パーティは私、師匠、ヤマさんの3名。
コースは下図、青線部。
ただしヤマさんは経験がまだないので、西穂山頂から折り返し。
(※地図は2011年版のため、実際の山行に当たっては最新版を参照されたし)
(※事前調査のうえ、縦走路中の適地にてテント泊を実施)
<全体の行程>
・5:00 金沢駅前・Jネットレンタカー
・8:00 新穂高 登山用駐車場
・8:55 ロープウェイ西穂高口
・10:30~11:25 西穂山荘(昼食、仮眠)
・11:25~13:00 山荘発→西穂独標
・13:00~14:30 独標発→西穂高岳山頂
・14:50~17:35 奥穂への縦走路→天狗ノ頭(テント泊)
・翌5:30~8:00 ジャンダルム
・8:20~9:50 奥穂高岳山頂
・10:45 穂高岳山荘
・11:30~16:30 下山:白出沢→新穂高
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さて我々は金沢駅前のホテルにいた。レンタカーを走らせて新穂高まで急ぐ策である。なぜ金沢なのか。北陸新幹線のせいだ。大阪発のサンダーバードが富山まで行かず、金沢打ち止めになったためである。呪う。
共食いあるいは「牛>>>>>>>>>豚」のヒエラルキーを思い知る。
酒のスーパー・ゴリラ。静かな山間に映えます。
片道3時間近くかかって新穂高に到着。ロープウェイ駅近くの一般駐車場は一般観光客にしか開放されておらず、登山客は専用駐車場に回される。これが第2ロープウェイの駅に近く、微妙に運賃の節約になった。
しかし8時の時点で満車に近かった。あと1時間遅れたらまずかったかも。
ロープウェイ駅までの道で襲われたらしゃれになりません。大声を上げながら威嚇しましょう。
ロープウェイ白樺平駅。無防備に絵画が何枚も掛けてありますが、車輛が出入りするホームに掛けられていて、割と過酷な環境だと思います。こういう無造作な扱われ方をする絵画(のジャンル)を「野晒し絵画」と勝手に呼んでいます。
新穂高ロープウェイは世界でも非常に珍しい2階建て構造。顔も可愛いよ。
8:55 歩き始めます。
千石平園地をゆっくり回って「たのしいね」と言える日はいつか来るのだろうか。ジャンキーの末路としてはささやかなお花に幸福を見出すのは正しいと思います。やだなあ。
登山届は道中の立派な小屋で書きましょう。小屋以降は「登山者以外は進んじゃダメ」の注意書き有。しばらく平和な道。
9:15 謎廃墟。中はじめじめとしていて鬱陶しい。おばけが出そう。
さて、ロープウェイ駅~西穂山荘の90分間ですが、ここが正念場です。結構な急登あり、標高2385mまで約230m上がります。しかしまだ元気が余っているから、がぜん調子に乗ります。かと言ってスピードを上げると、その後の独標や山頂までのペースを底上げしてしまい、後でバテます。
9:34 眺望が開けます。連なる峰々をあとで越えます。中央少し右のピークが山頂。
9:45 綺麗に整備された道です。「汗をかいたらだめ」「額の汗が滴になったらアウト」みたいなノー汗運動を奨励します。
山に不慣れな人々を打ちのめす連続階段です。慣れた者には刺激が無くて退屈です。周囲の草花、現れる虫もことごとく退屈なので、素数を数えたり、新規事業の提案書のレイアウト案を考えるなどして時間をつぶしましょう。
10時半になるといつの間にか小屋に着いていて、「西穂ラーメン」を啜っていました。しかし3年前よりおいしくない。
あの時の記憶と違って、ただのレトルト麺って感じで、味気ないです。
なぜか。
汗を全然かいていないからです。
今回は、持病でもあるのかというぐらいスローペースで歩き、体力が減っていませんでした。今後ずっと「1.5倍かかるぐらい遅く歩いたらコースタイムぴったりだった」を連発します。この皮肉な現象は私の登山観を大きく揺さぶりました。速ければ速いほど良いと思っていたのです。しかし遅ければ遅いほど、狂いなく到着でき、また、体力が減らないため、どこまでも活動できることに気付きました。
ただし眠気は話が別で、夜ほとんど眠れていなかったので仮眠しました。
11:25 西穂山荘を発る。なんて良いお天気。
霞沢岳、ふもとに上高地が見渡せます。赤いのは帝国ホテル。
振り返れば、山荘と、その奥の茶けた土の山は「焼岳」(やけだけ)です。こいつは活火山で素晴らしい荒々しさを見せてくれます。
11:45「丸山」通過。
右から2番目の丸い岩のコブが「西穂独標」。よく見ると人が何人も立っています。
その隣のスッと聳える美しい山形が「山頂」ぽいですが、ただの1ピークです。紛らわしさ度、期待裏切度の高さは相当です。「登山あるある」の代表例です。
標高2600に迫ってくると高山植物も面白くなってきます。ひっそりと脇道に咲くシャクナゲが美麗でした。
12:40 西穂独標の基部に取り付きます。不思議な形ですね。
10分ぐらいで独標頂上(標高2701m)に。
目の前の美しい山形は「ピラミッドピーク」。
細かくピークが連続するのでナンバーが振られています。独標が「11峰」。
つまり10ピークぐらい越えないと本物の山頂に着かないということです。騙されないよう歩きましょう。
独標から急に険しくなります。スキル、体長、天候によっては引き返すのも良い選択です。
3年前に来たときは雨天でただただ「ひどい」の一言でした。
ひどい。まっしろやないか。
晴れてると別世界ですね。
13:30 ピラミッドピーク。いつのまにか8峰。3どこいった。
凶暴な表情です。
14:03 歩いていたらいつの間にか4峰。いつの間に…
足場の怖い箇所もちょくちょく現れるので、丁寧に歩きましょう。
西穂山頂がようやく姿を現しました。剱岳といい西穂といい、前座の中ボスが多すぎますw
14:05 歩いていたら3峰。
14:14 2峰だよ。
山頂への道を振り返って。派手な難所はないものの、ホールドに乏しい岩の面が続き、下りで苦労しそう。
14:30 西穂高岳山頂。
すっかり他の登山客が下ってしまい、我々のあとに後続者もいない。ここからヤマさん一人で山荘まで戻るのをどうするか…と悩んでいたら、都合よくジャンダルム越えのパーティが登場。
すさまじい疲労を訴えながらも快活に嵐のように去ってゆかれる。山きちがいは良い人ばかりだ。
14:50 ヤマさんを送り出して、狙いのビバーク地点まで前進開始。
ここからは私達も未知の世界です。下調べはしたものの、難易度や危険度は究極のところ、自分で当たってみないと、判りません。
ただ「やってみれば判る」というのは、これまでの色んな経験を踏まえてきてのことなので、勉強もせずテスト会場で鉛筆ころがしてマークシート塗るというのとは、ちがいます。
人はいつまでもテスト勉強ばっかりやってるだけではいけない、いつかは試験を受けにいかないといけないということでもあります。
(2)へ続く。