2012.5.21(月)金環日食@お台場
待ってました金環日食。お台場で迎え撃つです。
金環日食の話は職場でも聞いていましたが、他人事だったので「しらんしらん。資料作成忙しいし」で済ませていたのです。月が欠けようが日が欠けようが年収変わらんし。しらんしらん。
しかし、
「日本の陸地に限ると、金環日食が観察できるのは、1987年9月23日に沖縄本島などで見られた金環日食以来のことです。次回も2030年6月1日に北海道で見られる金環日食まで、18年間起こりません。非常に珍しい現象と言えるでしょう。」
(引用:金環日食のページ
★Link http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/ )
珍すぎる。
これは珍ではないのか?
→
( ´ - ` ) いそいそ・・・
…で、私は東京にて日食観察ポイントを必死で考えておりました。
土日は伊豆半島の珍ハンティングに勤しみ、月曜を休暇にして、都内在住の後輩(例の小唄氏)の家に泊めてもらったわけです。
( ー_ー)”
天気よくないやん…。
しかし雲間から何がチラ見えするかは分かりません。いつだって天候をはじめとする自然の力は、人間の予測や想像を超えてくるものです。
朝の5時にこっそり起きて、静かに小唄氏の家を抜けだしました。
さて。どこに行くか?
北関東なら雲が薄く、観測に適しているとの情報もあり。
だが今回の日食の「中心食帯」(月が太陽の中心を通り、日食最大時に綺麗な光の輪が観測できるエリア)に近い地区は、見事に真逆の沿岸部。
意を決して、見えないかもしれないけれども品川へ。
足りん。
ゆりかもめに乗る!
竹芝!
埠頭に人が集まっている。
降りたい…ここは太陽の背後にビルも重ねて写せそうだ。
だが…もっと行くべきではないか?
悶々としながら降りるのを我慢する。
日之出あたりも特別な日食観測クルージングの船がおり、人がたくさん乗っていた。
誘惑は厳しい。しかしお台場である。
お台場に期待を…
あれなんか人が少ない。
しかも太陽どこにあるか分からんし
雲が厚い。おい。どないなっとんねん。
ちょっとまて、
どない、
はい詰んだー!!!
どこに太陽おんねん。
これは…もう・・・。
周囲も人が少ないし。観察用簡易メガネを手にした学生っぽいグループ、サラリーマン風の男ちらほら、気合の入った望遠レンズ初老夫婦などがいるが、3分咲きと言えるかどうか程度である。
お台場海浜公園で降りておきながら、パレットタウンの観覧車めがけて青海に突っ込んだので余計に人が少なかったのかもしれません。逆に北側;海浜公園の砂浜に行けばもっと人が集まっていたのではと後で気付きました。
いいよいいよ。
NDフィルター×300ミリ望遠レンズの鬼コンボを解放せざるを得ない。
見えた…
太陽の光が雲で拡散し、邪魔になっていたのか。
NDフィルターのたかだか16(光量を1/16に減光。)で何とかなりそうだ。
(日食撮影にはND400、太陽直接撮影としてはND100000が推奨されている。)
これはいけるのではないか。
実を言うと、ND16程度では晴天時の太陽を相手に、本気でやり合うことは不可能だと分かり切っていたので、この曇天は、逆に天祐とでも言うべきものでした。
NDフィルターだけではなく、露出を色々考えてやっています。かなり設定に無茶があった気もしますが、EOS 5D Mark IIなら無茶が利きます。
ND100000は約1万円、ND400でも6〜8,000円。本当はND400が欲しかったのですが、日食直前には全ての店で売り切れでした。それで仕方なく、中途半端ながらND16を出発前日に仕入れたのです。
月に似ているが、月よりも強くて攻めてくる感じがする。
( ー_ー)
だんだん心境に変化が・・・。
日頃の欲と憎しみにまみれたこの忌まわしき体が浄化されていくようじゃ。
おお。
おお。
崇高なものが無くとも私たちは十分に生きていける、
生きていける・・・が、しかし、時には、胸を切り裂くような神々しい弧が欲しい
なあと思います。はい。
7:06
上空は報道のヘリコプターが旋回を繰り返している。
何やら只事ではないという静かな雰囲気が、
おそらく日本中で漂っていたことだろう。
東京テレポート駅〜ヴィーナスポート周辺。
人が少ないのは皆、平日出勤のためか。
7:07
私と同じく、珍を求める物好きか、仕事で写真を押さえに来たか。
肉眼ではこんな感じで、明るいばかりで、はっきりと欠けていることが分かりにくい。
欠け幅が大きくなり、雲の干渉が減ると、よく分かるのだが。やはり遮光グラスは必要。
7:15
ちょっと目を離している間に、もう三日月の姿になった。
分刻みで世界の在り方が異なるものになっていく。不思議な感覚だった。
7:16
街中にタモリ風の男たちが溢れていたことだろう。
それはそれで見たかった。
7:30
月が裏方として闇を素晴らしく作っている。なんという協働。役所もこのようでありたい。
7:30
少しでも設定を変えるとこのように太陽が飛ぶ。駆け引きは難しい。
今回で初めて最高シャッター速度1/8000秒を使った。
太陽の光の強きこと、この上なし。
7:31
世界が違って見えた。魔界にでも踏み込んでしまったんですかな。
これが日食なのか。
2009年7月の皆既日食。あの時、世界はどうなっていたのか。
食わず嫌いせずに行けば良かった。
けれどあの、何とも言えないミーハー感あふれる「ニワカレイブ」な状況がどうしてもイヤだった。
今回は良い・・・空気が純粋に染まっていく。
異界にごっそり東京ごと持っていかれてしまえ。
7:32
金環直前。
呼び出された異界が、とうとう現れた。
夜のような暗さではないが、不自然に周囲はダウナーに落ちて行き、
肌寒さが勝ってきた。
興奮と狂喜が静かに身に迫っているせいでもあったが、
大気の冷えが皮膚にぞくっとしたものをもたらしたのだった。
金環日食が完成した。
7:34
ありえないはずの光景を目の当たりにして、震えが止まらなかった。
歓声が聞こえた。こうして打っている間も思い出す。
驚嘆と歓喜の声が方々から上がった。明確に異世界へのスイッチが入った。
7:34
真円を描く光輪から、エネルギーが吹き溢れているように見えた。
設定を変えるとやはりこのようになる。
肉眼ではこういう認識に。
7:35
まだ終わらないでくれと祈りながら、エネルギーの無限循環する最もシンプルで美しい輪に目を奪われていた。
そういう形の星とか。
人工的に作られた巨大エネルギー回路だとか。
7:37
金環日食のピークを終えて、月は更に動き、輪は崩れだした。
7:38
たった1分で、あの完璧な環形は、二度と再現されない幻となった。
信じられないほど速やかで多様な姿だった。
7:39
遂に逆三日月へと姿を変えた。
ここからは余韻を楽しむ場となる。気持ちの上でのクライマックスは皆、終えた。
日常へ徐々に、確実に回帰する。
7:39
それでもたまらなく美しくて、できるだけずっとこのまま時間が止まっていて欲しかった。
闇夜とも朝ともつかないままに。
--------------------------------------------------------
こうして私のきんかんプレイ2012は、素晴らしい感動と余韻を残して終わった。
上司には「きんかんプレイのため月曜を休ませていただきます」と言っておいた。
では最後に、周囲の皆さまのきんかんプレイっぷりを取りまとめて終わりにしよう。
7:44
これはすごいなーすごいなーと胸の内で感嘆符大盛りツユダク状態であろう方々。
会社行くんやろうなあこの後。
7:45
こちらも三者三様のきんかんプレイ。
今回の金環日食はピークが7時半と、出勤時間とちょうどカブる頃合いだったため、通勤中に足を止めて遮光グラスで観察をする人が多数見られた。
わざわざ特別な休みを確保しなくても日食プレイが可能となる、非常に好都合な条件だったと言えよう。
7:46
真剣です。まだまだ続いてるのです金環。もどり期の余韻。
7:48
通勤中のきんかんプレイは格別じゃあ!
7:57
まだまだきんかんプレイ。もうだいぶ終わったけれどもね。
…という金環日食の朝でした。
私は本当に日食という現象に対して、舐めていたと言いますか、
ここまで感動してしまうとは思ってなかったし、
機材がある程度揃えば、比較的簡単にしっかり撮影出来るものだとも知りませんでした。
次回もしチャンスがあるのなら、次は更に果敢に攻めてやりたいと考えております。
ハイ。
( ー_ー)ノ