nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】西穂高岳→奥穂高岳縦走(3)逆層スラブ→ジャンダルム

H27.7.25(土) 西穂高岳奥穂高岳縦走(3)逆層スラブ→ジャンダルム

 

逆送スラブという、日本でも有数の素晴らしい意味不明な地形を目にして、心底うっとりしました。こわい反面、招かれているような、へんな気分です。

 

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行程おさらい。

<7/25>

・8:55~14:30 西穂高口→西穂高岳山頂

・14:50~15:35 西穂山頂→赤岩岳

・15:35~16:10 間ノ岳

・16:10~16:58 間天のコル&逆層スラブ  

▼17:10~17:35 逆層スラブ越え→天狗岩

   →付近で幕営、夕飯、就寝

<7/26>

 ●5:25~6:00 垂直のクサリ&天狗のコル(避難小屋跡)

 ●6:05~7:40 コブノ頭

 ●7:55~8:00 ジャンダルム登頂

・8:20~9:05 ロバの耳

・9:05~9:20 馬の背

・9:20~9:45 馬の背通過~奥穂高岳山頂

・9:55~10:45 穂高岳山荘(~昼食)

・11:30~12:30 下山:白出沢(雪渓)

  ~13:27   白出沢(荷継小屋跡)

・13:30~14:00 鉱石沢の水場

・14:10~14:30 重太郎橋

・14:35~15:13 白出沢出合

・15:15~15:45 穂高平小屋

・16:18 「ゲート」

・16:32 ロープウェイ新穂高温泉

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逆層スラブ。

私が心底恐れ続けた難所です。「垂直の岩の壁、ホールドもなく、クサリ1本を腕の力で登らなければならない。落ちれば…」という無茶苦茶なレビューが記憶に残っています。一方で「見た目よりは簡単」「足でトントンすれば登れる」との声も。

 

大きさがいまいち判らないので、ザックと比較しましょう。

 

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よくわかんねえな

 

 17:10 

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 乾燥した岩に靴がよく吸い付き、極めて安定感があります。

しっかりした足場は乏しいものの、ナナメでよければあるので、クサリに頼らずにそこそこいけます。ただし登りに限る。

 

逆ルート(下り)で、かつ、悪天候ならどう???

 /(^o^)\こええ。超こわい

 

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 これ「登山」て言うのか・・・ 若干ちがうジャンル入ってう。

 

 

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 逆層スラブ終了とともに次のステージ。

ご覧ください〇とか〇とか〇が付いていますね。これをよじ登っていくです。霧の奥にそそり立つのが「天狗岩」(天狗の頭)。脚に乳酸を溜めないようペースに注意して進みます。

 

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(´ー`)  岩のソリッド感を楽しみましょう。

 

 

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 17:35 天狗岩(天狗の頭)到着。

たいへん距離を稼ぐことが出来た。「西穂山荘→穂高岳山荘→下山」を1日でこなそうとすると、+6時間。

事実上ムリです。穂高岳山荘で一泊しないとまともな下山は出来そうにない。

 

ここからテント幕営適地を求めるが、「天狗のコル」避難小屋跡まで更に歩を進めるのは厳しい(というかめんどくさい)。

 

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誰かが明らかに寝泊まりしたであろう、人為的な平地を発見。

西穂-奥穂間の面白いところは、各ピーク毎にゲリラ的なビバークポイントが存在することです。どれもテント一張り程度だが、天候さえ大人しければ大いに活用できます。天候さえ大人しければ。天候さえ。

 

風向きと安全性の吟味に30分ぐらい費やして幕営。 命あずけます。

 

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17:50 ジャンダルムを覆い隠す巨大なピーク「コブの頭」。

おまけみたいな名前・・・あまりに立派な威容なので、もっと立派な名前を与えてあげたい。

 

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宗教の時間です。

内なる神を降臨せしめましょう。

 

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うっわ( ゚q ゚ )槍ヶ岳おる 

( ゚q ゚ )ノ  ヤッホー

 

槍はアイドル。やや神格化。

 

  

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18:40 来た道を振り返る。天狗の頭の頂上標が美しい。

 

 

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ひとまず初日の山行は大成功。天候の恵みが半端ではない。十分に体力を残せたことも大きい。天地を支配したかのような危険な昂揚感も燻ります。酒がうまい。

 

夕飯はレトルトをテルモスの湯で戻して食べる。それで十分に食えたので煮炊きの道具がなくても何とかなることが分かった。湯は万能です。

 

眠っていると風向きがやや変わって、テントを揺らす。健全なレベルの風で済んだ。眠りが浅く、喉がやたら乾き、眠りは浅くて、蛇がうねうねのたうつような不快な眠りになった。3000mという高所が体に異変を与えているのかも知れない。

 

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 4:20 おはようございます(槍)。

 

 

天狗岩の頂上付近に居るわけで、「天狗のコル」まで下り切って「コブの頭」を登り、その裏に潜む「ジャンダルム」へアプローチし、さらにその奥に鎮座する「奥穂高岳」山頂を目指します。標準4時間。

 

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5:30出発。なんかっちゅうたら垂直やな('o' )

 

 

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常人には理解しがたい地形が登場。地球を切り刻んだ?

 

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5:50 「天狗のコル」「避難小屋跡」

久々に案内板を見た。西穂-奥穂間ではここだけか。

よく道中ビバークポイントとして使われるのがこの地点。

 

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地図「垂直のクサリ」

一部、ザックが引っかかったり足場がうまく乗らなくて苦戦。下りはやはり圧倒的に難しい。

 

 

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「避難小屋跡」。テント3張りはいけると聞いたが確かにそうどすな。

今までで一番広く、安心感がある。

ちなみにこのまま下るのが「岳沢小屋」(上高地方面)へのルート。登り3時間、下り2時間の直登ルートです。絶対ガレガレw エスケープになるのかどうか。。

 

 

 

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/(^o^)\ めちゃくちゃ岩つまっとる

 

「何かが起きれば」こうなるwww

 

 

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10分ほど歩くとまたビバーク痕を発見。寝返り打ちたくない。

 

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岩塊はエロいす。盛り上がり方とか横たわり方とか。

 

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「歩く」というか「よじ登る」山行。岩との対話が弾みます。

 

 

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笠ヶ岳。巨大な台地だ!

 

 

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6:52 おそらく地図「ルンゼ内クサリ」

 ちょいちょい奥穂側からの登山者とすれ違います。みんな早起き&健脚。我々も別に遅い部類ではないが、このルートを行き来する人種からすると相当スロー。

 

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草花も可愛くて豊富なのですが、総じて攻めに特化したルートなので

愛でている場合ではないw

 

 

鉄巨人みたいな岩が次々に攻めてくるんですよ。

 

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サイバーパンクな惑星だなあと感じました。

コブの頭直下あたり。

 

 

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産廃集積所みたいな、暖かみのない非情な世界が続きます。

ここが地味に嫌らしくて、ルートを示す「〇」がやたら途切れています。反対側からしか分からないところに書くのは本当に勘弁してほしい。わかるか。

 

 

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7:25 また無名のビバーク適地。寝返り安全に打てそう。

 

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 コブの頭もいよいよ大詰め。

山というより神殿ですね。

 

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 7:45 「コブの頭」頂上。

あれだけ独立峰のような出で立ちを誇っていたが、着いてみるとその背後に真のボス・ジャンダルム様が睨みをきかせている・・・

 

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まさかのビバークポイント発見www

これはボス戦手前でセーブポイントがあるのと同じ現象。ますます登山≒リアルRPGの様相を呈してきた。

でもリアルだから死ぬときは死ぬよ(´ー`) ノ

 

 

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ジャンダルム様。

あなたに会いにきました。はるばる5年もかけて。

\(^o^)/ イェー。

 

想像以上にずんぐり、横に広い?? 穂高側から見ると、イギリス王室の兵隊の帽子みたいな丸頭がぴょこんと見えます。 

 

これを登ります。

 

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必ず事前情報&現地マーキングの通りに登ること。

 飛騨側(新穂高側)を巻くとジャンダルム頂上、信州側(上高地側)を巻くと奥穂高岳への前進ルート。

 

ホールドが多い分、どこからでも行けそうに思うが、ミスって石を落すと他の人にメテオしてしまいます。

 

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ガレとるなあ。。

他の登山者が石を落して凄い音が炸裂した。肝を冷やしました。ちょっとした雷のよう。慎重に取りついてるときに上から岩が降ってきてもまず逃げられない気が・・・。

 

 

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8:00 ジャンダルム登頂。

ぱちぱちぱち。万年パズドラバカでも安全に登頂できました。

 

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ツェペリ家に波紋の教えを施されたわけではないが、実際それに近くて、呼吸が常に乱れないようリズムを整えるといけます。乱すと終わる。

高レベルの人達に囲まれてオンラインゲームやってるような錯覚に陥る。みんな涼しい顔で目の前の強敵をスコスコと踏破していきます。スコスコ感がすごい。こっちはボテボテ。

 

 

で、まだ終わったわけではなく、コースの途中ですから、来た道から一度ジャンダルムを降りて本線に戻ります。うえー。

この先が鬼畜\(^o^)/

つづく。