秋だ!奈良の曽爾高原(そにこうげん)でススキを見よう!
ススキが少ねえ!!! えっ? 🙃
秋です。
もう受け容れないといけません。さむいし。
したらば秋っぽいことをしましょう。秋を肯定するんや。
ススキだ。典型が来た。ちがう。天啓が来た。唐突である。
高原でススキ。いやあ典型的だなあ死にそう。だが効果は抜群であろう。
奈良の南部、宇陀市にある超有名な曽爾高原(そにこうげん)が、車で1時間半も走れば辿り着くお手軽なフォトジェニック地となっております。綺麗な写真が撮れる美しい場所。グエーッ。美しかったらええやないかと皆さんおっしゃいますが、いやまあ美というのは(以下36,000時間続く)(略
曽爾村の「ハイキングマップ」を確認しやう。
「コース01 高原大好きコース」をしましょうね。
なお夕方に行くと「夕焼け × ススキ」を狙う人たちで大渋滞し、高原の駐車場までの山道がGW最終日みたいに車で埋まり、動けなくなるます。一度敗退しているから知っておる。
悲劇を避けるためにすべきことは、朝に行くことです。夕日なんか要らんかったんや。
その代わり、隣接する山道でハイキング(?)的なことをし、夕焼けに負けないボリュームを得ることを思い付く。ふはは。
◆8:30~10:15_宇陀市・曽爾高原を目指せ
遠い。近いけどまあまあ遠い。
奈良県といっても広いので、何でも奈良市の距離感で考えてはだめです。
山が近付いてくるとローカル色も強まる。
うさぎの親子のイラストが超かわいい。なんだなんだ。
「ファミリーショップ ツジムラ」である。素晴らしい。外装から廃墟かと思ったらちゃんと営業してた。近くにコンビニあったからそっちで用事を済ませてしまったの悔やまれる。
住宅すらまばらになっていき、スマホの電波が1本になったり、車のテレビの受信が途切れることが増える。遭難できんぞこれは。
顔だけになったミニクーパーを発見。部族の風習だろうか。
瀬戸内よりはマシだが、当然ながら余った土地が太陽光パネルに供されている。こいつら人類が滅びても勝手に電気作り続けるから気をつけてくださいね。ネオ世紀末だ。ヒャッハ
松坂とか名張とか普通に言うやん。えらいとこ来てまっせえ。奈良の隣は三重県もあるんだあ~。わすれがちですが。
なんか「山」と言うよりはめちゃくちゃでかい岩の突起が出てきた。何あれ。周囲の里をブチ抜く岩である。おい教えてくださいGoogle先生。
→「兜岳」:標高920m、登山道あり、難易度「中級」。
( ´ - ` ) は? まじでいってんのんすかあれ登れんの?? 崖やん。反対側から登るんかな・・・ 「見かけだけで判断するな」「お前の主観は感想でしかない」「お前の無理は無理なんかじゃない」という教訓を得。いやこれ登れるの?ほんまに?
この間も電波がやばくて、車内テレビはバグ面突入しっぱなし。
バグ姉さん。壊れたスーファミなんだか、最新のワンピース放映なんだか、知りませんけども、時の流れが止まってゆきます。ガガtッP。
ようやくようやくで曽爾高原への道に着。混雑を見越して警備員が交通整理に配置されていますよ。さすがに朝なのでまだ駐車場は大丈夫そう。
なお、駐車場は2つあり、上に登り切った高原の間近にある「曽爾高原駐車場」と、麓に近い「ファームガーデン」駐車場とが使えます。が、麓のファームガーデンから高原まで徒歩で50分かかるので、高原駐車場が空いてるならそっちに停めないと、同行者と深刻な喧嘩になると思う。
駐車料金800円。そんぐらいなんぼでも払うから停めてや。10時過ぎに来てるのにかなりの台数が停めていた。8割以上は埋まっている。
駐車券システムがもっさり遅いのも、渋滞を招いている原因でもある。総じてまったりしている。
子連れの観光客がけっこうな数で来ていた。昼以降は大学生ぐらいの若いカップルや仲間連れがほとんど。みんなススキで娯楽ですか。まあ地元にこの高原があったら来てるかな。駐車場料金(800円)だけで半日だの1/4日だの遊べると思うとコスパは最強なのだわ。
もちろん客層が偏っている / ガチカメラマンがいなかった理由はまた別にあった。
◆10:30~11:20_曽爾高原のススキ~亀山峠
駐車場から歩道をちょい上ったらもう高原なんで。
仙女だよ。妙にデジタルな・・・ 作者は女神転生とか好きなんじゃないだろうか。
はい曽爾高原です。そにそに。
平地部で「亀池」という湿地帯をの周囲を回り、坂道を登って稜線の「亀山峠」に至り、上から草原を見渡すコースになっている。つまりススキの黄金景色を上から下から堪能できる壮大なエリアです。地球への感謝が溢れ、皆は歓喜を
( ´ - ` ) 歓喜を・・・
ススキ少なくない?
思ってたのとなんか違う・・・ ススキ少なくない???
というのも筆者は兵庫県のススキの名所・砥峰高原(とのみねこうげん)にも行ったことがあり、そこでは真にススキ盛り沢山でフサフサだった記憶があるのだ。それに比べるとこちらは病的に痩せている。
まだ時期が早かったのか? いや穂が実ってる分はもうこれ以上出せないほど穂の綿毛を搭載している。
うーん、
何かがおかしいなこれ。
これ以上時期をずらしてもススキの総量は変わりそうにない。
よく見ると、穂の実ってないススキは、穂が成熟途中なのではなく、そもそも綿毛が付いていなかったり黒くなって萎んでいる。これ、「いもち病」的なススキの病気が流行っているとか、ウンカとかの害虫(そもそもススキを対象に益虫・害虫の概念あるのか?)か何かでおかしくなってるんじゃないか?
おかしいのはマジでおかしいようで、新聞にも特集されていた。
2020年の記事だが「10年ほど前からススキの背丈が低くなり、穂が出ない部分も増えてきた」という地元の声が載せられている。そして困ったことに原因が不明。一応、ヘリで肥料を撒いたら育成状況が改善したという。
道理でススキのシーズンなのにガチめのフォトグラファーがいないわけだ。そうなんすよ、家族連ればっかり。
ばえ(死語)を至上命題としているフォトハンター達は、四季折々の風光明媚、ニッポンの美を見逃さない、強欲かつ業の深い生き物である。エゴが地球に絡みついたとんでもない奴らで、クリシェの美を死ぬまで繰り返して絶頂に至るのであるから(筆者はかつてその一味であったため自戒を込めてきびしい表現で語らせていただいております)、ススキのシーズンしかも日曜日なのに家族連れ以外に誰もいないというのは、「もう曽爾高原は終わっている」ということなのだ。だからその現実のドキュメンタリーをやりなさい、やるべきだ、現実をやれっつってんだよあんたら写真家のプライド、矜持はないんか、あるやろ、どうした、見た目の美だけがお前らの養分かっ喜びかっ生き甲斐、美意識、ちくしょう(筆者はかつてその一味であ略)。
( ´ - ` ) めっちゃ喋るやん。息がもたない、死ぬ(死)
痩せてる・・・ ススキがカリッカリなんや・・・。
人間が痩せてると褒められるのに、ススキが痩せたら責められるんや・・・。
でもズームでボカせばそれっぽく増量できるんや・・・ 肉眼ではもっとさびしいので、人類が肉眼を捨ててスマホの液晶に逃げ込むのは必定なのであった。
病気、栄養不足、日照時間、害虫、土壌の質、動物の影響、etc。変数多すぎて分かんないですね。「なんでおまえは痩せてしもうたんや、」考え込んでたら坂道を登って「亀山峠」に着くまでの間に写真を残していなかった。撮る気ないやん。ふへっ。
家族連れが家族らのペースの違いからワーワー言ってたりして、普段全く運動してない層からするとこの登りもしんどいんやなと思った。普通のご家庭が坂を上り下りするのは初詣の神社の境内と会社の避難訓練での非常階段ぐらいですからね。ハンター×ハンターの試験ぐらい厳しいものとなっている可能性が。考え込んでたら写真撮ってなかった。ふへっ。
◆改めてルート確認
曽爾高原の散策マップを確認しましょう。
右の④「亀山峠」にいます。
そのまま来た道を引き返して③のススキへ戻っても良いのだが、今回は目論見がある。
「曽爾高原のススキは、あくまで脇役」
そう・・・
この地図・「曽爾高原」の外側、左の「亀山」と「遊歩道」の間から南側に、実はもっと広いフィールドが存在し、別の山へと続いているのだ。
それが冒頭、曽爾村のHPで紹介したハイキングマップの「コース05 ぬるべの山巡りコース」(上級者向け★★★)である! ワオ! ヌルベ!ナガイ!キツイ!ソニ!サイコー!
長い。
長すぎるわこんなもん。却下である。
ススキ見に来たんやぞこっちは(逆ぎれ)
往復しようが一周しようがめちゃくちゃめんどくさい。「所要時間3時間35分」と、意外と早く攻略できそうに見えるが、それは「⑥曽爾村役場」でコースが終わっているからです。あかんやんか。普通はそこからバスで最寄り駅なりに移動するのだろうが、私達は車を「①高原」の駐車場に置いてるため、ショートカットや離脱ができず、プラス1時間以上かけて歩いて戻る必要があるどす。しぬ(^<^)
もしかしたら高原に行くバスがあるのかも知れないが、そんなダイヤを考慮して動いてないのでだめどす。
どうすんのこれ( ´ ¬`) せっかく高原の外の世界を見つけたのにな・・・。未練がある。
天気が悪くて、雨が降ったり降りそうだったりしているので、あまり長時間歩くのも楽しくなさそうである。
が、事前にヤマレコ、YAMAPを検証し、興味深いルートを発見していた。
「①曽爾高原、②長尾峠→③フカタワ→④古光山→⑤大峠」までは上掲マップと同じだが、そこから左には行かず、「⑤大峠」の外・グレーアウトしている下に伸びた線(境界線ではなく実は道)から抜け、更に右にある灰色の線=車道を経由して「②長尾峠」に戻ってくるという、なかなか理に適った、都合の良いルートだ。
ていうかそこ歩けたんか・・・。絶対気付かへんわ・・・。
しかし現在すでに11時。
上記ショートカット策でも3時間はかかる。
更に体験談によっては「アップダウンが半端じゃなくハード」「後古光山からの道はそれまでの道と全く違う」などと、怖いことが書いてある。「普通のハイキングの気分で来たら返り討ちにあうぞ」というニュアンス。うーーん。真の難易度が謎で、所要時間3時間きっかりに帰ってこれるかどうかも定かでない。
うーんどうしたらいいの。
サラサラ・・・
🙄
「行ける所まで行ったらいい」 天啓である。
「とりあえずいってみて登る」「時間に余裕があれば⑤大峠から車道を歩いて帰る」「時間がきつかったら、途中の④古光山で引き返す」
( ◜◡゜)っ これや。
これどす。
天啓は急に来る。
方針が見えたので、「長尾峠」に向かって下ります。
◆亀山~長尾峠
いつのまにか「亀山」を乗り越えていたの図。この岩が「亀山」という。岩の丘ですね。ご丁寧に鎖が敷設されているが、雨で滑らない限りは使わない。まあ観光ルートなので、70代80代の老が往来するのだろう。
「植生復元工事中」やっぱそうやんね。明らかに育成がおかしい。
ところどころ地面が黒いのは、野焼きの跡である。野焼きをして、病害虫を駆除し、他の植物も焼き払うことで、何もない土地をススキが独占できる。放置すると、他の植物に競り負け、藪に、林になり、森になってしまう。
ススキが満ちる高原というのは、実は自然界では土地の初期状態にしか見られない、レアな姿なのだ。つまり私達は初期状態をあえて努力でキープしている。
野焼きをせずに放置していると、周囲の山と同じ地形になってしまう。周囲に見える山々もかつてはススキだったのだろうか。
(´・_・`) 紅葉 無くない?
山の色がカサッカサなんですけど、
あとソーラーパネル、てめえは何なんだ。「自然環境守ってますから」みたいな顔してんじゃねえよ(自然を愛しすぎたために心が壊れた人間)
これを下りると「長尾峠」。駐車場入口と少し逸れたところにある。人がめっきり減りました。風が寒いし、手がかじかむ。いかにも雨降りそう。ススキは少ない。がんばれ。
荒涼とした階段である。だが他人事ではない。そう、これはあなたの、私の、人生だったのだ。
人生が始まり、そして、終わる。
あかん。酔いしれてきた。登山やハイキングには、物語と薬物の混ざり合うような酩酊効果があるのだ。そう、全ての夢盲は、人間自身が作り出す健康的な営みだったのだ・・・
などといつもの調子が出てきますね、これが山の力である。さて、どっから山に入ったらいいんすかね。寒いし、もう昼だし、早く行かねば。
◆11:20~11:40_長尾峠、登山口へ
階段を下りきったところに方向指示板が。良かった。
今回は山の地図を持っていない上に、電波がないので、ヤマレコを随時確認することもできない。そもそも有料会員になってないから地図のDLもできていない。そして、いつも愛用している紙の地図『山と高原地図』(昭文社)も、こんなマイナーなところまで網羅してないのだ。つまり今日はノーマップで来てます。あかんよ。
駐車場から逸れて、ササの生い茂るあやしい道へ。もうマジで誰もいない。道に迷ったりクマとか出てきたら終わりだ。薄暗くて人がいないのってこんなに心細いのか。平安、鎌倉の世に山歩きをした連中はすごいな。あっ、きのこだ。
どうせ毒あるんでしょという偏見の眼で見ています。指で触って疑似体験できたらいいんだけどな。有毒生物は好きなんですが、キノコは全部毒だろう&全部食中毒系だと思うと興味が出なくてすんません。
写真で見ると平らで気楽な道だが、これはEOS 5D Mark Ⅳが頑張りすぎており、実際は天気が悪いことも相まってもっと陰鬱で暗かった。パートナーに二股かけられた上に貸した金ごと持っていかれて音信不通になった時みたいに陰鬱な道である。人生。
このスギ林を抜けていくと車道に出て、そこをまたぐと、登山道が始まります。
これもEOS 5D Mark Ⅳが優秀すぎて、良い雰囲気にしようと優秀な公務員の資料作成みたいに作為的に明るくしてくれているが、実際は陰鬱で、付き合ってた人が唐突に「あなたとの将来が考えられない」と書置きを残して私物全部引き上げて出て行った時のように暗い。そう、暗いのだ、この林は。そうだよ。人生だ。
( ´ ¬`) つづく。