H25.6.29 【登山】弥山(双門コース)(2)釜滝~双門滝~狼平
雨による増水でコースタイムの倍の時間を費やした我々は
クリスタルな水の輝きの前に
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○ 6/29(土)コースタイム(カッコ内の時刻=標準タイムに準じた場合)
・6:10 熊渡登山口
・8:00(7:10) 釜滝(がまたき)
・9:35(8:10) 吊橋
・11:00(9:30) 仙人ぐらのテラス
・12:30(11:00) 河原小屋跡地付近
・14:40(12:30) 狼平避難小屋
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見ての通り、2時間以上ものタイムオーバーを叩き出すこととなった。
コースタイム(※昭文社の登山マップに基づく)は、
健脚で寄り道、無駄な休憩をしない限りはたいがい8〜9掛けで
さくさくクリアできるものだ。
この事態は異常である。
( ゚q ゚ )おれのたいちょう
がわるかったせいだ(小声)
勇ましい岸壁に歓声を上げ、
やれ絞りがどうの、シャッター速度がどうのと言ってるうちは
幸せな時間帯。
釜滝を過ぎたあたりから、急にハシゴ、橋が連発する。
それも、ほとんどが破損している。
写真のように、外れたりひしゃげたり、間の段が抜けたり、
崖から落ちそうになったりしている。
これらは、人生をこじらせたややこしい人と同じぐらい
関わると危険なので、そっとしておくに限る。
強化された鉄製の橋に大体は切り替わっているのだが、
これもまた、濡れていて滑るという罠。
師匠「天候で難易度が相当変わるコースや。今回はキツい」
これは何の小屋だったのか。
廃墟と呼べる段階すら超えてしまっている。
木々の間からは美しい光景が。
ちゃんとした道がなくて、足を留め置く物もない斜面だったりして
油断すると落ちる。
景色を追うことに専念できるのなら、最高のコースだと思う。
しかし、まるで進んでいない。
「おれ、結構、山に慣れてきたかな」と
自信が付いてきた頃に、この仕打ちであるから、人生は面白うございます。
エジプトの民主化は十年は遅れたわっ!!などと威勢よく新聞をたたいて盛り上がっていた昨日の僕はどこへ行ったんだろう?世界に懺悔。
8:19
だんだんとルートがバリエーションの色を濃くしていく。
岩×苔で、濡れているので、非常に凶悪。
間違えてここでガバなんて聴いたら、君、落ちるぞ。
木製、鉄製の橋やハシゴはだいたいひっくり返っていて、
新しいものが付け直されている。
事故が起きたのだろうか。洒落にならん。
8:27
本来は上の橋を使うルートだが、老朽化で危ないので
その下をロープで確保しながら歩くという場所。
並の登山道に飽きた者たちをうならせる趣向である。
( o^−´)b うなりすぎて死ぬぜ★
ちょっと登ったら、また、すぐ川まで下り道。
激しいアップダウンがメンタルに響く。
美しい渓流。10分ほど小休止を申し出る。
息切れがだんだん止まなくなってきた。
( o_o )ハァハァ
まずいぞ体力の回復がだんだん後手に回ってる。。
8:40
おぞましく美しいクリスタル・ブルーを湛える川。
しかしハアハアして、美しさを受け止める余裕がない。
( o_o )ハァハァ。。
アクエリアスでは回復が薄い。
これは奇妙な体験でした。アクエリアスが薄い!
まるで回復にならないのです。
チョコレートを食べ、エネルギー補給系の飴を摂る。
朝飯は行動食のみ。
感動している余裕がないので、あとで写真を見て
悦に入ることとします。
9:10
先が長いな…と思い始める。
岩石の巨人どもを相手に、得体の知れない進行を繰り広げる。
先が長い。ふと不安になる。
おれの体力はどこまでもつ?
増水が厄介で、相変わらず川の端から端を往復。厳しい。
濡れていない岩を見抜き、濡れている岩の場合でも
滑らないよう足でしっかりと捉え・・・
とらえ、
何度も滑って転倒する事案が発生。
( ゚q ゚ )ツルー!
ドンガラ\(^o^)/ガッシャン
( ゚q ゚ )ノ ッウッ
これ登山靴がもうダメなんじゃないの!?
元々、夏山トレッキング用の軽い靴だし、もう4年も酷使してる。
一歩、一歩に確信が持てず、
岩から岩へ飛び移るということが出来なくなる。
体重移動ができない。行動速度が落ちる。
このあたりから私の何かが決定的に崩れ始める。
ツルッ( o_o )” すべる。
この靴は、滑る。
ひっ
ズデ( ゚q ゚ )ノ ドゥルドゥル
滑った。。。痛い。
それでも何とか
ようやく来た、
1時間で来れるところを、90分かけて。
地図上の「危険」「迷い」をあらかた攻略し、
残る「危険」マークは一つだけ。
もうアップダウンはなさそうだ。
川沿いにひたすら直進するのみ!ワーイ!
( ゚〜゚ )ノ
※そんなことはありません
でした。
所詮、地図は地図。
甘い期待を抱いたら、その分、深く裏切られる。
いわゆる「一ノ滝」と思われる。
中盤は滝が3連続し、その奥には「名瀑百選」のひとつ「双門滝」が控えている。
「ルートは川沿い」=「起伏はほとんどない」という図式が
一瞬で崩れ去る。
( ゚q ゚ )げろ出そう。。。
ロックマンのごとくハシゴを延々登らされる刑罰。
とりあえず気力で何とか登っている。
人間の心とは面白いもので、一度、辛さや緊張感から心を解放してしまうと
その解放に対する訂正がきかない。
流出してしまった気力、魂のようなものを取り返すことが困難である。
常に覚悟しながら、「このルート図は嘘だ」「もっとつらい道が続く」と
呪文をかけ続けるように自分を許さずにいた場合、
辛い状況が連続しても、耐えることができる…が、
楽観視と甘い期待を自分に許すと、
疲労は底なしに増大する。
油断するとツルッといくし。
逝くぜ?
( ゚q ゚ )アエー。
まだ余裕のある? 10:15.
まだ…なんとか…?
ほんとに、体力と気力さえあれば、このコースは異常に美しくて秘境。
それを楽しめるだけの脳力、体力があれば…ね。
( ゚q ゚ )” ←そろそろだめな人
10:18
もうRPGどころじゃない。
ずっとハシゴ
現実の方がゲームより遥かにゲームだ。
大峰山脈の素晴らしさは、半端なき秘境
この山深さは凄い。誰も助けに来てくれない。。。
そして双門コースのハイライト到着!
11:00「仙人ぐら前のテラス」
木陰からは「双門滝」。
名瀑100選に入っているだけあって、それなりに巨大。
これ以上寄ると落ちますので、眺望は限界。
休憩しても、消耗が回復しません。
( ゚q ゚ )
あー。。
11:16 死者に手向けるレリーフ。
( ゚〜゚ )普通に死人が出るような道。
山を愛していたが亡くなった、というのは
一つの救いではある。
単なる事故というより、相思相愛みたいなものもある
のではないかと勝手に思っています。
そうでも思わないと悲しすぎる。
登りのハイライト。
屋久島か、
マナの聖地(※聖剣伝説)にでも来た気分です。
わー地球の神秘。おめでとう
くそっ。しんどい。
11:29
さんざん登らされた後に待ち受ける、下りへの傾斜。
まさか・・・
ぞくっとした。嫌な感じ。
今までさんざん登ってきた高度全てを
捨てさせられるのではないか?
緩やかな小道。
その奥は明らかに
遠く下を流れる川へと続いている。
(ノ_・。)やっぱり下りかよ。
ぜんぶ下るのかよ。ひどい。ひどすぎる。
そしてとうとう、
師匠の後を追うことすら出来なくなった。
あっという間に体力が尽きた。
うごかない。
うごけない。
( ゚q ゚ )おれどうしたんだろ
ああ。
手持ちの水が尽きた。
ザックに入れたと思っていたアクエリアス、実は
入っていなかった。
あってはならないミス。
大峰山脈は北アルプスとは違う。
山小屋がないので途中で飲料補給はできない。
そして辿ってきたルートがあまりに激しくて、
何かあっても来た道を辿り返すことは逆に危険だ。
おれは、沢の水をガブガブ飲んだ。
かなり飲んだ。
本当は何が混じっているか判らない水は、飲んではいけない。
水は水場で飲みましょう。わかってます。
けれど止まらない。
体中がおかしい。
( ゚q ゚ )ハァハァ
( ゚q ゚ )ハァハァ
たかが数百メートルの下降で40分ぐらい使っている。
異常事態である。
今思えば異常である。
よっぽど体調がおかしかったとしか言いようがない。
ほんとに双門滝コースは川と密接なルートだ。
何度でも何度でも川を渡らされ、
登っても川へ降ろされ・・・川キチガイになる。
かつて「河原小屋」があったあたりだと思われる?
2011年9月の台風12号のもたらした豪雨により、この一帯は
巨大な岩石が乱れ散り、折り重なり、
小屋は木端微塵。
人間が手を加えなければ自然は美しく保たれる、と思いがちだが、
自然を自然のままに放っておくと
自然が自然を破壊するようです。
容赦なさ過ぎて、美しさすら感じた。
つる。
あっ。
ドンガラ\(^o^)/ガッシャン
( ゚q ゚ ) ザブー!”
EOS 5D Mark3が岩に強打&川につかる。
あばらを強打し悶絶する私。気力を更に根こそぎ奪われる。
この山行は…奇妙だ。
呪われたように体がおかしい。それに、太腿に強い痙攣が走る。
一度、痙攣が生じたら、もう止まらない。
師匠曰く「体に悪そうなぐらい過剰なエネルギー飲料がええぞ」と、
デカビタか、ドデカミンの類を差し出してくれた。
これが特効薬のように効いた。痙攣がすうっと引いた!
( ゚q ゚ )特効薬・・・!
そんなバカな!「塩熱飴」もアクエリアスも、アミノバイタルも!
どれも効果らしきものはなく、スズメの涙のような補給にしか
ならなかったのに、
なんだこの特効性は!
これでもし彼が同行していなければ、おれは詰んでいた。
単独行なら終わっていました。
13:44
川岸を歩いて、ルート確認して、
眼を凝らして赤いリボン・テープを丹念に探し出す戦い。
別にここまで来れる人にとっては何の障害にもならないが、
無駄にワイルドで絵になるスポットだ。
14:18 鉄の棒ロード
吊り梯子と同じく、双門滝ルートの厳しさを物語る。
そしてやっと、分岐を示す看板と、鉄橋が現れた。
( ・_ ;)ノ 助かった。
ついた。
うう。
(×_×) 安心感
本当はここから片道1時間かけて、近くの「弥山」山頂を極める予定だったが
そんな体力と時間はない。
下山には更に3時間超が必要である。どんな山奥なんだ。
この小屋も、道中の「河原小屋」(消滅)と同様、「避難小屋」なので、
無人である。
面倒臭いので、中に入らず、そのまま野ざらしで昼寝を決め込む。
体力が1ミリでも惜しい。
睡眠( ー_ー) さようならみなさん。
( ゚〜゚ )” ビキー!
足が攣る。
ねむれねえ!!
痙攣すっげえ痙攣。
ビキー!” ウギャアア
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次回は下山。
破線ルートではない通常の道…それは
一般歩道を歩くがごとき快適で楽々なる歩み!