nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】R4.8/26-27 白山(室堂1泊2日)②登り:エコーライン→弥陀ヶ原→室堂到着

( ´ ¬`) 白山登り記録②、中腹まで辿り着いた私達は、「エコーライン」という接待コースを粛々と登ります。しかし縛りプレイ3人組パーティーはお通夜の葬列のようにシリアスなのであった。疲れたんだよ!!! 

安全運転で室堂まで行きましたの回。

 

 

白山① 登り:別当出合駐車場→甚之助避難小屋まで

hyperneko-daily.hatenablog.jp

 

この白山登山は、「低レベルクリア(初心者)、ステータス異常(コロナ病み上がり)、呪い(ハードサプリジャンキー)」という縛りプレイ3名パーティーがお送りしております。いやいや無謀ではござらん。今回は整備されすぎてるぐらいのルート。絶対安全登山なので安全にやっております。答えになってねえ。

 

 

◆13:09~13:53 南竜道~エコーライン分岐

さて前回①では「甚之助避難小屋」で昼飯休憩をし、体力を回復させました。

が、飯食って歓談したら回復するだなんてゲームみたいな話、ないんですよ現実には。登山でも何でもそうだと思うんですが、実は体力は「ベース体力」と「上澄み体力」の2層ゲージ制になっている。

家計に喩えると、前者は銀行の預貯金、後者は財布に入ってる手持ち金のイメージだ。後者は回転率が高く、減ってもすぐ補充が利くが、総量が知れている。日頃の運動ではこっちの「上澄み体力」が出し入れされる。

だが総力戦・長期戦になるとそれでは足りなくなって、前者「ベース体力」に手を付けることになる。車やら大きな買い物をするようなものだ。場合によっては借金。この補填は「上澄み体力」がしっかり満ちていないと回せない。そして多少の休憩をとったところで、財布に千円札を入れるようなものにすぎず、借金が返せないのだ。

 

たとえ話をしたところで、歩かないとだめですから、歩きます。

はい。

 

「甚之助避難小屋」すぐ上に、大人数が休憩できる石段、水場スペースがある。なんで???

 

実は小屋は2010年に新築されたようで、それまではこの荒れ地みたいなスペースが休憩場だったのだろう。ツアー客もさばける広さ。

 

階段。まだまだ山の中(階段)を歩かされますが、高度が上がってきてやや草の丈が短くなり、稜線っぽさが出てきました。階段・・・ 階段・・・・ 波形が一定な山。テクノな山ですこと。通勤で駅の階段上り下りに鍛えられている東京在住者が優勝すると思う。

 

下りてくる人とけっこう擦れ違うんですが、その多くは日帰り登山者なのではないか?という疑念があります。

なんせ室堂ビジターセンターの営業再開は今日からなのと、そこにはテント場がない(もっと下の南竜山荘近くのテン場しかない)ので、みんな実際どういう行程なんだろう? と。

 

日帰り・軽身にして往復6~7時間とすれば、例えば朝4時・5時に車で乗り付けて登り始めれば、昼過ぎには下山中というパターンも大いにあり得ます。いいですね元気な人は。ぜーぜー。息が切れる。

 

だいたいガスで地形・景色がよくわかりません。ゲームよりも更にランダム性が高く、挑む度に設定が変わるので、そういうところも登山の中毒性を高める要因になっています。ギャンブルもそうですね。当たるかどうか分からないから人間(の脳)は、ハマる。

 

13:32、「南竜道分岐」そして「甚之助谷第2号谷止工」。大正4年竣工、平成24年に登録有形文化財に登録と。

この道を急登側にいくと「黒ボコ岩」コースへ。私達は日和見主義なのでおっとりの「南竜童」を選び、その先の「エコーライン」から登ります。

 

「登録有形文化財」のプレートと石垣、登ってる時には意味が分からず「なんやねんこれ、なに?」「この石垣なに?」とハァ?顔をしていたが、冗談ではなくこの石垣がそうらしい。現地で石を砕いて積み上げ、山肌を崩れないようにしている砂防堰堤(えんてい)なのだと。どんだけ脆いんだこの山、、、。

 

bunka.nii.ac.jp

 

疲労によりベース体力が減ってくると、歴史も頭に入りませんで。再読すると面白い。なので皆さん登山等で非日常に足を踏み入れた際には、現地の解説文などはとりあえず記録しておくといいですよ。奇景・珍奇の謎がわかる。

白山の砂防事業は大正元年(1912年)から100年間以上も続いている階段状砂防堰堤ということで、この石段がいくつか続いていたようだが、全く気付かなかった。

また、甚之助谷の地滑りの原因が隣の万才谷から岩盤を伝ってくる流水にあることから、「排水トンネル」を堀り、水の流れを谷の下へ落としてトンネルで排水する仕組みがとられている。

xtech.nikkei.com

外観として目に見えている以上に、ものすごい規模でサイボーグ化された山、それが白山の正体であった。滅びと保全の狭間に引き留められた山・・・。

 

そんな感懐など抱くよしもなく歩くのでした。稜線ぽいとこ歩いてるぞー。やっと山っぽくなってきた。

13:33。あ。20分前にいた「甚之助避難小屋」が見える。あっという間に結構歩いてきたなー。人間が歩く量ってちりつもですごい。他の登山者の1.5倍ぐらいゆっくり歩いているのに前に進んでいる。人生。

 

見るとこ見るとこ、えぐれて削れまくっている。変な山だ。開山1300年というが、その間に姿形が変わりまくってきたのではないか。勿論増える・太ることはないから削れる一方で。平らになるかなと思ったが逆に崖がいっぱい生まれて急斜面が増えるかな。

 

稜線ぽくなっても階段がしっかり登場。徹底してますなあ。これ楽になってるのか疲れ増してるのか分からん。ぜえーぜえー。汗ボタボタ。ただし風はある。立ち止まると冷却されるからまだいい。お盆どきに登ってたらもっと激暑でしんでただろう。

 

13:43、笹ゾーンに突入。植生が謎。

笹があると高山植物は押し負けるっぽい。

 

あ?? 小屋が。テントが。なにあれ。

フェス?(違う

 

正面に見える奥の大きな建物が「南竜山荘」、手前のが「南竜休憩所」。今回はそっち方面には行きません。御前坂の「トンビ岩コース(石徹コース)」を上る人は小屋に向かって下っていきましょう。下り道になるからナーバスになっていたのだった。

 

笹の海が広がる。すごい。凪の海のようだ。異様な光景である。きれいだ。ほめておこう。飛び込んだら絵になりそうだがマダニが怖いのでそんなことしません。大人は夢がない。

 

なおこのへんで仲間1名がキイチゴ的なものを見つけ、口に入れたため、白山との契約が結ばれたと思われる。夜うなされるであろう。

 

 

◆13:55~14:45 「エコーライン」

13:53、「エコーライン」への分岐。ご覧ください、石がていねいに敷き詰められた床と階段。2000m超での接待は格別です。本当に皇族かマイケルジャクソンでも歩きにきたんではないか。おれたちの物語はここからだ! そうです。室堂までコースタイム80分。うおお。

 

足元にめっちゃバッタ。

踏む―――! あぶねえーーーーー ( ´ - ` )

 

高山帯の昆虫は動きが鈍すぎて怖い。日光浴すか。

ベアグリルスなら取って食うところですが、まあ私達ハラは減ってないのでそっとしておきます。よかったな昆虫。

 

オラアッ エコーラインッッ 

エコーー(  ╹◡╹)ノ

 

オラアッ オラアッ エコーーーッッ

 

同じような光景が続いていますが、これは一気に真っすぐ登るとしんどすぎるので、ジグザグ道に作ってあるのです。いいのかわるいのか。私が作ったんちゃうからもんく言わんといてな。

 

3名、ゆっくり歩きを厳守し、息切れを起こさないようセーブするが、やはりとめどなく汗が出る。しかも息切れが起きる。これ以上遅く歩かれへんですって。やはり上澄み体力だけで回すのが無理で、ベース体力を削りながら歩いているのが分かる。げー。

 

うわ~~~~。

遠い~~~~。

この丘を越えないとだめ。キングダムの歩兵ってすごいですね駆け上がりますもんね。

エコーの何がエコーなのか。道がつづら折りになってて繰り返しなところか。ブツブツ。

 

ひいひい。

 

ひいひいひい。

 

なげえ。

 

14:10。だいぶ丘の頂上が見えてきた。

しかし嫌な予感がする。これ単体の丘じゃねえだろ。あんた後ろにまだいるだろ。

 

あ~~~。

まだある~~~。

 

剣岳パターンやないか~~。手前のピークの裏に複数のピークが控えてるっていう(中)ボス連戦パターン。これが一番きつい。頭で分かっててもきつい。

 

まあ剣岳に比べたら散歩レベルですが。危険度ゼロだし。そう、前を向いて、歩き続けるだけ。未来に向かって・・・ 頭の中でずっと篠原涼子が歌ってました。いとしさと、せつなさと、こころづよさと、嗚呼。坂本龍一と小室哲哉を分けたのは何だったのか。簡単だ。思想だ。市場だ。教養だ。いやそれ以上は言うまい。それ以上言えば私は一体何かということに・・・ 思考が円環する。

 

風があり、汗びちゃびちゃで立ち止まるとクールダウンします。しかし休憩は最小限にして少しずつ歩き続けます。

 

仲間の下調べによると「エコーライン」は四季折々のお花が咲き、年配の方のツアーでも選ばれるコースだとか。へえー。みんなこれお花眺めて楽しみながら登るんだあー。へえ~~。エコーラインの屈辱(2022年)

 

確かに足元には高山植物が豊富に咲いており、体力とマクロレンズと好天があれば、めっちゃ楽しめるルートです。レンズの神「汝、なぜマクロを持って来なかったか」 私「はい、しんどいですからです」 神「よろしい。では星に還るがよい」 私「アアアアア"」  滅。

 

花めっちゃ咲いてましたよ。このウミユリみたいなやつ何。

 

調べると「チングルマ」の「羽毛上果穂」バージョンらしい。白い五輪の花弁と黄色い雄しべが有名な花。

 

あっパーティー花だ。これパーティー(語彙)

 

鮮やかなピンクの房のこいつをパーティー花と名付け、一行は丘を越えて進むのであった。完。

 

 

◆14:45~15:00 「弥陀ヶ原」~五葉坂への分岐

丘を越えきったら、ようやく「白山」の頂上が見えました。やっとや。これが「白山」でしたか。昨晩の車移動からここに至るまで何も分からんまま登ってたんだよ。※筆者は攻略情報の下調べを最小限にする派です。

 

中央の丸いこぶ。これが霊峰「白山」のお姿。

過去の噴火で吹っ飛んだのか、頂上は平たく、そのすそ野もえらく広くて平坦です。こんなに平らで広いとは思わなかった。ばかでかい丘のような山ですね。立山一帯をもっと小さく平たくした感じか。

頂上部は広くて複数の池があり、お鉢巡りができるらしい。(頂上に行けなかったので憶測です。ちくしょう。)

 

私達が泊まる「室堂ビジターセンター」は山の中腹。頂上まで行かなくていいのはありがたい。しんでまうわ。がんばろう。

 

この手前の平原は「弥陀ヶ原」という。極楽ではないか。今回の山行で一番の極楽地。ここで動植物の観察・撮影したら楽しいだろうな。しかし別世界ですよ。異常と言っても良い。

白い木板の回廊と両脇に広がる笹、高山植物、そして豊富な水たまり。なんだこれは??? 湿原と笹のハイブリッド?? 湿地なのか乾燥地なのかよくわからない。どういうことすか???

 

意味が分からなかったが、これは歴史的に人間が砂防工事などで土壌に手を入れてきた結果、性質が変わった結果のようだ。水が溜まってたのは昨晩の雨天のせいだろうか。

弥陀ヶ原は湿原が発達しても良い条件を備えているにもかかわらず湿原を見ることができない。鈴木(1970)はこの理由として、山頂近くに湿原が形成されるには高度が高すぎること、又、明治時代に行われた砂防工事のために弥陀ヶ原の「しば」を用いたと伝えられ、表層の泥炭をとり去ってしまったための植生の破壊という2点を挙げている。(中略)なお、福嶋(未発表)が行った土壌分析では、かつてこの地が湿原であったことを示唆する結果がでている。

(引用:石川県白山自然保護センター研究報告「白山室堂平および弥陀ヶ原の植生」)

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/publish/report/documents/report3-4.pdf

 

奥が深い。霊山、白山信仰という切り口でしか見ていなかったが、「白山」とは、上から下までどこをとっても砂防工事の歴史の塊だ。歴史とは人為、ヒトとの関わりの堆積と記録そのものである。

 

さて疲れてると木の歩道のスキマにトレッキングポールが挟まって転びそうになります。ポールも便利な場面と邪魔な場面とがあって厄介ですね。私は装備の変更がめんどくさいので無ストック派です。しかし二本足もきつい。

 

14:59、「黒ボコ岩」「五葉坂」分岐ポイント。

やっとここまで来たか。しかし「エコーライン」からほぼ1時間で到着、ほぼコースタイム通りでは。なんだかんだで優秀では。がんばりましたから私達(泣き声)

 

あとは「五葉坂」を上るだけ。あと20分程度。

 

( ´ ¬`) しんどい。

 

ここで休憩しまs。ぐげえ。

dm(だめの略)

 

2017年頃に消費期限の切れた明治アーモンドチョコを食ってエネルギー補給します。

まずい。

 

なにこれ。味がしない。なんていうか、

質感はつやっと丸くて光ってて特に変わりなさそうだが、風味がバサバサで乾燥してて、カカオとアーモンドの死体を食ってるよう。なんだこれは・・・ 不快な・・・ 飲み込みにくい、、、 仲間「いやなんで食べるんですか」 私「エネルギー・・・」「食べます?あげますよ」 仲間「いや いいです」 私「はい。」

 

この時点で持参したポカリ500mlが尽きる。涼しい季節に差し掛かっててよかった。

 

 

◆15:10~15:30 五葉坂~「室堂ビジターセンター」着

最後の登り。これを登ります。

ウエ~~~~( ´ ¬`) 容赦ねえな。

地図で等高線ぎっしりなのを見た通り。最後まで登りがきつい。体力は初期化されたものの、登山歴はそれなりにあるから、こういう時に憶測で余計な期待を持たなくなったのはいいことですね。ウエ~~~。

 

傾斜がある。ついに雑談も絶えてハアハア登るだけ。

ハアハア。

もう労働ですよ。いや違う。

労働とは全く異なる感触。そうだ。これは髪先から心臓まで全部自分の意思と行為で成り立っている行為だ。やめるのも続けるのも自分。誰かに言われたり制度で定められたものではない。つまり無意味。無意味に意味がある。それが登山の正体だ。いいか。社会とは何だ。しんどいな。きちい。

 

腿、ふくらはぎが攣りそうになり、体重をかけるとビキビキしたが、休憩で飲んだポカリが効いてきて収まった。危ない。攣るとマジで動けなくなる。痙攣を抑えるには、基本的にはスポドリやエナドリで補給するしかない。

 

15:26。室堂どこ。見えん。

まだこれ目の前にある緑の丘を登らないといけないのか? いやもうそろそろ着くはず。いや、でもコースタイム的にはそろそろ。いやいやでも楽観視してもっと先だったら気落ちして気力にダメージを食らう。謎の理性のせめぎあいがあります。

気力が尽きるのは体力が減るよりヤバい。残り体力に関係なく動けなくなる。 体力に相関・連動するのが気力である。言わば気力と体力はチャリの前輪後輪のように二輪一体で動きを生み出している。ちくしょう長い。

 

15:26。室堂ビジターセンター着。

うおお。着いた。

 

よかったあああ(´・_・`) いや着くけど。こんな安全な道、歩いてたら絶対着きますけど。着くんですけども。「自分の力でがんばった」感が半端ない。おい初心者か私。

 

最悪の事態として、向こうの丘の中腹までまだ登らないといけないことを想定していたが、手前で済んでよかったあああ。(←今までさんざん苦汁をなめさせられてきた結果、最悪の事態を想定して動く習性が身にしみつきました。)

 

 

15:29 室堂ビジターセンター入口。

立派な建物です。

これはでかい。

 

ここからは山のルールに下界ルールが付与されます。

マスク着用必須。昨日までコロナで閉じてた施設だけに、利用者は感染対策を真面目にやらないと迷惑をかけます。当事者意識が必要です。あつい。登ってきて心拍バクバクなのにマスク付けるとか無茶言わんといてやああ。あついいいい。汗がああああ。

 

マスクに汗がぼたぼたして気持ち悪いいいいい。

 

( ´ ¬`)あああああ。

 

 

アウトドア向いてないやろ私。しってる。

 

 

宿泊手続きには紙に名前や連絡先を書いたりするのが必要で、しかし私は仲間2人とは別に電話予約したので別枠扱いで、紙を自分で書かないといけなくて、それがしんどくてですね、なんかもう手続きがしぬほど面倒で動きたくなかったので、「ああこれはかなり疲労キてるな」と実感した。疲労は全てを面倒臭くさせる。まさかこんなに疲れるとは・・・ さすがはブランク6年間。きつ。がんばれ。

 

 

さあ荷物おいてビジターセンターを散策しましょう。

酒ものむからな  (←本命)

 

 

( ´ - ` )ノ つづく。