nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】2024.11/23_鈴鹿山脈/竜ヶ岳(中道⇒遠足尾根)②山頂~下山

不当に風が寒い。両手がもうだめです。山頂から逃げ出し、「遠足尾根」ルートを駆け抜けるように逃げ、下山。

体の芯から冷えたんで、テント泊だったら危なかった。

 

山頂には着いたんですよ。着いた着いた(なげやり)

目標達成のため、さっさと下山します。しかし風がおかしい。びゅうびゅう吹き付けてくる。こっちは手袋がないんだ(※個人的なミスです)

hyperneko-daily.hatenablog.jp

おかしい、ハイキング同然の山だったはずなのになんということだ。ちゃんとしたガチ登山になっとる。あまりにハイキングハイキングと連呼してたから山の神様ブチ切れた模様。

 

 

◆山頂(11:38)~緊急小屋、トイレブース(11:58)

「遠足尾根」ルートはとても景色がよく、竜ヶ岳全体を見渡せて、爽快です。爽快ヤー。ただし風が冷たい。そればっかゆうとるな。まあ風の寒ささえなければハイキングなんです。

のどかな丘に見えるよね。

草原めいた丘に道が続いていて、陽の光を浴びて黄金に輝く、理想郷。人生の安楽と達成を感じます。うそです。この写真は嘘です。全然平和じゃない。きつい。全ては風のせいだ。自然が、凶暴すぎる。人間を追い詰めるのが自然。

 

手袋があれば話は違った。

あと一眼レフのストラップが千切れかけています。堰堤の手前あたりで気付いてしまったんや。荷重が同じところに掛かり続け、ぶらぶらするもんだから、ストラップが擦れて切れて残り1/3ぐらいに細くなったヒモ部分でカメラ重量を支えていることが発覚。気付くと妙に気になってしまい、カメラを手で抱えて歩き、手はますます冷え、色々と細かく失敗している。嗚呼。まるで人生のようだ! わあい。

天気さえよければハイキングですわ。この日はただただ理不尽。みんな平然と歩いてるけどやはり厚着しているしフードで防御している。今どんなお気持ちですか等とインタビューしてみたかったな。ビュオオオオ(風の音がする)

 

寒い。とうとう雪が降ってきた。あかんて。

痛い痛い痛い。ばちばちいうとる。雪が横殴りに振ってきて耳だの頬だのを打ちつける。罰ですかこれは。話がずいぶん違う。誰やハイキング言うたの。私や。体力・気力がガンガン削られ、泣いています。こんな山のことが記憶に残ってないのは本当におかしい。なぜなのか。前回ハイキングだったからや。理屈がループ。

 

気力が萎えたら、煮炊きをし、暖かいひるめしをするの一択がセオリーなのだが。今回それが頂上で叶わなかったので、気持ち的に「ゴールなくとりあえず毎日2時間残業させられ続けている」ような、区切りの無い疲労感があります。どこかでスイッチを切り替えないと。

シャレになってない。雪がちゃんと降ってる。横殴りの風が深刻に寒い。体は守られているが素手なのできついのだ。皆さんも冬の山では手袋を常備しましょう。こうやってGWとかにアルプスで風に吹かれて体温奪われてぼろぼろ死ぬんです。風は恐ろしい。

尾根も微妙に分岐がある。詳しいことは知らない。ルートの詳細な調査などしてられない。「金山尾根分岐」と「遠足尾根」があり、金山の方に逸れてもあとでまた合流はできるようだ。合流しない場合は別ルートでの下山になる。

あっ?? 小屋が???

 

これは飯??? いける???

 

ちょうど登山者らが中から出てきているところに出くわした。

気持ち的には避難小屋の中で風をしのいで、ごはんをしたい。煮炊き!煮炊き!煮炊き!煮炊き!マッドマックスでV8を称える群衆のような声が脳裏に響き渡ります。

だが残念ながらそのような幸せな幻想は即座に却下される。これは

 

「この施設は避難小屋・休憩施設ではありません」

 

ええーー ( ´ ¬`)

 

登山道整備のための資材置き場的なもので、小屋の前に集まっていたのは、中で休息を終えた登山者パーティーではなく、登山道整備などのスタッフだったようだ。気付きませんですやい。

傍にベンチがあったが別に風も防げないし、寒いし。全ては太陽がへろへろなのが悪い。そうだ太陽が仕事をしないのが悪い。労働争議だ。

 

山頂から先は、植生保護・再生、笹の再生や、登山道整備についての説明書きがよく出てくる。人が入りすぎて踏み荒らして笹やシロヤシオが衰退し、荒れているという。

自然保護にはお金がかかります。

 

トイレがある! と思ったらトイレブースだった。

トイレ本体はみなさん持参しましょう。



 

◆遠足尾根(12:00)~途中で昼食ポイント(12:18)

3人とも考えていることは「早くメシ食わせろ」と「どこでメシ食えるのか」の2点であって、きわめて気持ちの純度が高い。

おそらく石灰岩を切り出してセメント用に加工している。藤原岳にはセメント工場があるようだ。

大きく丘を下りていく。風が強くて、樹々がものすごい音を立てて揺れている。不吉な音がする。怖い。独りだったら…。

青空を押しのけて、どんどん黒い曇り空が押し寄せてきている。やめてや。風が寒くて強くて音がおかしい。なおかつ雪も降ってくる。本来は景色の良さが人気なのだろうが、長居すると体温奪われるので、逃げます。

山頂を振り返り。あんな風の中でみんなよく平然とメシ食ってくつろいでるよな、。、真似できません。もう逃げ出してるかもしれないが。

そうなんですメシどこでしましょう。適地がない。

どこか風をしのげるところを。ないんや。

ひとつ丘を越えると、一気に木々がもふもふ、わんさと茂っている。しかも暖かい。あれっ?? 暖かいですよ???

地形と方角の関係で、北からの風が遮られ、温暖な空気がキープされているようだ。

草木がやたら茂っているのは風が弱い証拠。風が弱い!? 弱い! 本当に弱い!これはついに楽園を得たのかもしれない。

 

飯です。

煮炊きして飯ができます。うれしい!

 

12時過ぎに飯というのも別に普通なのだが、4時起きで朝飯食ってるもんで、これ以上遅らせて食うのはモチベに支障をきたします故。ここで食べておかねば心身ともにもちません。下山まであと1.5時間はゆうにかかる。

コケ類を避けつつ、煮炊きを敢行します。どうも先行者がテントでも張ったかのような空き地があり、3人の尻の置場があった。よかった。

 

煮煮煮。

カップ麺はいいなあ、3分で食べられる。尾西のアルファ米シリーズは湯を入れてから15分かかります。理不尽だ。

空はさっきまで晴れていて暖かかったのに、みるみるうちに日が陰り、山頂の方から灰色の雲がやってきた。それとともに冷たい冷たい風が吹いてくる。おい。やめろ。せっかく無風の安住の地に辿り着いて飯をしているんだ。

 

ビュオオオオ

寒い。

 

寒いがこちとらコッヘル煮炊きで湯をガバガバ飲んでいる、手足が多少冷えても内臓から温まればどうということはない、内臓が温まれば全てうまくいく、

と思ったんですけどね。予想外に風が地味に深く刺さって、手足、特に腿だのふくらはぎだの二の腕だのの内側がどんどん冷えていく。うそやん。

 

山の上の方で、木々が揺さぶられ、物凄い軋み音を立てている。低い悲鳴のような音がザワザワ言っている。音が大きくなっていく。時間と共にじわじわ、じわじわと風が冷たく、強くなっていく。「くんなや」私達は呟いた。無力な呟きである。風は、もっと近づいてきた。

おしゃれ羊羹で茶会を決め込んでいたが、また小雨みたいな雪が降ってくるし、空気が完全に冷えてきて、逃げるように片づけをした。3人の気持ちは一つになり、逃亡です。

下半身がやられた。上半身はレインウェアで耐風防御されているが、下は普通の登山パンツなので、やられ放題である。だが雨でもないのにわざわざ登山靴を脱いだりしてレインウェア下を履くか? 難しい問題だ。

 

 

◆遠足尾根つづき(12:50)~森へ(13:04)

逃げる。ハイキングて言うたの誰や。両手の冷えに、下半身の冷えがかなり深い。歩いていれば温まる、と思っていたが、後に温泉に浸かったとき、芯まで冷え切っていることに気付いて恐怖を感じた。一度冷えた深部は運動や湯を飲む程度では復元しないようだ。

下界を見下ろしながらの尾根下り、景色は最高だが、もう長居したくないのでざくざく歩いている。

 

あ???

虹です。

善行値が溜まったのか、地上でゆうしゃがイベントフラグを達成したか、オールドメディアの大掛かりな演出か、知ったこっちゃないが美しい。まるでテレビのようにはっきりと美しい。世界はマスメディアが作っていて、私達の抗いや逃走もまたマスメディアの産物なのだ。真実はどこにもない。無いということが真実なのだ。などというポエムを詠みながら風に吹かれて。さぶ。

山頂をごらんなさい。もう真っ白に雲の中。吹雪でしょうね。ゆっくりようかん食ってたら死にますよあれは。ようかんは・・・甘くて・・・正義だ。

風がひどいので本格的に頭部・顔面を防御する人達。30分前まで太陽が照ってて安楽なはずだったのに、どうしてこんな・・・。

近くに普段着で登ってきている若者3~4人がいて、おそらくこっちのコースは簡単だからサクサク登ってこれたのか、キャンプ場で泊まるグループが暇で登ってきたように思われた。あんまり私達のような悲壮感がなくて、ああ20代前半には寒く感じないのかもしれないなと思い、ちらっと絶望に襲われた。やめろやめろ。

虹がどんどん濃くなる。すごい、こんな明瞭な形をした虹は生まれて初めてだ。テレビ局が用意してくれたとしか思えん。※兵庫県知事選の影響により筆者の認知はバグっています。

 

少し下ると、森の中に入った。樹々が頭上と道の両脇を覆った!やった!これで勝ちです。風に直接曝されることがなくなり、だいぶ軽減される。

遠足尾根の90度曲がり地点。まっすぐ下ると「大鉢山」とやらに行くらしいが、「未整備により道ありません」と。道迷いが過去に起きていたと思われ、ご丁寧にロープで塞いである。地図にもそんな山は書いていない。低山あるあるの怖さだ。

90度(むしろそれ以上)に曲がらないといけないのは死角すぎ、ロープや張り紙がなければ気付かない。道自体は難易度ゼロだが・・・。

ここ以外はコースが明瞭。素直に進める。

そして暖かい。下れば下るほど太陽が照っている。わあい(暑い

岩々したところは「カレンフェルト地帯」、つまりカルスト地形の一種。石灰岩が雨で削られたりして溝ができたもの。

 

 

◆スギ林へ(13:33)~岩(13:45)~本道合流(14:20)~下山(14:40)

いきなり地形が切り替わって、スギ林です。いよいよ終わりが見えてきた。どんな登山もスギ林に入ったらもう終わりです。ただし地味に長い。あとちょっとのはずが、やや理不尽なぐらい仕事をさせられる。

垂直で無駄がなくて、数学的で綺麗なんですけどね。

普通のスギ林ではない地形もある。石灰岩の山ですからね。

仲間が浮石に足を取られてズザーってなり、斜面から落ちそうになっていた。終わりかけの仕事に魔物が潜んでいる。

御在所岳の「一ノ谷新道」ほどではないが、岩と木の根の段差を捌く作業を大量にやらされる。めんどくさい。下山はどうしても労働っぽくなる。

 

あっここはかっこいいね。岩がモリモリしていて奇景を感じる。

岩々を登ると、太陽の光へ向かって登っていく形となった。逆光シルエットが良くて、仲間氏が発情し、撮影会がにわかに始まる。が、仲間氏のカメラ(SONY)がお狂いになり、道中しばしば狂っていたものが、いよいよ本格的な発狂をきたし、勝手に連射モードになったり、露出やらモード選択やらが暴れまくり、撮影不能という。前に雨に降られた際、水気が基盤に入り込んで接触異常を引き起こしたものが、未だに続いているようだ。10年近く昔のSONYさんは、確かに画質は凄いが、カメラに必要な要件、特に身体的要件を満たしていなかった感がある。買い替えを前向きに検討する会話が続く。

 

良い岩だ。恐竜の背骨のように頑丈でぐらつかない。しっかりした岩に体重を預けて四肢で掴んで上り下りするのは喜びです。

しかし喜び時間もここまで。この後ずっとスギ林が続く。

つづらおりやあああ。作業ですわ。冒険的な話は、ない。

ぜんぜんない。作業。あかんて。労働のようだ。はい。

ご覧の通り、もう林業見学みたいなもので、いや林業に失礼だな、ともかく線路の上を走るようにしてスギ林を歩いています。目標や志向がなくなり、ただただ距離だけが物理的に続いている。時間の前後がなくなり、端的に言うと、ヒマ。もうあかんヒマ。あっ。あかん脳内でキングダムと蒼天航路が混ざりながら自動再生されたる。違う絵柄の中華歴史マンガが混ざる、、強力な武将がデカくて超人的に強いのは共通しているから混ざりやすいのだ。記憶が記憶でないものへ、印象とか別のものへ位相していく。

下界の音が聞こえてくるようになってからが、えらく長いのがお約束。なぜならつづら折りだからだ。倍以上歩かされる。こうして小腸なども折り畳まれて腹の中に長距離で収まっており。ちくしょう暇だ。

最初の歩道に合流。やっとや。失禁などしなくてよかった。実際もれそうなぐらいぱんぱんで、尿は、来ている。

 

森に入ってからは、すっかり寒さから解放され、汗ばんでいていた。温度・気象の差が極端なんですね。こんなもん山頂付近がどうなってるか判断つかへんわ。山はこわい。

真顔で「こんな道あったっけ?」と首を傾げていた私、地味に重症かもしれない。登山当日の記憶がない。記憶障害の原因はいくつかありまして、それは(略)

 

なんやらいい匂いがします。

 

薪などを燃やしている匂いがする! 燃やし! いい匂いだ!

道の下には川があり、河原には大型テントが並んでいた。ああキャンプ場だったのか。しかしでかいな。登山のテントは軽量・最小限を旨とするので、同じ「アウトドア」でも思想が真逆なのだ。なので両者は近い所にいるようで、交わらない。キャンプ場でテント張る人と、山頂付近のテント場でテント張る人とは永遠に交わらないのであります。(※個人的に偏った意見です)

14:40、下山完了。

 

8時以降の登山開始だと、普段は16時頃の下山になってしまうことが多いのだが、今回はやたら早く下りてくることができた。尾根~山頂が寒すぎて逃げ帰ってきたんだよ!

そして尿意が限界のために、駆け出していったのだ。もう私に自我はない。装置だ。

 

(´・_・`) このあと温泉の外湯に浸かりに行きましたが、体の芯が冷え切っていて、お湯を浴びるまでが寒すぎて震えていました。熱い湯に浸かっていてもなかなか満足できない。こんな低山でここまで冷えるんだから、アルプスあたりがどれだけやばいか、身に染みて理解した回でした。

まあ最初から寒いところに行く場合は、タイツなりレインウェア下なりで防御固めていくから、逆にそこまで冷えることはないかもしれないが・・・。

 

完。( ◜◡゜)っ