nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【廃墟】2012.12/30_滋賀の廃村に挑む(3年目の比婆神社)後編 &青土ダム

【廃墟】2012.12.30(日)滋賀の廃村に挑む(3年目の比婆神社)後編


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これより廃村へ向かう。
誰もいない村へ…。

 

 

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滋賀県多賀町彦根市街のすぐ近くにある。
ひこにゃん一世風靡した彦根城から車で2〜30分、そこは鬱蒼とした山林で、
かつては炭焼きで生計を立てていた集落が点在し、
どれも廃村、あるいは冬季無人となっている。

 

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黄色い家マークが廃村または冬季無人集落。
全国でも屈指の密集度だ。


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いざ!

 

今年は、雪が全く無い。
これならいけるのではないか。
昨年は、「霊山」の「落合集落」から先、車一台分がようやく通れる細い道が雪で埋もれており、ノーマルタイヤの軽では進入が不可能だった。
このあたりも雪が積もっていた。

今年は、車の温度計も3℃を示している。十分だ。期待が高まる。



地図中「落合神社」あたりが「落合集落」である。その先に延々と細い道が続く。
奥の「男鬼集落」へは半時間ほどの歩きになるだろう。
最深部の鳥居マークが目的の「比婆神社」だ。

雪の中を一般の靴で歩くのは大変だ。どんどん染みてきて、しもやけになる。
末端が冷えるのは一番悪い。濡れるのは最悪だ。簡単にコンディションを崩す。

さて。

 

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12:50 むり。


「ちょっと車で行くのは嫌です」
JAF的危機に陥ることを恐れ、我々はぼつぼつと徒歩で男鬼集落へと歩き出した。

 

写真では大したことがなさそうだが、微妙に盛り上がった雪に、車が乗りあげてしまうことが大いに懸念された。
その先の切り返しもできない小道で詰むと、いよいよまずいという恐れがあった。
またしてもJAFの世話になるのはヤバい。なけなしのプライドがどうかしそうだ。

 

周囲を探すと、運よく小さな錆びたシャベルが落ちていた。
これで勝った!と勢いよく雪を掬っては、川に投げ入れてみるが、

 

寒い。


冷たい。


シャベル小さい。

とてもではないが作業を続けていられる状況ではなかった。
そして歩き出してみたが…

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普段の山歩きに比べれば、ソファでくつろぐような気楽さだ。


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所々に杉林が差し掛かる。整然とした配列が美しい。


しかし。
足元の雪は相変わらず10cm程度は積もっている。
一歩ずつ確実に染み込んできて、ジャブのように効いてくる。
先を足早に進んでいた小唄氏の様子がおかしい。
「・・・正直厳しいです」

彼の足もとをよく見た。

 

(/_\)あああうああ
去年と同じぺらぺらの平靴。
雪レイプwww

 

これはロスの夜の裏通りを裸で歩くレイプミーファックミー状態に等しい。
私の靴は防水機能が弱いものの、足首まで覆われたトレッキング靴なので、それなりに無事だが…彼は本当に辛そうだ。無理もない。足首モロ出し、雪ガバ飲みのレイプミー靴なのだ。 

引き返すことを検討したが、10〜15分ほど歩いた。あとどれぐらいだろうか。惜しいところまで来たのかどうか、一人でとりあえず偵察に出てみる。
更に5〜6分を歩いてみる。
だが集落らしき兆候はなく、ただただ川と雪道が続いていた。
軽自動車で入り込んだら詰んでいたと思われる。

 

先行きが知れないので、引き返すこととした。
比婆神社!
あくまで我々を拒むのか!さすがだ。
二人とも靴の中はしっとりと濡れていた。


「ゴム長靴があればなあ」「雪なんて、もんだいじゃないんだ」とうわごとを漏らしつつ退却する。
そうだ。人生は拒否とうわごとなのだ。そしてパズドラそれも無課金だ。
そういう感じだ。末端を冷やさないようにすればうまくいくんだ。世界はおれたちのものになりうるんだ。
何を言ってるんだ乙。

 

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13:06 退却中。
もう本日の企画は終了してしまった。
林と雪道で、撮るものもとくになく、ぶらぶらと歩く。

 

 

しかしそこは小唄氏。歴戦の珍旅者である。
「青土ダムに行きません?」

 

青土ダム(おおづちだむ)
:岩石を集めて盛り立てた、なだらかな丘のような堤体により水をせき止める。
 常用洪水吐きが円形で、水面にぽっかりと口を開けており、
 FF好きなら「●デジョン!!!」と叫ぶこと間違いない。

 

さすが、ネタが豊富だ。二重三重に裏メニューを持っている老獪な居酒屋の親爺のごとき安定感がある。
(褒め言葉です。)

 

だがナビを見て驚いた。

 


彦根市街(A)から青土ダム(B)まで、一般道で2時間以上かかる。
四日市に行くのと大差ない位置だ。
これでは到着が16時頃になってしまう。

 

道中にはめぼしい飲食店が期待できず、彦根市内で食べることにした。

あっ。
昨年、入店したらもう営業終わってて、何冊もまとめて並べられていた「美味しんぼ」だけ
見て帰ったという苦い思い出の店があった。

 

比内地鶏 ほっこりや」。
彦根の城下町の風情を保全し整備した「夢京橋キャッスルロード」にある店。



ここの比内地鶏はとても濃厚なしっかりした味で、普通の親子丼とは完全に別のジャンルに突入している。
個性をがんがん主張してくる鶏肉を噛み締める。美味い。
ミニラーメンセット(1680円)で、ラーメンの卵も


( >_<)あかん美味い。

 

さすが美味しんぼ56巻だけを何冊も置いているだけのことはある。
あの話はタイトルからしてキリタンポが一見、主役だが、その裏で「本物のキリタンポ鍋を作るには1942年に天然記念物に指定された本物の比内鶏が必要だ」という設定になっており、設定っていうかそういう話なんやけどね、まあ、黙ってキリタンポを単独で食べたらええやんとか思うんですけどね鶏肉に囚われて何むずかしいこと言ってんだこの新聞社の社員はとか、思うんですけどねとにかく、この店の比内鶏は美味しかったです!

 

きりたんぽ

 


ああめまいがする。
クラクラ

 


そして寝ていた。うむ、
ここは

 

 

高速を飛ばしてくれていたらしい。
パズドラは順調に土日キャンペーンメダル1.5倍で何万と稼いだ、やるな俺、
っはっはっはっ、


あ、

 

 

15:55
青土ダム到着( ー_ー)ノ ハーイ

 


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ロックフィルダムの中でも中央遮水壁型と言われるタイプ。


岩石を積み重ねてボディを作り、中央部(コア)は垂直に粘土層の壁を建てて、水を通らなくする。
コア部の周囲は、コア材が流出しないように半透水性の河床砂礫でフィルターを作っている。

 

遠くから見たとき、岩石の巨大な壁のように見えるのがこのダム。
車窓から見えると、なだらかで巨大な岩の壁が急に視界に入ってくるため、軍事用の施設のような違和感があり、たまらない。


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青土ダムは1988年4月から稼働。


建設目的としては
野洲川中、上流部沿いの洪水被害の軽減と河川維持用水等の確保、甲賀市への水道用水の供給、湖南工業団地への工業用水の供給のために、野洲川の上流に建設した多目的ダム」
となっている。
(引用:滋賀県HP
  ★Link http://www.pref.shiga.jp/h/kasen/dam/ohzuchi.html )


1951年、より上流で野洲川ダムが農業用水確保のために建設されるが、この野洲川が氾濫を起こしやすい「天井川」(※)であったため、より治水機能を充実させる必要があり、青土ダムが作られた。
(※川に堤防が作られ、氾濫がなくなると、河床に堆積した土砂の上を川が流れるようになり、次第に河床が上昇して天井川になる By.Wikipedia


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近未来の要塞。
駐車場から対岸の「青土ダムエコーバレイ」事務所へ歩いていくと、徐々に見えてくる。
さらに回り込むと、

 

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これである。


水面に浮かぶ円形の穴。
水が流れ込むところを想像してみた。まるでデジョン、グラビデのようである。
時空のひずみが!

 

この円が「洪水吐き」と呼ばれる、水を吐き出す口で、
青土ダムの場合は湖面に近い2つの円が「常用洪水吐き」
その上に乗っている司令塔のような部分の口が「非常用洪水吐き」となっている。

下の常用洪水吐きでも水がさばけないほどの洪水時には、上部の非常用からも放水する。

前者は平時から水を流して調整するもの。
「常満クレスト(長さ50.13m×2)付き高3m×幅5mゲートレスオリフィス 2門、
 高6m×幅5mラジアルゲート付きオリフィス 1門 」だそうだ。


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一般的に想像されるアーチ式ダム、重力式コンクリートダムの洪水吐きは
口がダム本体の中央などに四角い窓のようにして付いている。対して青土ダムは、異次元回廊への入り口のようだ。


このような洪水吐きを有しているダムは世界でも珍しいとのこと。

 


さて青土ダムは妙に動物を押してきます。


キジが最もきちんと扱われていた。

土山町自治体として甲賀市に合併される前は、キジが町の鳥のシンボルだった。
(※合併後も地名として「土山町」は残っている。)

 


だがこいつは何だ。
おませな昭和少女のようだが目がイッてしまっている。
どうした。リタリンでも食ったか。



作業着姿のあやしいこそどろのようだ。熊?
電気工事だとか電話線工事を装って、空家を探してる気配がプンプン匂う。



どうした日サロで失敗したのか。
手首がうなだれているがそれは骨折でもしたのか。狸?

 


青土ダム周辺図。わりとザックリしていて味わい深い。
天才肌の陶芸家などに看板を頼んだらこういう感じに仕上がるのかも。

 


さて今回も…結局、男鬼集落の奥にあるという「比婆神社」にはたどり着けなかった。
3年越しの戦いに敗れたわけである。
原因は雪。
つまりゴム長靴でも車に積んでいけばいいだけなのだが、
そこは興の乗ったときにフラッとやりたいというか
まあ今度は無雪期にちょっと行ってみたらどうかとも思っている。初夏とか。

ではまた( ー_ー)ノ ヤーッ