nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

★大阪・関西万博★2025.9/23_③トルコ、スペイン

大阪・関西万博2回目。レポ③トルコ館、スペイン館。無策の当日チャレンジでなんとかしていくの巻。ある程度はなんとかなったよ。

これは事前予約のない私が無手勝流、行き当たりばったりで、当日チャレンジでとりあえず回っていくというあれです。

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13~14時台はまだ平和だったということを後に知ることになる。

 

◆13:43~14:12 トルコ館

なんか入れそうな気がする。おしゃれパチンコ屋みたいな赤い柵のトルコ館(感性がやばい)。行列はあるが制限ないし所要時間も書いてない。いくぞ!

 

◇待機列~エントランス

X(Twitter)の注意喚起を見かけたが、「並んだ列が本当に目当ての列か」はよく確認しましょう。パビリオンの列だと当然のように思ったけどトルコアイスの列だった。無茶言うなや分かるわけないやんか。もうちょっと暑かったらアイス食ってたな。

けど後に観察したら、トルコアイスといえばびよーんと伸びるのが象徴的だが、こちらのはあんまり伸びてなかった。

 

列は長いように見えてけっこう進んでる。内容が薄いのかもしれないが、こんな終期の混雑の渦中では、展示クオリティなんかどうでもよくて、とにかく「入れる」「回れる」ことが最重要なんすよ。こういうパビリオンは有難い。

隣の「タイ館」も相当な行列で、しかも動きが鈍い。やばそうだ。比較して諦めたわけです。ゾウのオブジェがあるからインドかと思ったらタイ。

木の切り株がおいてあって立派ですね。国松希根太《WORMHOLE》、樹齢約300年のミズナラの幹である。時代を超えてきた存在、300年前から現在へと接点をつなぐということで、浮かれてるから全然ちゃんと観れてない。しかしでかい。

こういう、アートか非アートかの区別(権威)を無化するものがバンバン出てくるのが万博。領域がなくなる!おもしろい。

 

15分ほどの待機で入場。やったね。

 

◇オブジェ、展示品

入ってすぐラスボス手前のヤバ側近マジモードみたいな顔、あるいはラスボスの封印されし形態みたいな顔、異魔神的なやつ(※語彙に問題があります)がいまして、興奮しましたね。巨大な顔が虚ろな真っ黒の目をしている、青く発光している。一体何なんだこれ。

で今、録った映像を確認してみたら、若い男性とも言い難い人工的にさわやかな声で、「…独特の自然の尊敬、美しい歴史、そして、豊かな文化遺産によって、世界的に知られている特別な地域です。」とAI翻訳した文章をAIが喋らされている。唇がぱくぱく動くのが不気味だ。

このとき動画撮影していて、写真も鑑賞も二の次になっていた。人間は記録行為をすると記憶をしなくなるらしい。私が虚無なのはいつも記録し続けているせいだろう。

正面に置かれていた太陽と月のオブジェをちゃんと撮っていない。でかい。壁の映像も太陽と月がダブルで天に昇っている。まさにトルコの国旗に象徴される太陽と月、昼と夜。なんて贅沢な総取りなんだ。。世界の支配ではないか。

ムーディーな照明が暗くて分かりにくいが伝統文化・産業の紹介もあり、織物が静かに垂れており。日によってトルコ絨毯の手織りパフォーマンスがあったらしい。

しゃれおつな凝りすぎたバーみたいな、船体の形をした建物が登場する。建物内に建物、これぞ万博だ。中身は土産物屋。さてこの船の正体は日経新聞が教えてくれた。

上部をよく見るとエルトゥールルと書かれている。1890年に和歌山県串本町沖で沈没したオスマン帝国(現トルコ)の軍艦エルトゥールル号だ。

暴風雨により難破し、乗組員587人が亡くなるなか、漂着した69人を地元住民が献身的に救助した。事故から約1世紀後の1985年、イラン・イラク戦争でイラン在住の日本人脱出の際、トルコ航空(現ターキッシュエアラインズ)の特別機派遣の「恩返し」へつながる。お土産ショップ内では、その出来事には触れられていないが、ターキッシュエアラインズのデモ客室も展示してある。

www.nikkei.com

解説文とか色々見落としていたのかもしれないが、船の話なんか出てこなかったけどなあしらんしらん。大阪・関西万博の恐ろしいところで、「何気ない展示品や置物が実はすごい意味や価値を持っている」「知ってる人が見れば一期一会の場だとわかる」「行くたびに発見がある」というやつです。

そして記事にもあったように、土産物コーナーの奥?に、ターキッシュエアラインズの客室レプリカがあったらしい。えーー全然気付かなかった! しらんしらんどういうことや。

 

◇映像スクリーン

ちょうど船体の前面から左側面に沿って曲がっていく(この時点では全体像が見えていないので、船の形とも気付いていない)と、壁一面を使った巨大映像スクリーンとなっていて、トルコPR映像が流されている。

いつぞやかのなんかの危機の際に、アジア諸国を助けたっぽいですよ。NTT光通信みたいな映像が90年ぽくて懐かしくて痺れます。けど通信、経済、発展、テクノロジーを前面に押し出した展示というのは90年代にはなかったか。なおこのあと文化的・歴史的なな話に移行します。

と思ったらシゴデキ美女が登場し、CAかバンカーみたいな恰好でスマホ耳に当てながら颯爽と現代的ビルから出てくる。トルコはクールだ!いけてる!バリキャリ!世界を動かす!金融!経済!投資!利益率!

あまりにトルコと関係のない現代的な働き方の理想イメージみたいなのが流れ、おれのカッパドキアをかえせと思ったが、これ銀行のCMだったのでは。

逆から見たところ。左側が建物の壁で映像スクリーンになっている。右側が例の船体。かっこいいね。展示としてはあっさりしてて、これで終わり。

 

◇物販

物販の入口がおとぎの国になっててなんで?

これカッパドキアらしい。気球が飛んでるんですって。

世界のことを知らない日本人が増えています←イマココ

緻密で可愛いのは良いんだけども、手鏡ひとつ4000円はブルジョワすぎて参戦不可能です。概ね「ちょっといいかも」は数千円で手が出ない。

菓子一箱に1200円、1600円、2400円いけるかっていう話。トルコ行ったことあるなら買ってたかもしれないが、カッパドキアすら知らなかったおれにそんな愛着はないんや。

「あっこのねこかわいいー」「えーほんとかわいいー」でカワイイに5,000円投入できるかっていう話ですよ。きつい。輸送費人件費もろもろあるんだろうけどむりです。

よく見る青い目玉模様は「ナザール・ボンジュウ」というらしい。「ナザール」=視線、視覚から邪視、妬ましさといった負の意味、「ボンジュウ」=ビーズ。嫉妬をそらす魔除けとして紀元前からあったとか。

 

この物販コーナーのどこに航空会社の座席のデモスペースがあったのか未だにわからない。

 

◇14:13~14:38 トルコ飯、移動、マーケットプレイス周り

パビリオン入口の左右脇にトルコアイスと軽食(ドネルサンド的な)の販売カウンターがあり、昼飯2として食うことに。多めにコンビニ握り飯と片親パンバターロールパン4つ入り持参してるけど、体力消耗からすると早々に無くなる気がしてきたため。

ドネルサンドで2480円、まあいいです全然いい。

パビリオン入った時は無列だったのにすぐ行列ができてた。昼ですからね。

まあまあなボリュームがあって1つをシェアするので十分。ちょいピリ辛も入ってて日本にはないテイストで満足。

次の獲物を探して移動します。明らかに空いてるパビリオンを狙うんや。

大屋根リングの外側にフードコートがけっこうある。うどんで千円前後、エビが乗って1500円とかで、まあインバウンド価格ではあるけどニセコほど極悪ではない感。

家族連れが多いのでどこも満席すわ。子連れは休憩が最大のミッションになるから仕方ないね。よく鍛えられた大人は椅子に座るという概念がありませんので。

混んでるけど窮屈で身動き取れないというわけではないのが絶妙。入場予約制の恩恵でああ。1990年の花博では、混雑としんどかったのと混雑しか記憶にないのは、入場制限システムがなくて来場者が殺到してたせいか。オンライン予約とか無かったからなあ。

会社の名前とロゴの木製プレート。大屋根リングの施工に関わった社だろうか?よく見ると細部に色んなものがあって、これは10回来ても新しい発見ありますわ。

バグ寺社仏閣みたいな大屋根リングと近未来の遠近感がバグいですね。おいしい風景だなあ。本来は都市空間自体にこういうバグみを求めていたのだが、どこもかしこも再開発のたびに無駄のないメンテのいらないホームページみたいな、触りの良いインタフェースになっていったので、万博ぐらいしか狂った凹凸が見られなくなってしまったのだ。

なお明らかに狂った行列も見られるようになり、危機を感じ始める。コノヒトタチ何時間ナラブツモリナノ???

 

◆14:40~15:22 スペイン館 +シェリー酒試飲会

明らかに動きの速い列を発見。スペイン館である。

これは狙い目だ。

 

◇待機列~エントランス

平成初期に建てられた、当時基準のおしゃれリゾートホテルのような色褪せ方がなんとなく魅力的です。

列の進みがかなり速くて驚き。どういう展示なんだこれは。

まだ半年弱しか経ってないのに平成初期のリゾートホテルみたいな経年劣化してるのが本物っぽすぎる。ここだけ時空おかしくない? 錆の感じとか30年選手の風格があるやで。水色の色褪せ感はガチです。

いったいこの巨大な階段状ステージを何のために作ったのか、見当つかなくて心配になる。死にスペースてことはないと思いたいが…

老いたリゾートホテルのプールみたいな外観の裏に木材がしっかり見えて、リサイクル材の使用とか工夫してることがうかがえた。

 

◇14:55~15:05 2F:海

パビリオンに入ると、表とは真逆の空間。

真っ暗な空間に、デジタルの濃ゆい青、紺が、フロア奥深くまで光っている。手前にはデジタルの青い球体。

海だ。

スペインは海がテーマだったのだ。

むしろスペインは広い国土に様々な自然があり、山も砂漠も洞窟もあり、基本的には大地がアイデンティティーなのだと思っていた。闘牛なんてその象徴的なものだ。まさか海一色で作り上げるとは、完全に予想外でこれは。刺さる。それに美しい。

 

フロアは大きなUの字型スロープになっていて、真っ直ぐ下っていって、奥で折り返し、またエントランス方面に向かって更に下っていく。この時点では何も見えていないが、その先は1階へと下っていく順路となっている。

海の歴史、遭難の歴史から日本との関わりを語る。1609年にガレオン船「サン・フランシスコ号」が千葉県御宿沖で難破したが、日本の住民、海女たちによって客と乗組員は救助されたという。うまいなあ。助け合いから生まれた縁を持ち出すのはうまい。

海賊、財宝の説明パネルがあり、これはもうちょっと読みたかったな、人が多かったので深入りできず。2012年の話で、略奪的なトレジャーハンターと、おそらくスペイン国家との、法廷闘争の話である。1804年に英軍に沈められた沈没船「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラス・メルセデス」号の積み荷であった、50万枚の硬貨を巡る所有権、ひいては沈没船そのもの保護を巡るバトルであったようだ。 

【海賊】

トレジャーハンター会社「Ithaca(イサカ)」、現代の海賊たちは、難破船を発見して遺跡を破壊するテクニックを使って略奪しますが、その遺跡に敬意を払うことは全くありません。彼らの唯一の関心は、財宝を手に入れることと、そのイメージで利益を得る事だけなのです。

やっぱりそうなんやな。トレジャーハンターって勢いにターボが掛かった脳筋バカという印象で、自己弁護に長けたイキリベンチャーとか転売ヤーと同じ器質を感じる。

折り返し地点から入口を見返したところ。黒背景に青が美しい。スペイン=赤、黄色の固定概念を完全に覆されて気持ちいいです。

前半は海とスペインの歴史、後半は風力発電や海藻のポテンシャルの研究など、新たなエコなエネルギーが特集される。過去を通って未来へ歩いてゆく動線がまた見事だ。

ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア(長い、)に、スペイン藻類バンク「BEA」があり、微細藻類と大型藻類を培養試験管で保管しているという。

海の青が、人間みな兄弟、家族、みたいな映像に切り替わる。海で繋がる人類~。よかったですね。

 

◇15:05~15:10 1F

…で終わらなかった。

海が終わると、次のコーナーからがスペインの象徴的な世界観、黄色オレンジ赤色でフロアが照らされ、壁には多数のモニターが並び、スペインを代表するのであろう人物や建築、風景などの画像が流れていく。向かいの柵には旅、食、文化などテーマごとに観光土産ポストカードが並べられ、スペインの基本的な姿が紹介される。

概要説明→目玉の特集、という一般的なプレゼン順序を逆にしたことが、強い印象をもたらした。

観光地かなこれは。

スペイン飯ですね。

サグラダファミリアとダリ。

色が太陽の昇り下りのように移り変わり、モニターの画像もどんどん変わり、ポストカードも大量にあるので、情報量は多い。写真では照明の色に全部染まるのでなんのこっちゃわからないが、古い観光ポストカードを見ていくのは面白かった。テンプレ祭りですからね。

 

◇物販

ワインですよね~。レジに列ができてました。私はワインを飲まない(開栓後の管理が杜撰で味が悪くなるから高いワインに責任持てない)ので、スルー。

オリーブオイルは別に高くなかったので買ってもよかったんだがな。

ワインばっかりですね。これは他の人に任せて(スルー

 

…スルーできたと思ったんすよ、

 

 

◇15:10~15:25 シェリー酒試飲会

パビリオンの物販を出たところで別の部屋に貼り紙があり、試飲・即売会がどうのと。

 

え。 試飲あるの??? いいんすか???

あ???

 

(´ー`)ノください。

シェリー酒が何なのかも忘れてしまった私、原材料も製法も知らぬ。(※シェリー酒とはワインの一種で、スペインはアンダルシア地方のヘレスあたりで作られ、酒精強化ワイン、つまり醸造過程でアルコールを加えて度数を上げたものを指す。) 

 

まず初めに「アモンティリャード コクのある辛口 NPU」と書かれたのをてきとうに試しましょうね、

 

あかんこれ美味すぎる(つ q`)

 

コク、味の濃さが半端ない。甘い辛いの問題ではなく味の奥行きと深さが凄まじい。こんなワインの上位互換みたいな酒があったとは、、、

 

しかし同じアモンティリャードでも、左隣の「コロシア・アモンティリャード」を試すと、なんか全然違う。もっと軽い、それゆえにNPUに比べると随分薄いように感じてしまった。圧倒的な存在は他を蹴散らす。買うべきか最後まで迷ったが、ワイン1瓶抱えて残りの消耗戦をやりきるのは無理です。諦めたわもう。

「フィノ コロシア・フィノ」「フィノ ラ・ハンダ」、このあたりもNPUに比べるとライトだ。最初の1杯を超えるものが現れないというジレンマ。しかし酒ばかり飲んでる場合ではない。

買おうか迷いながら後ろ髪引かれる思いで会場を後にするのだった。

 

つづくで( ◜◡゜)っ