nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【ART】六甲ミーツアート(六甲カンツリーハウス~六甲高山植物園)

2016.11.12 【ART】六甲ミーツアート(六甲カンツリーハウス~六甲植物園) 

  

はい。六甲ミーツアート。

 

片仮名で書くと肉屋っぽいが、残念ながら肉は置いていない。

インスタント焼きそばならある。

 

えっ。

 

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\(^o^)/ 日 清 食 品 !

 

池に半身突っ込んだUFOを見て、「はい、これは焼きそばです」と分かる方がアブノーマルなのだろうか。私達の視覚は企業によく訓練されているなあ(詠嘆)。

 

 

 別に消費社会を題材にしたイベントではないのだが。

 

 

今年度のミーツアートの学級代表のような、存在感すばらしい作品。

 

岡本光博(Mitsuhiro Okamoto)/

 《w#190 UFO - unidentified falling object(未確認飛行物体)》

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美しくないですか。

調和を感じる。オブジェを受け止められるぐらいに周囲の色が強いためかな。これがラ王だったら浮いていたと思う。UFOは麺としての自分/食品感を隠していて、デザインの要素が立っている。赤い文字と輪郭が映えます。企業製品と景勝地の相性って実は良いのでは疑惑。

 

宇宙人もそのへんに墜ちてるらしいので、魚釣りのついでに見てみるとよいです。

 

 

あ 家畜がいる。 

 

○三宅信太郎(Shintaro Miyake)/《Donkey》

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昨年からこのロバはずっと立っていて、いい感じに錆が回ってきたという解説がありました。いい感じすぎてこの子は可愛いと好評で、みんなから記念写真をせがまれていた。 嫉妬しますよね。

荷物を背負っていて、重荷だろうか試してみたら、めちゃくちゃ軽かった。エア荷である。この子かわいいなと思った。

 

 

<六甲ミーツ・アート ライブラリー>

 

館内に作品が色々あります。

 

○桑久保 徹(Kuwakubo Toru)/《Calendar's Studio》

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 8月から作家が滞在して作品制作し、その空間そのものが展示になっているというもの。そして月ごとに様々な歴史上の作家の作品を、彼らのスタイルで描くという試み。

ここ六甲山では新印象派のジョルジュ・スーラを描いている。

 

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スーラというとテレビのブラウン管みたいな、色の点々がすごい人だが、会場の絵はあまりブラウン管感はなかった。

 

 

○開発好明(Yoshiaki Kaihatsu)/《未来郵便局》

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1年後に手紙が届くという仕組み自体が作品というもの。1年経つと私達は別人になったりならなかったりします。

メール、LINEの即時性の高いシステムが標準的になればなるほど、郵便というアナログなシステムへの振り返りは大事になるであろうでしょう。コミュニケーションのもどかしさと期待感があるような。

 

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で我々は手紙も出さずに、備えてあったアート関連本を読み漁ってしまうの巻。歴代ミーツアートを振り返って魂をきよめる。自由度の高い空間で脱線が進みました。

 

  

○菅沼朋香(Tomoka Suganuma)/《六甲山は泣いている》

これはすごいぞ。今年度のミーツアートの番長格。 

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六甲山は泣いている。 

衝撃的なタイトルの何かが展開されているのだ。

売店ソノシートが置いてあったときには「昔こういう人が歌謡曲やってたんだろうな」と思っていたが、ここにきてようやく「なんか古いようで妙に新しいな」「まさか作品!!?」と気付き始める。そうこれはレトロを装った現在進行形のアート。

 

実在していたアイドルのような、 

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アイドルの文法を辿る旅。

昔、本屋とかグッズ屋にバンドとかミュージシャンのプロマイド写真は売っていたが、ガチのアイドルは時代が違いすぎて見たことがなく、新鮮だで。

 

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 バー「まぼろし」。

レトロ喫茶やレトロ看板など、町に残る昭和レトロ物件に対する意識が非常に高まっていて、instagram等ではそれを専門的に追う人たちが見られるが、逆に自分の方から「レトロ」を作って再考するという人はまだ見たことがなかった。それが作家とその他大勢とを分ける線なのだろう、

 

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クオリティが高い。一見レトロであるが、作り込みが出来ているのと、画像の画質が圧倒的に良いので、当時溢れていたアイドルものとは一線を画している。六甲山グリーンが本当にキャラ立ちしていて羨ましいかぎりである。どこで見つけたのだろうか。

 

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余談だが「六甲山が泣いている」とは阪急電鉄創始者小林一三(こばやしいちぞう)のしたためた、兵庫県への上申書のタイトルである。

明治期に高級リゾート地として開発され、大正からは阪急(当時は阪神急行電鉄)と阪神で観光開発の熾烈な争いがあった。それが山火事、阪神大水害、そして太平洋戦争と幾度もダメージを重ね、すっかり荒廃してしまう。戦後、小林一三はその荒廃ぶりに大いに胸を痛め、各方面へ六甲山の復興を強力に訴えかけ、今の姿へ続くものとなる。菅沼氏はそのような六甲山にまつわる史実から作品を生み出した。 

 

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 菅沼氏のこれまでの活動を収めたポートフォリオが面白い。

これは彼女の地元である名古屋におけるレトロ喫茶店の数々を記録したもの。愛がある。根っからレトロが好きな模様。私も純喫茶のたぐいは目がなく、大好物である。昭和という世界には可愛らしさも哀愁も、洗練も泥臭さも、全てが渦巻いていて好きなのです。 

 

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 近年の活動を収めたもの。レトロへと自らを投入して演じることによって、その地域との接点を作り出し、町のポテンシャルを引き出す。

「今年は昭和87年」「ボロかわいい昭和」コンセプトタイトルが秀逸。

 

 

脳の昭和スイッチが押されてしまって、リクルート事件とか金丸信とか国鉄解体などを色々と思い出すであろう。 

外の空気をすってスイッチをオフに、

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ものすごく暖かい中で、人工雪を製造しまくっている。

誰も滑るでもないし、陽射しはかなり暑いし、シュールさが漂う。

 

あ とても良い形をした丘がある。

にわかに興奮がきます。この丘はいい。 

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いい。見なさい。平和を絵に描いたようだ。平地のように見えるが斜度そこそこあります。運動不足者をさわやかに苦しめる楽園。

 

 

○隠崎麗奈(Reina Kakurezaki)/《HANAZONO》

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「夏から秋、冬へと季節とともに変化していく六甲山の景色の中に、散ることのない花を咲かせました」との解説。

 hanaだったのか。すいません菓子かと

  パンとかマシュマロ 飴、砂糖菓子 墓にお供えするやつ

( ゚q ゚ ) 脳に糖分欲求が湧く。この形と優しさは危険だ。脳が快楽を覚えているのだ。甘味の快楽。人類は進化のどこかで甘味を手に入れたが、それは脳にとって深く刻まれた闇となった。おれたちは闇の

 

( ゚q ゚ )  はっ。

 

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菓子類を想うと意識が飛びます。

これはちょっと人体ぽいね。手に進化しそう。 

 

動物の胴体のようなものが見える。

 

○K-5/《六甲のアルマジロ

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人がみっしり入って、中でくつろいでいる。

 

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満員御礼です。ヒトは頭上に何かあると安心する。

 

 

まだ上に何かある。

 

岡本光博(Mitsuhiro Okamoto)/《w#191 UFO -unidentified feed object(未確認供給物体)》

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 UFOが。

現在使われていない給水施設の廃墟を活用したもので、それにしてもUFOです。

六甲山はUFOがよく飛来する地域ということで、ブランドものと言えよう。

これは展示品だが、周囲にはそれらしいものがある。 

 

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露骨にあやしい。

古代UFOの化石ではなかろうな。 

 

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穏やかなストーンサークルもある。これは降りれる。 

 

降りてくるんだなあということを理解した。

 

宇宙神秘を理解できたところで丘を下りて対面の広場に行く。カップルは下りきる前にひとしきり積もる話をしておくこと。良い丘なのです。それは言語野を刺激して言葉が流暢になります。

 

 

丘を下りたら靴を観たくないですか。

 

○靴郎堂本店(Kutsurodo-Honten)/《SHOE LODGE》

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 手作りの靴が並ぶ。ガタガタしている。ワークショップで皆が作ったものではないだろうか。青空が綺麗でね。くつも映えますね。

 

本体は小屋ぐらい大きいのが2足(2軒)。

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 中に人が入れる。全長22mの巨人を想定した靴である。

靴とロッジをかけていて、中は簡易居住空間になっている。

登山靴かな。

 

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体で靴を知りましょう。見た目以上にこれは大きいよ。

記念写真の好スポットとなっていて、カップルが喜んでいた。カップルが。カl;ツ

登山靴かな。

 

中には靴の歴史が展示されていて、神戸と靴づくりの歴史が分かる。

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「マッチの原材料でもあり、ゴムの加流に欠かせない原材料でもある『硫黄』が簡単に手に入った事がきっかけで神戸のゴム産業は大正から昭和初期にかけて急成長を遂げます」 硫黄が鍵だったのか。

 

 

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神戸屋靴店。真ん中の子は靴人間。くぁわいい。

 

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 19世紀に靴の生産を行っていた平野 永太郎氏、

  

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目はやさしい。 

 

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 皮なので、雨ざらしになるとカビの生育も良いようで。

時間と共に外観が色々と変わりそうである。カビの苗床になるか、もっと他の色が生じてくるのか。

 

 

○マスダマキコ/《はたらく六甲山!》

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ペダルを踏むと水車が回って、バケツが水を汲み上げ、 

 

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色々プロセスを経て小便に結びつくのであった。 

六甲山の地形、土地に運動を加えることで、コミカルな結果が生じる。

 

夕陽を浴びつつ、迫りくる夕ぐれの中で背を丸めて小便をする・・・それは人生における重要な瞬間を示唆している。私達男性の排尿行為はアイコン化され、滑稽なものとして消費されてゆく。それがもっと進めばよいと思った。滑稽さは世界に多少はもたらしうるものがあるからだ。そういうことをぶつぶつ言っていたら滅茶苦茶に冷えた。夕方の六甲の風は体温を奪う。さすが低山とは言え、標高900mはある六甲山系である。このダメージが後に蓄積して体調がおかしくなる。

 

<六甲高山植物園>

 

バスで移動して、高山植物園へ。会場がいくつか散っているが、歩くのはいかがなものか。坂道だし離れているからバス移動でないと厳しいと思うよ。

 

丘で日光を浴びながら幸せになっていると、この時点でもう陽が沈みかけていたりします。このときは16時半。残りの作品を全て見るのは絶対に無理である。さあどうする。酒盛りのため下界におりるか。植物園でライトアップを見るか。

 

→後者 ( /・o ・)

 理性は残っていたようです。

 

 

○曽谷 朝絵(Asae Soya)/《鳴る色》

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ビニルハウス内にカラーシートが張ってあり、周囲の木々と合わさって鮮やかなリズムをきざむ。作者は色を扱うときに音としての感覚も生じるらしく、色彩が音楽的な形や並び方をしている。

 

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空に星のアメーバが張り付いているようで。

生き物に似たイメージを私は大事にしていますので、大変喜びました。

光がガッと射すとこれで色のついた影が出来るから、また幸せになると思われる。

 

 

(作者不明)

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旅人の服をまとった勇者のような、威厳ある

小便小僧。

俯いた顔は何か苦痛に耐えているようでもあり、神妙さに厳粛なものが漂う。

小便の人とは思えずかっこよかった、小便の人なのにかっこよかった。

 

 

みるみるうちに暗くなり、暗い、17時を過ぎると露骨に暗い。そして寒い。暗くて寒いだなんて人生のようだ。ここは暗く、そして寒い。六甲山はフレンドリーな山だが、所詮は山だ、本性は人に厳しい。

行きかう人々は提灯を持っている。どこで手に入れたのか。色とりどりの提灯。それは作品だった。

 

○高橋匤太(Kyota Takahashi)/

 《Glow with Night Garden Project in Rokko 提灯行列ランドスケープ

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 紫色が提灯がそれ。人間が持っているものと設置されている物とがある。どういう原理か分からないが、周期的に提灯の色が変化するのだった。思いもかけずストレートにまっとうなライトアップを観れました。みんな喜んでいます。

 

とんじる的なものと甘酒を摂取し、体温を盛り返します。わあい。

アート作品が闇とライトアップで豹変していないかなと期待。

おや

 

○角倉 起美(Kazumi Sumikura)/《紫陽花》

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 かっこいいやん(^-^)ハ

色と形が、強い陰影や内からの光によって、存在感を一変する。

アジサイ・・・? もっとアフリカンな高熱大陸的なイメージを感じていたが、そうですかアジサイ

 

 

 六甲ミーツアートでした。

後に居酒屋でつもる議論をする予定だったが、体温を奪われ尽くしておかしくなっていたため緊急解散となった。無念である。皆さん免疫を鍛えましょう。