H28.10.23(日) 大阪梅田・阪急百貨店あたりでDP2 Merrill
拝啓。
梅田で気が昂るんですがどうしたらいいですか。
→ DP2 Merrillで撮ったらいいんじゃないですかという天啓がくだる。
それはめんどくさい発案ですね。暗いところ苦手だって言ってんのに。
しかし魅力的である。
Merrillは罠が多すぎて、代表的なのが液晶モニター。
映像クオリティが致命的にどうかしていて、「このモニタを作ったのは誰だ」と怒りたくなる。ほんとまじでボヤボヤ感もりもりです。モヤッモヤだ、暗い。
それでその場で確認するが、まあダメで、「Merrillお嬢様にはきつかったですか」「全部ブレてる、撮れてないや」と判断します。しますよ、しますね。撮ってられるかと。それで家でPCモニタで見たら、ちゃんとピント来ておる。露出もややアンダーぐらいでだいたいまあ思ったよりは大丈夫だったりする。大丈夫ならはよ言ってくれよと。あの時遠慮する必要なかったやんと。
デジカメとして地雷すぎる機体で困る。
でもそれゆえか、
Merrillには魅力がある。困る。
その撮影はEOS 5D Mark Ⅲに慣れた身体には、不自由さと不安さに包まれた暗がりの中を手探りで歩くようにもどかしい。 それが新たな体験となって新鮮でもある。結果を全てコントロール出来てしまう現在の「写真」のあり方に反しているのが、むしろ面白いのかもしれない。
しかし液晶モニタが信用できない。ピントがちゃんと確保できたか否かが分からんのだ。わりとピントがまとも。解せぬ。液晶モニタとは何か。速度確保できなくて、これ完全に流れたと思ったのに。
普段こういう撮り方しないので、梅田の阪急百貨店のあたりがこういう吹き抜け通路だったことを思い出す。銀行があるよね。使ったことがない。2階にカフェがあるね。行ったことがない。本屋もある。買ったことがない。アー。
ないないづくしだ、この街は。このエスカレーターの奥に何があるか。三井住友の信託だと思うが行ったことがない。魔界かもしれない。
阪急百貨店直下の大エスカレーターを降りて、ホワイティ梅田に差し掛かるところには、電光の文字盤が埋まっている。特に誰も注目しないが、一応私の中では素敵オブジェ物件。
ホワイティ梅田を丹念に歩くと、同じパターンで店が延々と続いている。通行人が多いし、面白いものは特に落ちてないしで、撮ることがあまりない。カメラが暇になって寝始める。ぐう。マネキン全制覇してもいいのかもしれませんね。人類は死んだ、あるのは消費社会だ、みたいな。
膜というのは重要です、謎めいていて、ふわふわひらひらしたものは気になる。
マルビル入口付近でまたイベントをしていてね。坊やオブジェがいたんだ。こいつの目力はすごい。通行人が映っている。よくヒトの動きを捉えているんだと思う。
目力で言うと都市の天井は眼だらけで、一方的に照射するだけの眼――照明系がほとんどだが、中には視覚情報を取り込むやつーー監視系も豊富にいる。たいがいは前者のほう。これもそう。見ることもなく、一方的に光を放つだけの眼。人間も感情的になると、眼から激情をほとばしらせますね。しかしこれらは絶対零度の感度でなにかを放っている。深海魚の生態のようだ。
大阪駅前ビルは、他の大手ディベロッパーが触れない後ろめたいところを回収する。エロDVD屋、狭隘な居酒屋、レトロな喫茶店。キラキラした場に生きられる人間はそう多くはないし、かと言って家にすぐ帰れるほどみんな単純でもない。くたびれたおっさんの生態は謎だ。家にそのまま帰ったら死んでしまうのだろう。
セザンヌがくだもの描いてたような心境で梅田をねちねち撮れたらなあと思います。にらにら。