「聖岳」登頂に挑む。行けると思ってなかったけど行けそうか。
しんど( ´ ¬`)
- ■8/5(土)8:40苔平 ~ 10:25薊畑の分岐点
- ■10:25~11:15 薊畑(あざみばた)で昼食
- ■11:15 薊畑発 ~ 12:05 小聖岳
- ■12:10 小聖岳 ~ 岩稜帯、前聖岳の取り付き
- ■12:30過ぎ 取り付き ~ 13:20 前聖岳登頂
- ■13:40 頂上から下山~ 14:55 薊畑帰還
しんどいぞ。
山岳カメラマンとか登山系YouTuberってのはえらいなあと思った。しんどいとか言うてられんよな。しんどい。
■8/5(土)8:40苔平 ~ 10:25薊畑の分岐点
「苔平」あたりはまだ斜度がマシで、苔やきのこを愛でる余裕があります。ふう。いちがんれふをもってきているんだからとらないとね(棒読み)。
9:42、標高2200m地点。うれしくない。
既に意識が半分トランス状態で登っているため記憶があまりないです。自動で身体が動くのはいいねんけど後で書くことないから困るねんな。
ただトランス状態も体力ゲージを使い切ると解除されて、くるしみが来ます。
体感的には4段階ぐらいに分類できると思う。
- ゲージ1:表面的な体力。乳酸でだめになるやつ。短時間休憩で回復する。むしろここを使わないと逆にしんどかったりする。
- ゲージ2:トランス状態、ランナーズハイで無意識に使われる分。体の底から汗が出る。これを使うと体重が減る気がする。ここまではまだ休憩で回復可なので、いかに長持ちさせるかが鍵。
- ゲージ3:体力の底地に近い部分。使うとマジでしんどくなる、いわゆる「バテる」状態に陥る。休憩では回復せず、なんぼ休んでも息が切れてどんどん動けなくなる。精神力とかも関係してると思う。1泊しないとだめ。
- ゲージ4:尽きるとリアルにしぬやつ。実質これに手を付けたらだめ。
ゲージ2までは調整と休憩でやりくりできるので、そこで何とかするしかない。ゲージ3は鍛えたらめっちゃ伸ばせるが、筆者は90年代サブカルクソライター状態なので期待できません。無理どす。しぬどす(´・_・`)
死の使者トリカブトが登場。高山帯に入った実感がします。
この平らな水たまりの場に騙されかけた。登り切ってなだらかに開けた箇所が見えると、そこが中継ポイントかのように思ってしまう。早く森の切れた稜線に出たい。
長いが(´・_・`) 稜線ないやんけ。どういう山なんすかこれ。
と思った瞬間。
うわっいきなり視界が開けた。急展開すぎる。やった。勝ちです。わあい。こ、こんなにうれしいことはなかなかない。うう。感情が乱れておる。嬉しい。
(※それだけ苦労したことをお察しください)(※頂上はまだです)
しかし谷が深い。落ちたらしにます。どこまで続いてるのか分からない。地形というより事象の地平面へと続くところを見ているようだ。ブラックホールで歪んだ時空ってこんな感じで引きずり込まれるような形をしてるのではないか。なんやなこの山は・・・。
10:25、「薊畑(あざみばた)」到着。こんなにうれしいこともなかなかない。地味に喜んでいます。もっとちゃんと鍛えた方がいい。しってる。
■10:25~11:15 薊畑(あざみばた)で昼食
聖平小屋と頂上の分岐点に当たるここ「薊畑」で、今後の進退を決めます。「みんなザックここにデポして頂上行ってんな」「せやね」「じゃあ(最初小屋まで行って飯食うって言ってたけどもうここで)飯食おか」「はい」
暗黙の了解で「頂上を目指す」ことになる。なんかこう、登頂できるかは知らんけども体力はかなり残してきてるから、これで小屋に引っ込んだらすごい不完全燃焼になってしまうのも事実である。中途半端な状況だが、別にいつでも歩いて引き返せるのだから、行ける所まで行ってみたらいいなと判断。小部下健人 ちがう 勝負かけんと。
ここで離脱したみっこはんから継承した飯を投入。「棒ラーメン」をいきます。ドライ野菜もはめるで。水はあるねん。2リットルあるねん。(※家の水道水です)
( ´ ¬`) あかんうまい。うまいうまい。
もうあかんうまい。5千円でコース食うよりアルプス来て棒ラーメン食ったほうがうまい。誇張ではなく本当にそれぐらい美味い。ラーメン汁は登山と相性が良すぎる。あかん。塩気が。からだにしみます。フー。
くつろぐ。上着もいらない。
この時期の登山の何が良いかって、どんだけ汗でびしゃびしゃになっても日光が強力なので乾くし冷えないことですね。風もあまりない。登山の7大ワースト事項の上位に「稜線・頂上での休憩中に風に吹かれて汗に濡れた体・服がめちゃくちゃ冷える」があるのだが、その心配がないのはほんとに楽です。汗でしぬからなあ。しなないのはいいなあ。死生観が雑になってきた。
なんか蝶。ベニヒカゲかな。「氷河期から生きている種。環境省レッドリスト準絶滅危惧種(NT)。長野県指定天然記念物。」めっちゃ偉い人ですやん。うわあ。環境省のえらいさんや。拝んでおこう。
50分休んでいい感じになった。頂上まで片道2時間、600mの登りか。
もう山の上は早くもガスが取り付いていて離れそうにない。むしろこの後はガスがどんどん増えてくるだろう。早く行かないと。
ザックを置いて、ウエストポーチにポカリやらを入れて出発。
みるで。
「聖岳」と言いつつ、山全体の名前であってピークの名前は個別に設定されている。「前聖岳」2662mを乗り越して、その奥におる「前聖岳」3012mピークを踏むと登頂。さらにその奥に「奥聖岳」2978mもあるが今回はカット。
■11:15 薊畑発 ~ 12:05 小聖岳
しばらくすごい平和な光景が広がっている。聖(ひじり)の精神攻撃か!?楽園めいていて花を撮りたくなります。なぜ登山でジジイや婆さんが花を撮りたがるのか?気持ちがだんだんと分かってくる。なぜだ。
聖によって木にされてしまった人。ここはやばいぞ。
こいつも人間の成れの果てかもしれん。うぞぞぞぞ。
あかんこの葉っぱデスニードルや。あかんて。葉っぱの上も裏も茎も全部ニードル完備しとる。こんな冗談みたいな植物誰が考えたんや。
「ハリブキ」というウコギ科の植物で、フキに似てるからそういう名前らしい。武器ではない。
あ。聖平小屋が見える(赤い屋根)。薊畑からかなり離れている。
平和な道かと思ったら垂直ロープ。危険個所はないんだけれども、微妙にへんな作りをしておる。帰路でしぬほどめんどくさかった。ちくしょう。
稜線に出ました。ガスがかなり来てる。もっと早い時間に来ないとだめなのか? ここからは少しだけガレた道。安定してて安全。
12:05、小聖岳(2662m)に到着。
なんか人がようさんいてます。薊畑でメシ食うより、こっちでメシ食う人の方が多いのか。勉強になります。二度と来ません。行かへんもう。気持ちいいけど。気持ちはいいな。うん。絶対もう来うへんからな。聞いてるか聖岳。今日だけやからな。おい略
■12:10 小聖岳 ~ 岩稜帯、前聖岳の取り付き
だいぶまったり休んだ気がしたけど5分ぐらいしか経ってない。主観時間がおかしい。あ、石の模様がはげしいですね。なにこれ。きも。
( ´ - ` ) 岩の模様を凝視してると健康によくないから先いきましょう。
小聖岳からの眺望はこれまでと一変してたいへんよい。これぞアルプス。北アルプスならこの感じがずっと続くんだけども、南アは森が深いなあもう。うれしいわ。
稜線の背骨、頂上へと続く地形がやっと見えた。
やっとです。あんたの姿が見えんでつらいおもいをしたんやで。「行けるかどうかわからへん」「いけないかもしれへん」などとうだうだ言うてましたが、もう全体像が見えたら勝ちです。これはいける。いったな。要は姿の見えない相手に体力残したりペース配分するのがしんどいわけで、ちゃんと鍛えてから来いという話だが、いま鍛えとるんや静かにしてくれ(何と戦っているのか
姿さえ見えていればあとはがんばれます。お疲れ様でした。
崖が岩で素晴らしいです。人間を寄せ付けない世界ですばらしい。人間が不純物ですね。あの花どうやって咲いたんや。
怪物のようで良い。歓迎します。
12:24、前聖岳頂上がようやくちゃんと見えた。思ったより平ら。上が吹っ飛んだような形をしている。でかい。山がでかい。最後まででかい。なんなんだ南アルプスは。でかいんですけど本当に。
手の形をした岩だと思って。巨人が埋まっている旨を妄想。巨大な化け物を思い描きます。化け物おばちゃんうれしいわあ。あんまり近付くと落ちるよ(足元はめちゃくちゃ崖です)。
やや急な坂。ルート上を歩いている限りは危険・困難箇所はない。踏み外したら落ちてしにますけど。まあ転んだりしなければ安全に登れる。
大きいなあもう。しんどいんですけど。荷物置いてきてしんどいのだから、フル装備だったらどうなっていただろうか。トランス状態だし会話も最小限でじわじわ登っている。
やや花畑なポイントがあって面白かった。マクロレンズがあったら植物撮影で遊べたと思う。
花のことはよく分からないが種類が豊富であった。感情が平板になっている。
■12:30過ぎ 取り付き ~ 13:20 前聖岳登頂
聖岳本体に取り付いたら、ジグザグに砂と岩の道を登っていく。やたら大きく、ここからこそペース配分に注意しないと、調子に乗ったら一発で力尽きる。トレイルラン的な人たちって体力どうなってるんですか。あれなんでずっと走ってられるの。Yahoo!知恵袋に投稿しよかな。しません。
でかい。少々登ってもまだまだある。さすがに歩き方だの時間・体力・水マネジメントだの小技を重ねるだけではどうにもならず、トランス状態も切れてきて、連続して歩き続けることが難しくなってきた。
10~15分おきに休みを取りひっきりなしにポカリとチョコを口に入れる。チョコだけ食うと水分持っていかれてひどい。体力なあ。あんまり戻らんなあ。
( ´ ¬`) きつい。
聖岳「しねどす」
( ´ ¬`) きつい。
内臓と腿の内側が消耗しているのが分かる。こういうのはランニングとかでは補えない。コンスタントに登らないとだめ。岩を登ってる人とか体どうなってんの。Yahoo!知恵袋に投稿。しません。
石は安定してる。「上から降ってきたらどう逃げようか」などとシミュレーションしてみるが、体がもう全然動かん。むり。逃げられへんて。
らいちょうはいませんでした。
あかんまだある。ながいなあもう。
あとちょっとが延々と詰められない。空身なのにこんな苦労するのか。絶対にいけるけどはあはあ。はあはあ。
あっ。これは。
( ・_ ;)ノ ウワーイ
13:20、前聖岳登頂。
嬉しかったですね。ようやく着いたのと、内心無理だと思っていたのが、何とか技術とか気持ちのやりくりを重ねることでクリアできたのが嬉しい。写真の学校に通ってからどんだけ弱体化したんやっていう。不器用やから両立できへんねや。
3本ぐらい柱というか頂上の目印が立っている。そして頂上がやたら広い。昼飯を食べた「薊畑」の何倍も広い。なんちゅう頂上なんや。
よく考えたら、巨大な山の稜線が連なるうちのごく一部盛り上がった部分を「頂上」と呼んでいるようなもので、まあ道なんすよ。でかすぎませんか聖岳。隣り合う「兎岳」や「奥聖岳」も回らないとこいつの全容は計り知れないのであった。完。
あっ晴れてきた。ガスと雲に閉ざされていたのが、青空の切れ目が。すごい。これは山の歓迎ではないか。祝福が。「いや関係ないやろ」「最初から晴れてくれてたらいいわけで」 はい。
■13:40 頂上から下山~ 14:55 薊畑帰還
周りに登山者がもうおらず、後続者もいない、我々が最後になっている。時間的にここから下山~山小屋に2時間+30分だと、ぎりぎりか。ガスも多い。雲はもっと上がってくるだろう。はよ降りましょう。
ガスが引いたりまた上がってきたりする。夏は暖かいのはいいねんけどガスがなあ。このあと雨が降りました。昨日と同じく晴れ⇒蒸発⇒雲発生⇒雨の循環サイクルが繰り返されておる。
下りは登りと違ってかなり楽だが、ブレーキの足さばきがいまいち悪い。ソールが薄い気がする。土踏まずと指の間の骨のところでブレーキしてるんだが痛い気がする。
オタケ氏「ソール剥がれた」
え?
( ´ - ` ) 登山靴の先がパカパカになったる。靴の寿命をこんなところで迎えるとは。いつもならオタケ氏は下山で天狗のようなスピードを出すのだが、なんか大人しいなと思ったら。ゆっくりいきましょ。
いやもう石の道あきた。おわらへんし。そのうち終わるんだろうけども終わらへん。つらいなあもう。
聖岳「しねどす」 ( ´ ¬`)やめろや
小聖岳への道。やはり小聖岳と本峰取り付きの間だけは超かっこいい。アルプスだ。
ここにスーパー3Dを見た。
この風景、眼前に広がる視界としては1枚の絵なのだが、肉眼では全てのパーツが奥行きのある空間として独立もしていて、平面と立体の重ね合わせになっていた。最も手前の地面などのレイヤーと、順番に奥へと並んだ隆起、それぞれが立体物として収まっているとともに、目の焦点を合わせるとそこが平面的な視界としてクローズアップされ、その前後は背景=立体性を支持するものへと後退する。それが見る箇所を切り替える度に移り変わる。風景が平面と立体のどちらにも固定されず、目の中で動いているのだ。
超3Dの視座、これを写真表現で見たことは当然なく、絵画でもこんな視覚体験はない。動画映像でもない。風景とオブジェクトとが混然となり複数の前後関係を有した巨大な地形にあって初めて成り立つのだ。
都市のビルの重なりでも同じ視覚現象が起きそうなものだが、スケールが違うのか、山の地形とビルでは複雑さが違うのか、空間としての重なり・奥行きの種類が異なるためか、体験したことがない。
山でしか体験・会得できないものを掴めたのは大きな収穫だった。
改めて崖の下を覗くとスケールがむちゃくちゃである。写真は民主的な装置なので何でもかんでも平穏な平面にしてしまうが、実際は距離感が狂うぐらい深く奥へと切れ込んでいる。落ちて溜まった全ての岩がガラッガラで、まあ人間が落ちたら止まらないと思う。
何か水が流れるような音がしている。全ての地形が生きて動いているのが分かる。やばい。星が生きているのが分かる。精神状態が「火の鳥」になってきた。私がスピリチュアルにハマらない理由はこういうわけです。ナチュラルに壊れてるんや。ああ岩の音がする。カーン。
ガスガスしてたのが急に晴れてきた。やばい。聖岳は我々を歓待しておる。拒絶ではなかった。よかった。
山は女よりややこしくて、突き放す時は口もきいてくれないし、受け容れる時は一心同体かというぐらいぴったり寄り添ってくれます。意味が分からん。
古来より山の神が女神であったことも頷ける。なんていうか天候や何やら含めて情緒の波がすごいんやわ。あと直線的でなく理論を超えたものがある。
という言説はヘテロ男性の眼から見て物事を男女に二分して喩えて評価を付けて回っているだけの家父長制的な発想であり、そもそも山を女に喩えるというのは略
ここでリベラルに酔ってたらマジで足ツルッて行って体持ってかれるから、体のことと重心と地面のこと考えなあかんぞ。登頂の達成感でメンタルはハイになって思考が回ってるけど足元、靴にやや力が入ってないんや。こういう時あぶないぞ。シンプルになれよ。私は地球だ。あかんシンプルすぎてそれも危ない。どないせえと。
岩・崖を登る人っているけど、谷底へ向かって下りていく人っていないよな。危ないからや。いや事象が消えていく方へ向かうのは本能=生のルールに反するから、やろうという意欲が普通に出ないのだろうと思う。いや危ないからやな。危ないわ。せや。だれやねん「山は女や、女神や」とか言うたん。全然ちゃうわ。いや崖や谷は山の一部に過ぎないからそれは違う。ああっ思考が空転する。カント、ヘーゲル、私を助けて。
いい岩ですね。地球を感じました。他の惑星も巡りたいものです。
タイム管理も完璧でほぼ50分で小聖岳に下りてきた。手が空いて足元安定してたら地図と時計を見ること、凡事徹底で、地味に習慣化していきます。もっと周囲の風景、周りの山も総合的に地図と照合できるようになったらいいなと思いました。せやな。周りに何山あんのかわからんもんなあ。
14:55、薊畑(あざみばた)帰還。なんか小聖岳から40分かかるはずが、えらい早く着いた。下山で70分かかったので、20分は短縮している。いや最後の小聖岳からの帰りがめっちゃ長くてめんどくさかったんやけど。なにあれ。お花畑はいいわ。ながいねん。なんで長いねんな(怒) いや短時間でいったよ。けど長いねん(怒) いや花は綺麗やで。わかっとるわそんなん。けど長いねん(怒) 以下略。たのしかったですね。
( ´ - ` ) ここから宿の聖平小屋までまだ20分あるけどな。
つづく。