nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】R4.11/20 金糞岳・白倉岳・奥山(余呉湖で前泊~日帰り)後編/山頂~下り

滋賀県と岐阜県の県境に立つ「金糞岳(かなくそだけ)」、登山レポ後編です。「中津尾根コース」から頂上を踏み、反時計回りで「花房コース」を辿って白倉岳、奥山を経て下山します。

結局、7時発、16時下山。全体で9時間。ヒエー。

※私のタイムは写真のプロパティを参照していますが、さっきデジカメの時刻が10分ちょっと先に進んでいたことが判明。本稿ログはだいたい-10数分でお考えください。うへ。

 

ルートのおさらい。

この赤い線をぜんぶ歩きます(鬼)。反時計回りで登って下ります。シンプルです。前編では「②連状口」まで行きました。3時間かけて登ってきましたが、実はここまでは車で来れます。Pもあるよ! 今回は初見なので歩きます。次回は・・・?

 

hyperneko-daily.hatenablog.jp

 

 

◆10:00「②連状口」~ 10:30「③小朝頭」~ 10:42「④大朝頭」

急登がなく、いつまでも緩い傾斜が続き、植生も大きくは変わらないのが特徴的です。ハイキングと登山の間ぐらいの負荷。それでも高度が上がってくると大きな樹は減り、ササ系になり、徐々に稜線ぽくなってきました。

 

溝状の道がやたら多いのも特徴。なだらかな~ 丘~。地味に変な山だな。やはり脱藩している気分になってくる。

 

随時、赤い木の実やら色付いた葉などのカワイイ要素が色々出きて、女子を楽しませますが、筆者は情緒が偏っているのか山が狂っているのか、脳裏では芥見外々の絵柄でバトる人造人間とトランクス等の図が再生され、落ち葉どころではありません。バグい。

 

ちょうどヒドラのような木々も蠢いているので助かります。私も師匠も「山の自由度」を重視しており、壁クライミングやボルダリングにはハマれなかったのですが、やはりこちらの主体性とフィールド・コースとの関係が、登山とクライミング・ボルダリングとでは真逆なのだと気付きました。

登山はこちらの主体の在り様に応じて見えるものが変わり、「こちら」の形は規定されない。逆にクライミングやボルダリング等はそのルールやルートによって厳しく「こちら」の主体や行動を規定され、思考・感性すら従わせる必要がある。そこから外れると失敗:試合での敗北、怪我や死に直結する。「怪物」の潜む場所や出会い方が違うとも言えます。

 

見切れてますが右側の下方に林道(車道)が走っています。どこかで再合流するかなと思ったらどっかいった。あとは人間の戦いです。微妙なアップダウンが繰り返される。

 

稜線もどきが長かった(標高が低いので樹々の植生の切り替わるポイントがなかなか来ない)が、ようやく視界が切れて、周囲の山々を見渡せるようになってきた。

 

山しかない。

 

巨大なうねりのど真ん中にいる。単独の山に登っているのではなく、うねった地形の波の奥深くに入り込んでいる。こんなところで置いてきぼりにされたら鹿の餌です。人間はいない。昔の日本の山にはサンカという漂泊の民がいたというが、そら住めるなら住むわな。

 

10:30「④小朝頭」。

ここまで全く製鉄や鉱山に関係しそうなものはありませんでしたね。この先もありません。

みんながスマホをいじってるのは、撮影したりYAMAPの地図を確認しているからです。私は塩熱飴を舐めたりウェアの胸元を大胆に開いて上半身を冷やしたりと余念がありません。地図がないねん。山でスマホ地図&GPSを使えないのはもう老人。

 

「④大朝頭」以降は背の高い樹が終わり、ササ主体。道が明瞭で迷う余地がない。ただ、丘の連続体なので、どこが「金糞岳」の本体・頂上なのかがいまいち明瞭ではない。たぶん目の前の大きな凸型がそれだと思うのだが、、、確証が全然持てない。

※これは「目の前の山を頂上だと思って頑張って登ったら、ただの前座で本体はその奥にあった」という苦すぎる経験を重ねた挙句、「目の前の地形を信じない」人格が形成されてきたという経緯があります。

 

( ´ - ` ) がんばろ

 

10:42、「④大朝頭」

「樹が尽きた」と書いた矢先にまた樹が復活しました笑笑  わろてる場合ちゃうぞ。標高千mあたりというのはそういうもんですね。ちょうど「低山帯」と「山地帯」の境に当たる。

さきの小朝と大朝、どういう関係があるのか。単に開けた平地ということなのか。標高だけで言うなら小朝頭が1,081m、大朝頭が1,073mで、先へ進んだのにむしろ下がっています。ぎゃああ。このままだと最後は下界に下ってしまうのではないか。す、水前寺清子・・・助けて・・・。

 

 

◆10:42「④大朝頭」~稜線~ 11:33 金糞岳山頂、昼飯

さっき正面に見えていた大きな起伏が、より一層近付きました。でかい。

この先にはもう頂上以外のポイントがなく、小一時間で山頂に着くはず。となると、目の前にそびえる大きな起伏がまさに山頂なのではないか。いやまだ裏に控えているかもしれない。いや山頂・・・いや前座・・・ 判断がつきません。それもこれも手元に等高線付きの地図がないからや。仕事では根拠のない憶測ばかり述べるが、登山になると憶測を排して根拠を求める私。やばい。人事にばれたらころされる。ギッギッ(キメラアントになった

 

10:43、鳥越林道(車道)への分岐ポイント。

あ??? え?

車道へのアクセスがまだ可能な地点があったんすか?

 

頂上直下まで車で寄せられるマイナーな山。ますます金糞岳の異質さが高まります。と思ったら鳥越林道の方を攻めてるバイカー氏のレポを発見。ふつうに眺めのよい道のようです。いいなあ。

touge1000.com

 

そういえば「今日は早朝、午後に雨が降る」「雨が降ってない時は風が冷たい」って天気予報サイトさんが言ってたんですが、雨は全く降らないし、風もいまいち強くないし、動いているとむしろ暑い。師匠のペースで登ってるので自分にとってはやや速くて汗。

結果、大きなミステイクやダメージはないけど、予測・目論見の小さなズレは蓄積している。あんまり悪い方じゃないですけどね。前回の「横山岳」のように「サプリでドーピングしてフラフラになったうえ、登山靴のインソール着用忘れて足が死んだ」という致死級のポカに比べると「想定の範囲内」です。

 

(参考)これはしぬやつ。

hyperneko-daily.hatenablog.jp

 

歩いていると巨大な鉄製のやぐら?足場が組まれており、あまり冗談になってない規模だったので、サマソニならぬカナソニでもやるのかと目を疑いました。

カナクソレイブ? カナクソニック? 客の居場所がほぼないですが、まあ斜面で飛び跳ねてもらいましょう。まじでこれ何。謎が増えてしまった。

 

登りがだらだらだらだら長いんですけど、

 

ながいわ、これやっぱりあのでっかい起伏を右側から回り込みながら、がっつり登らされてる気がする。やはりあれが金糞岳本体か。つまりここ金糞岳頂上直下か。自分がなにしてんのかわからんのですよ。

 

苔もあります。山頂付近で苔??? 山の入口~中腹ぐらいの植生がだいぶ上の方まで持ち越されていて変な気分です。そら、尾田栄一郎のデザインの花山薫とかが脳裏でぐるぐるしますわ。山が曖昧なので意識も曖昧。ラリっとんかな私。苔はきれいですね。きゅん。

 

11:06、「頂上まで20分」看板。

 

おい待てよ。

 

( ´ ¬`) おい待てって。

 

うっすら見えとるその取消線なんやねんな。

致命的な取り消し線が入ってるねんけど

 

 

まさかここから1時間いかれるのでは・・・ パーティーに不安がおしよせます。

昭和のリーダーなら「看板のことは忘れろ!俺を信じろ!」などと鼓舞し、平成のリーダーなら「ググれ!」と鼓舞し、令和のリーダーなら「YAMAP地図ではやっぱりあと20分ぐらい」と確認して終了です。人間はインフラによって変化する生き物であり、実体はあるようでないのであります。しかし疲労してくると「スマホ操作、アプリ起動をめんどくさがり、視覚と直感で何となく判断する」が圧倒的優勢となります。あるこあるこ。

 

稜線ふたたび。眺めがよいです。

 

狭いながら広範囲に切り拓かれた土地が見える。おいゴルフ場か(怒) おいゴr(※筆者は若干の環境保護主義者であり、ゴルフ場は絶対悪であるという価値観に凝り固まっています。でも絵画にスープぶちまけるのやめろや(怒))

怒りが複層化してきて自分の感情がよく分かりませんが、あれは「グランスノー奥伊吹」というスキー場のようです(たぶん)。なあんだ。ならいい。あんな高低差の激しいゴルフ場あったら怖いよな。しかし貴族や電通は拷問みたいなゴルフをすべきだ。いいか銀行や商社や広告業界はゴ(略

 

なんか頂上を仄めかされてからがずいぶん長い気がしますが、長いよ実際。イノシシの通り道みたいなところを歩いております。風が強い。樹がなくなると風が直で吹き付けてきて体温がやばい。

 

( ´ -`) 風こそ強敵。

 

かいてきた分の汗が全部凶器に転ずるわけです。気化熱、これはきつい。だもんでウインドブレーカー代わりにしているレインウェア(上)を余計脱げませんねん。暑いやら寒いやらてんこもりでたいへんや。

 

「あっ(何かがおかしい)」と思って咄嗟に拾った石ですが、まるで文字を彫り込んだ石板のように模様が刻まれています。なななんだこれは。「おいこれは文字ではないですか」「まさか古代文字」「琵琶湖に古代文明が」ムー体験を積み重ねて至高にいたりましょう。

でも実際この模様なんだったんだろう。他の石にはなかった。山頂付近に建物でも作っていた? わからん。

 

いのしし道が続くが、傾斜が緩まり、目の前が空。もう山頂は近い。

 

11:33、山頂着。

登山口から4時間半。長い。やはり往復8~9時間コースであったか。事前に「そんなにかからんやろ」「まあ7時間では」と見込んでいたが、そう甘いものではなかった。歩くスピードは普通、過度に休憩をとるわけでないのに、途中で撮影を挟むからか、はたまたコースタイムの平均値を手練たちが縮めているためか、まあ、ままなりませんな。

 

 

飯をします。

 

 

(  >_<) あかん、

 

風が寒くて昼飯どころではない。

 

寒さの要因は気温というより、風。もっと言えば、汗で濡れたアンダーウェア。

あかんあかんあかん

脱ぎます。余分にシャツを持ってきていてよかった。着替えると全然違います。平和。皆さんも着替えは余分に持っておきましょう。

 

改めて飯。全員がコッヘルとバーナーを持っており、速やかに飯です。今日は装備も少ないので、道中で買ったカップラーメン(嵩張るので普段は持っていかない)を楽しみます。まずまず美味い。

 

茶会。各人がインスタントコーヒーや菓子など色々出てくるので、まさに茶会です。風が強い。ワイルド茶会であり、楽し気に見えて、これはちゃんと装備が整っていないと危ないことをご承知おきください。風ぇ。

 

 

◆12:30 山頂発 ~ 13:10「⑤白倉岳」

茶会やってたらマジで日がくれるので、ほどほどで下ります。なんだかんだで1時間ぐらい飯・茶してたのか。

まあ正直いって飯・茶を喰らうために山に登っているといっても過言ではない。なぜ報酬もなくキツい思いをして苦労をするのか? 原始的かつ単純な報酬系がそこにあるからです。3代欲求の一部を過度に用いたシステム、それが登山。

 

他人事みたいに眺めてた風景ですが、しばらくこの稜線を歩かされるのであった。うおお。長い。すぐ下りれるわけではなく、ごっつい遠回りで。雨が止んでよかった。

 

滋賀北東部の地形が剥き出しになっている。滋賀の山と水、分水嶺をテーマに活動している写真作家・みっこはん、中判カメラでの撮影も冴えます。フィルム1本で10枚しか撮れないという激烈縛りプレイですが、カラーフィルムの独特の色味と空気感に惚れ込んだがゆえの選択。滋賀のポテンシャルとマッチすることでしょう。先生の作品に乞うご期待!

 

( ´ - ` ) 煽ってしまった。しかしYouTuberが小型カメラでセルフ動画撮影しながら登山する令和のご時世、中判フィルムカメラとコンパクトフィルムカメラの2刀流での登山というのは、逆にレアというか、ひとつのスタンスとして注目したい。昭和では当たり前というかそれ以外なかったんですけどね。変な気分だ。

 

アップダウンがけっこうあるよ。徐々に時間と体力をつかう。

うわあ励まされた。

 

「⑤白倉岳」手前で登りに転じます&ちょっとだけ岩場があります。急に普通の山っぽくなるやん。そうなんですここだけヤマです。

 

「⑤白倉岳」1,270mが見えてきました。金糞岳のお供、サブ扱いのため、これ自体がクローズアップされることがない。ここ登るためには金糞岳も同時攻略になっちゃうからな。ポテンシャルはあるのに永遠に主役になれない存在。同情する。

 

山頂付近はシャクナゲが多い。

 

数少ない岩場シーン。岩を掴んで登る所が2箇所続けてあり、それで本日は終了です。本当に「山」っぽいのはここだけだったなー。お疲れ様でした。あとはひたすら足を使うので力をためといてください。後でひどいめにあいます。

 

「⑤白倉岳」頂上手前の稜線。

視界が360度開けて全体の地形がよく見える。撮影の絶好ポイントであった。撮っても撮っても山しかないが、滋賀というものの本性を知るには良い場所である。この山の連なり、竜が横になってすうすう息しながら眠っているようなものだ。

 

金糞岳・山頂を振り返る。

ものの15分程度でかなりの距離を歩いてきたんだなあ(詠嘆)。

登山というのは、タスクに取り組んでいる最中には目の前の苦しみばかりがフォーカスされるが、割と高い頻度でこうした客観視・鳥の目に切り替わり、自分のやってきたことの「成果」が距離(道のりや高低差など)で視覚的に提示される。つまり「やる気」を刺激させ続ける仕組みが最初から強く内在しているのである。なんというナチュラルビジネス。いや、ビジネスというものがこうした「自然」での営みをソフトに模したものとも言えるかも知れない。やだなあきもちわるい。

 

視点を90度変えると、更に登山口から今まで歩いてきた行程も一望できる。うっすらと刻まれている白い線が鳥越林道(車道)の壁面をコンクリで固めたものだと思われる。まるで砦。

 

メタルブレードを発見。こんな山奥でロックマンと戦っていたのか。合掌。

 

13:06、「⑤白倉岳」。

ものすごく地味な山頂。金糞岳の山頂と同じで、広場ですね。

記念写真撮って遊ぶ。既になんか疲労が来ているのか、仲間らが「記念写真撮りましょう」「私も撮りますよ」と交代交代でやってるのに、頭も体も動かない。音声は聞こえていて言葉を理解しているが、ものすごい億劫で体が動かない。なんこれ??? レベルが上がってもジョブによっては「たいりょく」が全然伸びないジョブがありますね、しかもMPも低いっていう。それ系。ああもう。飴をなめます。ぺろぺろ。

 

メタルブレード再び。やっぱりここでメタルマンが戦っていたのではないか。滋賀にワイリーの基地があった説が浮上。しかし電気は来ていない。ロックマン世界、あれは機械文明に憧れた生身の人間同士の戦いだったのかという説も浮上。こんなことばっかり考えてるから体力なくなるねんな。ギガー(ブレードを発射する音)

 

 

◆13:14「⑤白倉岳」~ 13:29「⑥八草出合い」~ 13:51「⑦ゴロウ頭」

まだ先は長いのです。行きます。稜線を徐々に下っていきます。

自然に包囲されているの図。逃げ場がない。

 

正解ルートであることを示すしるし。途中ズタボロで見えづらかったり、このように南国的な色合いだったり、組合活動の旗でもちぎって作ったんかと思うような何かの再利用だったり色々。

 

あっ。金曽岳。

 

13:30、「⑥八草出合い」。

枯れ木がめっちゃ増えてきた。モンスターゾーンです。プレイヤーの精神状態とか文化状態が反映されるので気を確かにもちましょう。それより足がだるい。

 

このへん、かっこよさでは随一かもしれません、文明が終わった感があります。樹々が奇妙な形をしているのは強い風が吹きつけたり、冬に豪雪が積もったりして変形したせいだと思われます。いかつい。

 

仲間が3人もいるから足だるいだの足いたいだの言ってられるけど、単独行だったらこれは寂しいを通り越して怖いですよ。茫漠とした枯れ森が無限に続いておる。哲学の森だ。自我を失いそう。

登りでは足を滑らせてめんどくさかった落ち葉が、下りではホバー効果で、わりとスルスルいけます。ただ弱ってくると枝や石に蹴躓いてこけそうになる。後にてんやわんやします。

 

このタイプのキノコは何度も登場。カワラタケかな。「薬になる成分を持っているとされていますが、非常に苦みが強い為、食用には向きません」まあ想像通りだな。

kinoco-zukan.net

 

13:51、「⑦ゴロウ頭」。

ここもただの小さな広場。「頭」と名の付くスポットが多いが、広場を意味するのだろうか。

だんだん口数も減ってきてポカリを飲んでは過去の痴話喧嘩、人の嫌がることしか言わないメンヘラ野郎、私を追い掛け回してびびらせて給料を得ている警備員ども、数々の負の思い出と戦い、そして謎に勝利し、目を開きます。「昨日までの世界はおまえたちに譲ろう、だが明日は私のものだ」等と偏った悟りを得、完全にラリっています。人が山に登る理由の一つに「マイルドにくるった状態で自分なりの悟りを得られる」というのがあるかもしれません。聞いたことがないな。母数1。

 

 

◆13:51「⑦ゴロウ頭」~ 14:36「⑧奥山」

実際には樹々の形が良いので撮影にも精を出していますが、特に使い道もないのでお蔵入りです。オクラス。

オキュラスかぶってVRに籠って課金アバター盛って遊ぶより、写真撮りながら山を登って駆け降りる方が性に合っています。Z世代も変わらんのでは。「山ガール」の後に来た「ゆるキャン」「ソロキャン」などの言葉も何かしら「リアル」アドベンチャーへの接点を強く示しておる。物理です。なぜならこの星もまた物理だから。岩石型惑星。VRに帰依しきらぬのはそのためです。たぶん。

 

マスクは分解できません。そして数十年後、うち棄てられていた世界中のゴミマスクに付着し休眠していたウイルスが、コロナウイルス・アルテマ株として覚醒、地球人を根絶やしにします。うおお。発熱のファンタジー。くるおしいですね。やかましいわ。

 

鳥越林道(車道)の姿がだいぶ見えてきました。まったく砦、軍事施設のような外観をしています。山など自然の奥深くに食い込んだ巨大な人工物を撮ったのが柴田敏雄です。そういう社会や国へ食らいつくガッツというか向き合い方が私などにはなく、先行世代と比較すると、どこまでいっても「喩え」の「戯れ」を繰り返していることが自覚されます。これが拭い難きサブカル感性で、そんな「戯れ」では諸外国への毅然とした対応力や自己愛を満たせないことから、わりとガチな愛国心の訴求、ネトウヨ的な感性が育まれたのでしょうか。それもまたコスプレ的な面がありましたが。

 

根こそぎ持っていかれた樹々を愛でます。破壊。

 

意味ありげで何もない平地がしばしば現れます。同じような光景が繰り返されるの、記憶がバグるからこわい。この白い樹々、何だったっけ。ブナ? ブナでしょうね。知りませんけど。

 

 

きのこワールドです。残念ながら何のキノコか一覧の写真と照らし合わせても全く分かりません。難しすぎます。上の丸いやつの群れも、クリタケなのか、ニガクリタケなのか、全然違うのか、わああわからんヽ(^。^)ノ

 

こうした「かわいい」キャラを撮ろうとしても、まず、見つける・関心を抱く・撮る気になる・足を止める・撮影モードに移行する、画角&露出を決めてシャッターを切る、という一連のプロセスを経るのは体力を使います。「カワイイは体力だ」と痛感しました。「カワイイ」は、気力・体力に溢れた健康な若者の特権だったのです。力の衰えたものは「カワイイ」から振り落とされ、それに触れる権利を失います。

 

ひときわ気色の悪い植物と遭遇。落とし物を枝に被せて風雨に曝され萎んでもうたのかと思ったら、師匠&みっこはん曰く「実の落ちたマムシグサ」だということで、うわあ、なんと毒々しいことか。黒地に白い斑点がなぜか複数のスマホのAFを拒否し、ピントが合わないという珍事が発生。照準を付けられない、アンチ・デジタルの天然デザイン。すご。

 

なお、マムシグサの実を食べたらどうなるかは以下の記事に詳しい。イタタ。

daimonjiyamawotaberu.livedoor.blog

 

コース全体の進捗がよく分かってないので、こまかく撮影にいそしむ。たのしいな。奇怪な形状は喜ばしい。

 

悪の研究所でしかこんな禍々しい形状は生まれませんよ。シュールレアリスムの外側にある異形。人間の想像や計算を軽々と超えてくるから自然は素晴らしい。3枚目の樹の幹とか、悪夢の四足獣が飛び跳ねてる姿にしか見えません。カトブレパスと命名。ぴゃん。

 

やはり文明が終わった後の世界だ。ロング・ダークがやってくる。こんなところで独りで野宿とかするメンタルないわあ。滋賀こわい。

 

14:36「⑧奥山」。

え? これ「山」ちゃうやん・・・ 中腹の平地・・・ いやわかんないです、森の中に居るから全体像がわかんないだけで、実は平らな「山」のてっぺんにいたのかも知れません。実際、地図はそういう表記になったる。標高1,056m。うそやん。

 

さてここまでわりとまったり撮影しながら遊んで下りてきましたが、コースタイムからするとあと2時間かかる恐れがあり、16時半ともなるとマジで陽が暮れてくる。やばい。

腹の底では全員「なんだかんだで15時台にはクリア出来るんじゃね?」と能力高めに見積もっていましたが、何のことはない、本気で下りないと「店(阿倍野方面)が閉まる20時までにレンタカーを返却できない」という割と切迫した事態が。あかん。あかあああんんんん。むり。

 

ここから巻きで、マジ駆け降ります。

 

 

◆14:40「⑧奥山」~14:58「⑨滝谷頭」~15:55「高山キャンプ場」

マジモードになったので写真がありません。ひたすら落ち葉の斜面をホバー歩きで滑り降ります。特に風景も変化がないのと、地味にかなり疲れていたので、無心でただただ下ります。

この行程で相当時間を稼いだ反面、邪道ゆえに足にへんな負担が掛かったのか、後に両膝がアホほど痛くなります。コンドロイチンのサプリはさすがに持ってなかったなあ。いたた。こんなもんサプリで救えるか!!!!気合いや!!!!気合い!!!! うわあ、こういう書き方すると語感がゆたぼん臭くてやだあ。きもちわる。

 

 

14:58「⑨滝谷頭」。

異様に暗いのは、駆け降りる時に首から下げた一眼レフのダイアルに腕か何かが触れて、露出補正がマイナス1ぐらいまで下がっていたため。そんなことある? シャッター切った後しばらくは設定関係の操作を受け付けてるから、その間にグルンッていってもうたらしい。

 

しかしコースの細部の記憶がない。トップをゆく師匠の駆け降りの軽やかさはまさに天狗。その後ろをギア上げて付いていく女子2人の「子天狗」な姿が、まるで『鬼滅』の「育手」と入隊希望者の修行のシーンそのもので、なんかいいなあと眺めていた。足が痛いので悠長に眺めている場合ではない。いたた。しかも足がもつれて割と石や枝に引っ掛かって転びそうになっている。なんか毎回毎回、私の弱体化ひどすぎません??? ステータスが噛ませ犬みたいになっとんすよ。

 

しばし下ると、紅葉が現れた。黄金に輝く山中。雨天どころかすっかりボーナスタイムに突入である。これはさすがに全員足を止めて撮影。美は人を止めるのである。美とは何なのか? また分からなくなってしまった。

 

紅葉の下には、ガクガクブルブルしながら歩を進める人間たちの姿があった。生きるとは痙攣的な営みである。みんな乳酸抱えとんのや。根っこで転びそうになります。なるんやで。乳酸はごまかせないんやで。

 

道の両サイドに紅葉。下山はハイライトが多いですね。ルートが逆だったらこれは撮影に忙しくて全然前に進めてなかったのでは。

 

だんだんスギ的な樹も増えてきて、終盤はスギ林に切り替わり、鬱蒼とした陰の中を下ります。ルートは明瞭だけど道はない。滑るのみ。石でこけそうになる、

 

こけた。

 

 

がんばれ ヽ(^。^)ノ

 

なぜか動画が残されていた。このような道である。


www.youtube.com

無心で窪みを下り続ける人間たち。これといった難所が無いにも関わらず、ただただ「長い」というだけで地味に体力を奪ってくるコース。

 

これも腕がジャッてダイアルに触れてプラス補正に入ってしまったの図。スギ林に切り替わってきてますね。

 

ペースを上げてからの私の余裕が全く無く、腰から下の筋力がない。前回の「横山岳」はもうちょっとマシな下山してたぞ。登る度にコンディション悪くて、呪われてる感じがして悲しいですね。

 

最後の最後で嫌らしい石ゾーン。なんだろう、足がふらつくんでやめてもらっていいですか?(ひろゆき口調)

 

えっなに現代アート???

 

ただの電線の鉄塔でした。そしてテントウムシがすごい数集まっている。冬眠に向けて集結しているのだろうか。そういえばテントウムシって群れで冬眠するのだが、どうやって集合を掛けているのだろうか。謎だ。この集合と団結のメカニズムを解明すれば、通信を遮断され分断を強いられている中国の人民もSNSを介さず団結でき、真の革命が達成されるのではないか。天道革命・・・ だめだ足が痛くて革命の力が出ません。がんばってください。

 

あほなこと言ってたら、車の音が聞こえてきたし、眼下にアスファルト的なものも見えてきた。終わりが近い。

 

15:55、下山完了。お疲れ様でした。

開始から9時間。昼飯1時間をさっぴいて、登り4時間半+下り3時間半の8時間コースでした。長い。

仲間のログによれば、踏破距離は17.2㎞。これ、夏に行った白山の往復(10.7㎞)より遥かに長い(※山頂は未踏、ビジターセンター止まり)んですね。そらボロボロになるわ。なんちゅう山や。

 

この後は前回同様、木之本の「北近江リゾート」で身を清め、さっぱりし、車を飛ばして帰路へ。山の後は湯に浸からないと人間性が回復しませんな。

が、高速が片側車線工事のため閉じ、ぎりぎりで車線変更して入ってくる車どもによってアホみたいな渋滞が起き、+40分だか小一時間むだにした。無念。途中の自宅の最寄でおろしてもらったが、最後レンタカーどうなったんだろう。

 

ヒザや足首、腰の痛みは翌日ピークだったが、全然大したことなく2~3日で消えた。精進しろということでしょうか。へえ。またがんばります。しかし結局「金糞」、製鉄や鉱山については謎のままであった。うへえ。

 

 

( ´ - ` ) 完。