで弾いた水滴が手足の先をドボドボにする。
フードで頭部を守れば、視界がやたら狭まって、困る。どないせえと。
このまま進むべきか?不毛な戦いを予感した。
この雨はやまないのでは?
7:11 出発。
独標から先の、×+×+×+・・・なんじゃこりゃ。
独標から先は急に稜線の起伏が激しくなり、今までのような整備登山道ではなく、岩の間を縫うような厳しい道になる。
こういう細い尾根を歩くときに雨と風は困る。
やめて( >_<)
切れ落ちています。
ガスで美しい絶景と化していますが、歩いている最中は非常に鬱陶しい。
西穂高岳には連続する峰に番号が振られており、主峰・西穂高岳山頂を第1峰として、順番に
4峰:チャンピオンピーク
8峰:ピラミッドピーク
11峰:西穂独標
(間は名もなき峰)となっています。
まあ視界が悪いし、足元に集中していたら、何が何峰か注意してられなかったけども。
本当は結構な険しさを誇っているはずの行程だが、曇っていて地形に立体感が乏しく、また、濡れるのでカメラを出す機会は限られてしまった。全然迫力のある撮影できず。のっぺりやん。
独標からさほど離れていないピラミッドピークで、30分もかかっている。
一つには、岩場のアップダウンが多く、下りの苦手な私がやたら時間を食ってしまっているため。
それ以上に雨が横殴りで、手と足場の滑りが怖く、慎重にならざるを得ない。
いくつか鎖場もあるが、平常時なら問題なし。
雨天では滑るのが怖い。ギャー。
8:19
まさに地球の背骨・・・大地の脊椎!
これは美しかった。
大地がまさに巨大で骨ばった龍のようだった。
ガスと雨で全景がよく分からないし、集中できないし・・・で、ちくちく歩いていたら、いよいよ本丸らしき壁が見えてきた。
この登り、完全な岩道で、手足をしっかり使わないと登れない。
ぐいぐい掴んで、がしがし体重移動。
( >_<)しんどかった。くそ。
西穂山荘〜西穂高岳山頂まで、標準コースタイムは片道3時間。
約2時間半で着いて、ここで天候観察のためのビバークを30〜40分続けた。
タイムは決して速くはない。むしろ、
ここから先のことを考えると、遅い。
出発時間をもっと早めるか、荷物を少なくするか。西穂山荘をベースとせず、いっそ山頂付近にビバークして、翌朝速攻で奥穂高へ抜けるか。
西穂高岳山頂から奥穂高岳山頂は実に片道6時間半。
穂高岳山荘は7時間。
そして日本屈指の難コースとして名高い岩場であり、高低差数百mのアップダウンが続き、単純に体力も尋常ではなく必要になる。
岩場の下りを苦手とする私なら、6時間や7時間では済まないだろう。
ツェルトで風雨をしのぎながら、山頂にて天候の様子見。
慣れると便利そうだ。風が強かったので飛んで行きそうになった。
天候は一向に鎮まらず、ただばちばちと雨が降りつけるばかり。
「無理!おれたぶんこのまま行ったら、足滑らせて落ちて死ぬわ!」
「せやな・・・この天候は厳しいな。ここまで来るだけでかなり厳しかったし、時間がもう無いわ」
「もどろ( >_<) むりや。もっと晴れたときにしよや」
10:10、撤収。
この先は恐ろしい道が続いていた。これまでの濡れた岩場でさえ正直けっこう応えたが、
それよりも険しく細く、風雨から全く逃れられない、切り立った龍の背が続いていた。
自分の力量をはるかに超えた、化け物のようなものがその先に霞んでいた。
凄みを知った。
畜獣の糞かと思ったら純粋にナメクジだったので
萎えた( ゚〜゚ )"
下りこそ大変。
巨人にすがりついた小さな者ども、振り落とされまいと必死。
11:11
もうすぐ昼だが、一向に天候は良くならない。
あの予報は何だったのか? 登山者らはテレビを見ながら口々に言ったものだ。「よし、今日は晴れる」「これは行ける!」そうやって皆、朝の4時だの5時だのには荷物をまとめ、テントをたたんで、さっさと西穂高岳を目指して行ってしまった。
だがそのうちの一体何人が、そこから先の、恐るべき戦いを挑んだかは分からない。
迷っているグループは幾つかいたが、引き返すことを決めたものばかりだった。
天気が全く冴えない。
カメラ類を入れているウエストバッグは既に内部まで水がしみ込んでいる。
また、ザックも、防雨用ザックカバーをかけてはいるものの、雨が横から殴りかかってくるので、完全には防げない。
もっと雨天時の対策が必要であると知った。
問題はもう一つあった。
夏なので、動くと基本的には暑いのです。標高2400〜2900mの移動とは言えども。
レインウェア上下を着ていて、湿気が内に籠っていることも暑さの要因であろう。
しかし、全身が汗と雨で濡れているため、止まると寒いのです。
風もあるし。
じゃあ止まらずに一定の歩調でひたすら歩き続ければ・・・と思うが、なかなかそうはいかない。若気の至りですかね。
雨はガードされても、自分のかいた汗で自滅していくのは実に馬鹿げていた。
特にトランクス。普通のものを履いていたが、全く乾くことなく、終日濡れたままだった。
暖をとるためシャツの上・レインウェアの下に挟んで着る服については、速乾に優れた長袖フリース様のものが必要だと思いました。あと、速乾下着もです。
11:50、西穂山荘へ帰還。
ゆうに6時間20分の往復。時間かかりすぎ・・・。
さすがに雨は止んだが、山に一面にかかったガスは全くの健在。
引き返してまさに正解であった。
ひるめしをコトコトし、暖を取った。
そして本来は奥穂高山荘のキャンプ場で幕営予定だったのが、振り出しに戻ってしまったため、明日の目標をも失ってしまった。
「明日、もうバス乗って帰るだけやったら、今日のうちに新穂高温泉街に降りるのも手やで」
「けどあそこ、本当に温泉宿しか無かったで」
「めし食うとこぐらい、なんかあるやろ」
・・・調査・・・
∴ほぼない( >_<)
予約を打診した安宿でも、満室と断られ、実質的に詰んだため、西穂山荘キャンプ場で二日目の幕営ということになった。
結果的には非常に楽しかったので、これで正解だったのだが。
16:12
夕方になってもガスは濃厚で、地上の天候と山の上のそれとはまったく別物であるということが身にしみて分かった。
対処法がない・・・
(´ `)フー。
16:13
安酒のカップ酒をあおりながら、疲労困憊でうなだれる師匠。
オーラが労務者である。ここは大阪市西成区か。
酒ばっかり飲んで、全く生産的でない私。
もう浮世を捨てたような身軽さで、ふらふら徘徊するばかりであった。
次回へ続く。