nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】R5.8/4-6 南アルプス・聖岳②聖光小屋テン泊~朝・登山開始~苔平

初の南アルプス登山。「聖岳(ひじりだけ)」に挑みます。

3人パーティー、合流した瞬間に1人流血沙汰で脱落しましたが、今回第2段は駐車場から登山口まで移動、翌朝の出発からのレポ。

めんどくさい登りがはじまる。ゲェー(吐

 

1日かけてまだ登山口にすら着いてないねん。色々あったんやで。多様性社会やあ。

いきなり仲間を失う試練。

hyperneko-daily.hatenablog.jp

ようやく現地入りして車を置けた。が、駐車場から2時間歩かないと寝床につかないのでがんばります。長い、、、やめてや、、、(山岳弱者なのでナーバスになってゐます)

 

■8/4(金)18:00、芝沢ゲート駐車場の先へ(車通行止め)

本当はここからまだ車で走れたと思うとにくたらしい。通行止めのせいで往復4時間の徒歩が純増になっておるのだ。おのれ聖(ひじり)の罠か。

R5.6/2-3の大雨により崩落するも、復旧作業を進めてくれはったようで、R5.7/12から徒歩のみ進行可能になっている。ありがとうございます。うっうっ。現場を支えてくださっている皆様に感謝申し上げます。真似できねえ。うっうっ。私は無力だ。泣こう。

 

登山届をだすよ。出発時に仲間が流血沙汰に見舞われたのだから、もう今回は何が起きるか分からない。過剰に神経をとがらせています。オカルトかもしれないけれど、何かが起きた時って問題の根っこが地下茎のように繋がっていて、続けて別の何かが起きるということは、ある。ヒヤリハットの法則:1つの重大事故の下部には29の軽微な事故と300の事故未遂が隠れてるってやつね。

やらかすとしたら確実に私であろう。試練だ。

 

入って早々、山側に小屋がある。廃小屋である。探索する気が1ミリも起きない。暑いのである。荷物も重い。

 

鹿の角。なぜか持って帰る気にもならず安置。今日は欲望が薄い。

 

さっそく崩落個所があるらしく、高巻きの仮設道に行けと言われる。だが進めるではないか。進むぞ。(暑いので登りがめんどくさいという心理が働いています)

 

崩れ方がやばすぎる。ずっとこんな調子だったら体力減らすなあ。やだなあ。(※めんどくさいのはここだけです)

 

電柱の足元が持っていかれて、電線が地面に垂れ下がり、危険テープがいっぱい貼ってある。聞きしに勝る崩落具合。さて迂回路に戻るのがもう面倒くさくて、河原に下りて下から巻いていくことにしました。

結果、無駄なカロリーを使う。河原の岩がぜんぶでかくて歩くの大変。斜面をよじ登って元の道に強引に復帰する。暑い。どうも身体がさっさと動かない。明日が思いやられる。

 

水のエレメントが怖い。

 

他の崩落個所は全て平らになっていて、歩行箇所に大きな岩はない。フラットな道を歩いているだけの回である。しかし暑い。もう面倒くさすぎて特に会話もない。酒を飲んでも良かった気がするが暑くて汗がすごいねんな。

 

景色は良い。岩と渓流が見事である。だが移動が目的と化しているので気持ちのスイッチは別のところに入っている。日もどんどん暮れてきてるんすよ。周囲の山が高いと太陽が隠れるのも早いんです。

何か動物おらんかなと期待するも、おらへん。大規模に土砂崩れが起きていて完全復旧はいつになるやら。がんばってください飯田市さんと長野県さん。予算。予算を。

 

19時過ぎ「易老渡(いろうど)」着。かぼそい橋があるだけの実に地味な場所だが、「光岳(てかりだけ)」「易老岳(いろうだけ)」「茶臼岳」への分岐・登山口となっており、南アルプス攻めには重要なポイントであるようだ。へえー。なお師匠のオタケ氏は昨年ここから「光岳」に行ったらしい。しかも日帰りで。えっ。

 

もうどんどん暗くなってきてるねんけど。やだあ。なんでくらくなるの。夏やねんからがんばってください。

 

暗い。カメラがピントあわへん。

易老渡の駐車場を通り過ぎた先にトンネル。鹿に逃げられたので腹いせに奇声を上げまくってやります。アーエーアーィー。アーアーアーアー。こうやってふざけているうちにだんだん狂気に呑まれて本当に言葉や理論を失ってゆくのであろう。しらんしらん。

 

19:35、聖光小屋テント場に到着。

もう歩くの飽きた。タオルが汗でベットベトで気持ち悪い。道中に川というか山から流れ落ちてきた水の流れはあったけど、どうも洗う気になれなかった。い~~。だがこのテン場は水が豊富に使える。よかった。

 


■8/4(金)聖光小屋テン場~テン泊

暗すぎてカメラもピント合わない。暗いよう。

 

我々の他にテントは2張り、しかし人の気配もないしテン場と逆の小屋・管理人の敷地に張っていたので一般利用者ではないのかもしれない。小屋は閉まっている。なぜか今日に限って休みだという張り紙が。予約不要で、テン場使用料(一人500円)を箱に入れれば敷地を自由に使えるため、気楽に独占状態である。

水は蛇口ひねれば無限に使えるが、飲んでいいとは書いてないのと、なんか川っぽい匂いがする。そこらの川から直接引き込んでいたらちょっとやだなと思い、飲まないことにする。

 

かなり大きな敷地があり、炊事場あり、椅子と机あり、トイレありで、林間学習など集団でキャンプができる施設だ。車で直接乗り入れられたなら利用価値も高かったはずだが、今は私らのような前泊組しか使わないだろうか。

快適すぎて机と椅子のあるコンクリ床にテントを張るという暴挙に出る。もうアウトドアの非日常とかええねん。どうせ明日の登りで苦労するから楽できるところは楽するねん。そういえばコロナ禍でキャンプ用品一式買った人たちってその後使ったんでしょうかね。ぜったい行ってないだろう。自然って不快で不便でめんどくさいんですよ。そないイメージの良いもんではない。スマホいじるか食って寝るしかない。

(  >_<) いたい。床が硬くて足腰がいたい。イタタ。

 

ほれ見い不快やぞ。アウトドアは不快。イタタ。

あんまり眠れんかった。夜20時半から寝たというのにどうも眠りは浅い。何度か目を覚ましては再び眠る。オタケ氏もあまり眠れなかったらしい。翌日の登山では途中で寝てた。テン泊あるあるです。

 

寝始めた時は暑い暑いと言っていたが、深夜になると微妙に寒くなり、シュラフに潜る。だが上は半袖シャツ1枚で済んだ。標高970mぐらいあるので下界とはかなり違い、夜間早朝の冷えが深い。

 

 

■8/5(土)4:00起床~4:45出発~遊歩道

さあ登る日です。いやや~。

4時起きでできるだけ速やかに聖光小屋まで行き、小屋~山頂の往復4時間分を捻出できるようにします。気が重い。

午前4時だと真っ暗、4時半から次第に明るくなってきた。

パン食って片付け、テント撤収していたら4:45になっていた。コッヘル煮炊きやメイクや恋バナとか無駄なこと一切してないのに30分では収まらないことが判明した。これは翌日の聖平小屋でもまったく同じだった。

 

カレーとかあるねんて。ええな・・・。

てか聖光小屋が使われてないの勿体なさすぎるな・・・。みんな使ってや・・・。

seikougoya.info

 

テン場からすぐ登山口。ここでも登山届が出せます。

みんな出せよ!しぬから!

 

ああっ憂鬱る。樹の周りとか探したけどクワガタおらんかった。

 

( ´ ¬`) 鬱だ。稜線上に出るまで、森林限界を超えるまでが、登山は忍耐ですわ。ああもう、、森の中を登っていくこの感じ、冴えない泥沼のようなこの足取り、やだなあもう。「聖(ひじり)の攻撃は始まっているのだ」「聖に拒絶されるか、招き入れられてからやられるのか」死ぬ話ばっかりします。ちくしょう。

 

ちょっと登ったら「遊歩道」がテン場を取り巻いていて、奥にはトンネル。なんやな、まだ遊歩道すか。小一時間はだらだら道が続くようだ。気長な登山になりそうです。ブレてるのはISO3200でも足らんぐらい暗いせいです。むしろカメラが優秀すぎて明るくしようと頑張るからブレてる。

 

トンネルを抜けると太陽の光が森全体に射していて、格段に明るい。夏の朝を感じる。良いんだけどやや暑い。そして山小屋のトイレの臭い、排泄物を長期間溜め込んだ臭いがする。何??? 何があるのここ???

 

( ´ - ` ) なんだヤマカガシの死体が臭ってただけか。なら良いです。シデムシが腐肉を食っていた。私もこうならないよう気を付けねば。山ではすぐしぬからな。しぬ話ばっかりします。

 

ルートおさらいしましょうね。

聖光小屋から頂上と聖平小屋への分岐点・薊畑(あざみばた)まで、45分+70分+50分+70分+80分=315分 ≒ 5時間半。

高度差約2400-970 ≒ 1430m。

 

( ´ ¬`) 更に、薊畑から頂上に到達するには往復4時間と高度差600mが追加される。

 

登った後に更にそんな・・・ ひどい。

 

何度も言うが筆者はカフェイン+α(脂肪燃焼作用のあるハードな何かこうあれです)を濫用しながら土日引き篭もってずっとYouTube見ながら頭沸かせてblog等を執筆しているような90年代サブカルライターっ気が抜けない不健全な人種であり、昨年の白山登山、冬の武奈ヶ岳以来、まともな登山もトレーニングもしていないので、詰んでいます。

(再掲)hypernekoの土日祝日のようす

 

だが自壊という点では自然の方も負けてはおらん。石を積んでは自ら崩す、というような途方もないことを自然は自然にやっておる。どこもかしこも崩落だらけではないか。

ここ渡るの危ない。足が乗る所が少ない。写真では分からないが完全な斜面なのでズルッと行くと下まで落ちます。これは下山時にやらかす予感がする。昨日のことがあるので死に対して鋭敏になっています。

 

うわあひど。一応これ「遊歩道」なのだが、激しいな。上から降ってこないよね? 死の感性が高まっているのでめっちゃ上を見て歩いています。こんな岩、平時落ちてくるもんではないと思うけども。

 

道は穏やかなんだけども、崖側は深く切れ落ちていて木の生えていないところも多く、誤って滑ったら谷底まで100mとかそれ以上ズザーッて止まらないだろう。これを林間学校とかで使うのは厳しいと思う。

 

はい仮設の橋やらハシゴやら出ました。それはいいけどそこまで下りる石段が不安定で怖い。やらかしそうになった。ザックが重いと前向いて下るのがすごく難しい。「聖の攻撃や」「あかんしぬ」死ぬ話しかしてへん。

初日の合流で事故って脱落した幻の3人目メンバー・みっこはんを連れてきて、果たして無事にやりきれただろうか、という話題が当然出た。こればかりはifの先を見ることが出来ないので何とも言えないが、地味にこの道のコンディションがいやらしく、下山時の体力筋力がカツカツだと捻挫や転倒は十分あり得るだろうと思った。ザックのウェイトバランスが良くないとやっぱり転倒するかもしれない。

 

崖側の斜度はこんなぬるくなくて、谷底の川まで転がり落ちる状況だったが、実情と違う写真になってしまった。写真という装置・映像手法は視覚の民主化をもたらしたが、ゆえに全てのものを四角形の中に均質に収まるように収めてしまうのだ。

 

いい道ですけどね。イメージは良い。これからのことを思うとだるい。人間ってものの5分も喋れば相手がどんな人かなんとなくわかるじゃないですか、それと同じで、10分20分歩くと山の感じとか、今日の体調やこの先のスタミナどうなるかの予測がつく。これはですね、だるいですよ。だるい。

 

はいまた崩落で道がない。下の川まで地面が流れてます。ただ先行者トレースがしっかりついていたので見た目より安全。

 

 

■8/5(土)5:30西沢渡・人力ロープウェイ~5:50造林小屋跡

「西沢」の川を渡る地点だから「西沢渡」です。へえ。

ここの看板に、公園の利用マナーとともに珍妙な注意書きがある。「ワイヤーロープウェイご使用上の注意」

 

( ´ - ` ) 例のやつだ・・・!

 

聖岳名物、人力ロープウェイ(ゴンドラ)である。川を渡るのに利用者自らがロープを引いて操作するという。物珍しいのでみんなヤマレコとかでこれに言及している。

説明書き一切なし。どうしたらいいのか分からん。ヤマレコ読んでなかったら使っていいと思わなかっただろう。

これは適当にロープを引くと、向こう岸にいる籠がこっちにやって来る仕組み。ただし川の中腹を越えたあたりからロープが重くなり、籠が自重で向こうへ戻ろうとするので最後の方はかなりきつい。やばい。

こっちは荷物がでかいので、寄せきらないと乗り込めない。たいへんである。

乗り込むのが大変。ここまで寄せるのが大変。一人だったら絶対使いたくない。しかし川には橋がない。かつては橋があったが一度流され、2021年に仮設されたがそれもまた流されたようだ。後から来たパーティーは岩伝いに強引に川を渡ったという。その方が楽だが水量多いし、こけたらやばいし・・・。

 

しんどくて笑えたので動画とった。


www.youtube.com

乗ってからも対岸に付けるのが厄介で、自重で川の中央に戻ろうとする。あかんて。いってや。腕の力だけでロープ引いてもだめで、腰を落として全身を使いましょう。単独行では絶対使いたくない。

 

あっヒキガエル。

目立った動物はこいつぐらい。

 

5:50、「造林小屋跡」、残っているのは屋敷1軒だけだが、いくつか区画跡もあって、かつて小さな集落があったようでもある。なんやろ。

 

外観、内部とも昭和の古い旅館のような作り。中は荒れている。あまり面白そうなものでもない。

ルートは小屋の周囲をぐるっと裏手に回り込む。そこからが本当の登りの始まりである。つまりこれまでの道は前座・・・ 準備運動!

 

 

■8/5(土)本格的な登り開始 ~ 7:30 大木の広場

ア~~/(^o^)\

 

圧倒的登り。

 

上が見えへん。これ一体どこまで登らすんや。

「薊畑」に出るまで等高線がみっちり詰まってるんで、全部こういう斜度の登りなのだろうと思われる。げー。

 

いま取り組んでいるタスクの全容が見えないとき、先々どこまで 人は必要以上に無計画になるか、用心深く(疑い深く)なる。いずれにせよストレスが募る。

このサブカルインナークソ人間が一体どれだけ体力を残せば頂上往復戦をやれるのか、正直、計算できない。この読み合い・せめぎ合いはストレスですらある。昨年の白山も結局、頂上まで行けず山小屋で帰ってきたわけだから、ああっ。またですかこれは。

 

じわじわ登るしかない。遅いが、息を切らさず体力をできるだけ使わない歩調で登る。なんやなこれは・・・ トレラン的な軽装者、普通の登山者にどんどん抜かれる。ええねんええねん。抜いてや。私で抜け。いや違う。私を抜け。ああっ。

 

植生は豊富で、様々なキノコ、コケ類が目立つ。私、植物詳しくないのでよく分からんですが、詳しい人にはたまらんのでは。

 

道中ずっとあまり直射日光が当たらず、森に覆われていて、湿度と影が保たれているのが特徴的だ。そのせいか、汗は止まらないものの、暑さはさほどでもない。

暑さがマシというのは嬉しい誤算だった。そもそも真夏も真夏のこんな時期(8月上旬)に南アルプスの深い山を長時間歩くなど、自殺行為ではないかと企画時点からナーバスになっていたのだ。これはがんばれます。思うに地球温暖化をやめさせるには樹を増やせばよいのではないか。焼畑をやm   あっ(グローバル企業の雇った刺客に封じられる

 

はい。思わせぶりポイント。看板があるので地図上の区間ポイントに到達したかに思ってしまうが、これはただの「草木を愛しましょう」「山火事を起こしてはいけません」注意書きである。まぎらわしいわアホ(※ペース配分、時間管理にナーバスになっており、気が立ってゐます)。

 

オタケ氏がGPSで現在地の管理はしてくれているが、私は私でポイント区間のタイム管理をアナログで、昭文社の紙の地図で行っていた。GPSであと何m・何分ぐらいで次のポイントに着くかが分かるのだが、地図のコースタイムと自分の時計から「だいたい7時すぎに”ガレの上”、8時頃に”大木の広場”に着くはず・・・」としつこくカウントしていた。

自分のような無力者が後々まで気力と体力を残せたのは、このアナログなタイム管理が良かったのかも知れない。

山では予想の上振れ、過度な期待が空振ったときほど、気力と体力が大きく奪われる。「1時間かかるポイントに40分で着いた!やった!」とか「あの目の前の看板は次のポイントに違いない!」と思ってから、それが実は違っていたとなると、やばいのである。魂を削がれてせいめいりょくを奪われる。それが続くと、もうだめである。おわる。

登るにつれて崖側が切れ落ちてきて、ロープだの網だのが張られるようになる。これ何人も落ちたり道に迷ってルート踏み外したんだろうな。決定的な難所、高度な技術を要する場所はなく、ただただ登るだけでいいのだが、総じて全体的にめんどくさく、気を抜くと危ないところがずっと続く。

崖側は深くて、落ちると網がなければずっと下まで転がり落ちるだろう。体力を失った下山時には脅威となる。やだなあ。

 

タイム管理していて変だなと思ったら、「ガレの上」ポイントは通過済みだったようだ。目印が一切なかった。こういうときはGPSの方が有利。ただしバッテリーめっちゃ食うので注意。オタケ氏は通常利用スマホと別に山GPS用スマホを持っていた。

 

崖地帯を越えると、また山の斜面をジグザグに登るだけの道になる。これは気分転換も何もなくて、ただただしんどいが、危険度ゼロなのが救いだ。しかし気が滅入るので疲弊する。やだあ。

 

一貫してさくさく歩いているようなレポになっているが、実際は20~30分おきになんかしら立ち止まってポカリを飲んだり塩熱飴をなめたりチョコ食うなどして忙しく休んでいる。

もはや無意識の習慣になっていたが、思えばこれもテクニックで、長い大休止をドカドカ取るより、数分の小休止を細かく挟んで、細かい水分&エネルギー補給をする方が、消耗が少なくて済むようだ。ゲームと違って現実にはベホマやエリクサーのような一発全回復の術が存在せず、ホイミやリジェネなどの微量回復をどれだけ積み重ねられるかが鍵となる。

 

体力に余裕ができると細部を撮るようになります。

日が射し込んできて、緑がたいへんよろしゅうございました。汗がとまらんが、気温がそんなに高いわけでもないが、どれだけペースを抑制しても、心拍は早くなり、汗が出ます。無汗登山の奥義に辿り着けません。「そらテン泊用の荷物重いから無理やろ」と天の声がします。せやな。

 

体力・歩調、地図・進捗のマネジメントとともに、水マネジメントも繊細にやっています。手持ちのポカリ500ml × 4本を、登り2本・下山2本で配分したいため、ケチケチ飲んでいます。ぐびぐび飲み禁止。

このコントロールがうまくいき、最終的には登り2本・下山1本の使用で収まりました。まあ登りで飲みつくしても山小屋でポカリ買う&水補給すればいいだけなのだが。基礎をちゃんとやろうでということです。

 

飲んだ直後、汗がワッて噴き出るので、本当はもっと水分を欲している気がするが、体よこらえてくれ。

また崖が出てきた。山を右側へと巻いていくときに崖が出てくる。写真の右側をご覧ください、網が見えますね。これが滑落者を止めます(多分)。ほんまに止まるのかは不明。

 

たまにこういう平らな通路めいた道が現れ、癒しをもたらす。ほぼ急坂やさかいにしんどいねん。淫猥な妄想をする余裕もなく、ただただ自動的にある漫画の場面や音楽の記憶がリフレインされている。理性的思考の方は「今は前のポイントから○分歩いた、あと△分歩けば次のポイント」とカウントしており、疲労が増すにつれてカウントのことを考える割合が大きくなっていった。トランス状態になる。

 

きのこが黒いねんな。いいと思う。

休憩直後や平らな道ではこうした植物、キノコ類を撮影する気力がある。登りの連続帯ではもう無理。あきまへん。喋る気力もないので職場より喋らずもくもくと登っています。仕事かなこれ。

 

7:30、「大木の広場」着。

大木・・・? まあまあ大きいけど、大木っていうガラではないなあ。

 

ここでオタケ氏のGPSは「広場はもっと先」と示していて、ああっ、これ偽か、ていうか無駄なロスなく歩き続けているのにコースタイムから15~20分の遅れが出ているのか、地図が悪いのか私が遅すぎるのか、などと思考があれする。

だが後にスマホを再確認すると既に広場を通過していたと判明。「GPSは時々ズレが生じるので信用しすぎるとだめ」という割と厄介な事実を得ました。めんどくせえなあもう。二人一組で登らないとやっぱだめだ。

 

 

■8/5(土)大木の広場 ~ 8:40 苔平

「苔平」まで70分。

ヒー( ´ -`) きつ。

 

焼き過ぎた餅、もといサルノコシカケ(たぶん)。完全に餅です。

触るとカチカチ。けっこうでかい。

 

7:54、標高1800m地点。

「薊畑」が2300~2350mなのでまだ500m登らないとだめ。うれしくない。

 

だんだん苔と倒木が目立ってきて、「苔平」の雰囲気が出てきた。この山に入ってくる人が少ないせいもあって、苔がたくさんある。人間が切り拓いたり踏み荒らすと、樹は弱り、緑の天幕が欠けて日光が注ぎ、地面が乾いて苔が消え、森に穴が開くらしい。ここは「原生林」と言ってよいだろう。すご。余裕なくてわかってなかった。

 

斜度しんどいし、上が見えない。見えるわけがないんだが見えない。まじ鬱である。どこまで登ったらゴールかが全くわからない。まじ鬱。

 

鬱でハイになったため「淡路島のパソナに続いて、大阪維新が取り付き、吉本興業も付いていき、ついでにビッグモーター経営層も合流、さらに壺統一教会、へずまりゅうやガーシーなど炎上系・犯罪者も合わさり、沿岸部は全てソーラーパネル開発された、シン・淡路島が生まれ、令和の地獄の坩堝と化した未来」を語っていたら、息が切れて死にそうになったので、だまりました。はい。

 

8:33、標高2000m地点。うれしくない。

このあたりになるとけっこう疲労が進んでいて、しかし今までの経験から「ぬか喜びをしたら精神的に死ぬから絶対に期待しない、余計なことは考えない」と脳にロックが掛かり、あまり邪念がないんで記憶もないんです。

「次のポイントまで40分」とか考えるのもきつい。「15分」「10分」なら許容できる。なので時計をすごいチラチラ見ながら「15分を4~5回繰り返すと次のポイント到達」などという認知のすり替えを行い、脳をごまかしている。人間苦しくなると色んな技を開発するものである。

 

8:40、苔平。

看板を目にすると条件反射で「あっポイント着いた!」と気が緩むが、ぬか喜びを防止するために理性がそれを強引に抑え込み、おそろしく慎重になっています。苔平って書いてあってよかった。

 

ねそべって休む。よくわからんけどザック重い気がする。実際重い。これは登頂の往復の体力を残せるのか? いけそうな気もする。あかん気もする。よくわからない。こればかりは分からんのだ。まだあと80分登らないといけない。80分てどのぐらい? ええと・・・

 

「荷物デポしたらいけるやろ」「テン泊の荷物だいぶ重いからな」「ただ聖平小屋まで寄って昼飯食ってデポしてたら、小屋の往復で50分使うねんな」「薊畑でデポすることも考えたほうがいい」へい。

 

 

あと80分歩くと「薊畑」に着く。

つくんやで。ついてね、(涙目

( ´ - ` )

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