nekoSLASH_記録編(日常・登山)

『nekoSLASH』分家。日常、登山、廃墟、珍スポットの記録集。

【登山】R5.9/16-18_南アルプス・甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳①_夜に仙流荘、バスの場所取り、北沢峠へ

登山を10うん年やっていながら、南アルプスのメジャーな名峰「甲斐駒ヶ岳」「仙丈ケ岳」は未経験だった私。というわけでトレーニングがてら、2峰セットで回ってきました。

blog①では、登山口「北沢峠」へアクセスするためのバス乗り場である「仙流荘」に前夜入りし、翌早朝のバスに乗るところまでをレポです。

今回の山行はバスに乗り込むところが最大のヤマ場です。ここが成功すれば山自体は何とかなります。

 

■今回のルート

今回の山行は師匠オタケ氏と2人戦である。気力と体力のあるうちに、アクセスの悪い南アルプスをやっておきたいと私から希望したのだ。今年8月上旬には聖岳をアタックし、精がついている。

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起点となる「仙流荘」は長野県の駒ヶ根市の東、伊那市という山の中にあり、公共交通機関で大阪から適当に出発すると片道13時間かかったりして現実的でない(伊那行き高速バスと地元バスとの接続を計算しましょう)。

そのためレンタカーで行きます。片道5時間も、慣れれば意外といける。むしろ最近は早いとすら感じるようになってきた。荷物を全部放り込んで移動できるのが最高なんよな。

南アルプスが、静岡と富山の中間あたり。説明が雑すぎるな。ええと。安曇野、諏訪湖の少し下である。交通アクセスが良くないので、登山口に行くまでが難題となっている。やはりマイカーしかない。

今回の山行ルートはこちら。

  • ピンク:南アルプス林道バス(仙流荘⇔北沢峠)
  • 青 :甲斐駒ヶ岳 登頂ルート(9/17)
  • 緑 :仙丈ケ岳 登頂ルート(9/18)

これら3本の線が交わる「長衛小屋」テント場を拠点として動くことになる。

 

問題はピンク線の林道バス。

この座席を巡って争奪戦が繰り広げられると聞いて、恐怖していたのだ。

 

林道バスは、麓の「仙流荘」(標高860~870m)からスーパー林道を通って「北沢峠」(標高2032m)へ40分ほどで接続する。もし麓の戸台大橋から北沢峠まで歩くと登り6時間弱、下り5時間を要する。まったく現実的ではない。甲斐駒・仙丈セットがなぜ人気があるのかがよく分かった。標高2000mからの登山開始だなんて、新穂高ロープウェイ × 西穂高、あるいはアルペンルート室堂 × 立山と同じぐらいカジュアルである。百名山を一気に2座クリアできるのも大きい。そら行きますわ。みんないくわ。私もいくわ。はい。

 

だがその分、始発便を狙って登山客が深夜早朝から場所取りをし、バスチケット販売開始の5時が近付くにつれて一気に行列が増えると聞いていた。始発組に乗れなかった場合、バスがまた帰ってくるまで2時間ほど待たされることになる。我々は前泊をキメるので押し負けることはないと思うが・・・ 山よりバスが気になる山行が始まった。

 

 

■9/16(土)19:50_虎渓山PAで夕食

この日は移動日で、「仙流荘」で前泊をキメるだけなのと、オタケ氏が仕事のため夕方からの出発となった。3連休の影響で大阪市内の下道が混んでいたらしく、30~40分遅れて17時過ぎに合流。幸いにもその後の道は一切の渋滞など無し。

 

夜に伊那、高遠、駒ヶ根へ向かって走るのは、それだけで珍な旅というか、非日常の極みだと思うが、登山をやると更にもっとその奥に核心部ができてしまうので、「旅」や「日常」の定義が大きく移項される。計算式が別の種類になるのだ。

 

「現地で夕飯食べるとこ無くなるのでは」「早めにPAで食べといた方が」村上春樹作品における初恋や清純、若さと老い、失われ損なわれたものとは何かの議論をしていたが、飯である。めし。めしが損なわれる可能性が出てきた。ギュォオオオ(アクセルを踏む音

 

先月の「聖岳」往路でも使った「虎渓山PA」、20時閉店に向けて店員さんが完全に片づけをしていた。あぶねえ。

2台ある券売機の1台は電気が消えてた。あぶねえ。

「かんたんなものにしてください」と言われたが素人には何が簡単か分からない。とりあえず丼は美味い。うまいうまい。

 

一応この先にもう少し進むと「恵那峡SA」があり、大きいので食いっぱぐれることはなかった模様。更に奥には「駒ヶ岳SA」、こちらも24時間営業のフードコートなどがあり、詰むことはなかったか。しかし「虎渓山PA」のフードコートの、地元の定食屋みたいなアットホーム感、ご当地メシっぽい品揃えが気に入った。リピっていくか。

 

真夜中の真っ暗な高速をゆく中、遠くで落雷が来ていて、空が光る。後に聞いたら金~土は雨で、蝶ヶ岳に行っていた職場の上司は途中で登るのをやめたらしい。ヒエッ。

 

伊那ICで下りると暗さがいっそう地に沈んでいた。「ルートイン」の建物だけが暗闇に立っていて、車道の両脇が畑なのか民家なのかすら暗すぎて分からなかった。突き当りのパチンコ屋で曲がってからしばらくは幹線道路に出たらしく、看板の乱立する大きな通りを走っていたが、夜2時までやっているCOCO'Sの明かりを見やって山側へと入っていくと、また暗さが増した。元気の出る自販機、みたいな文字が見えて、おっレトロなエロ本ですか?と期待したが、飲料自販機の一角だった。

夜が黒い。車の両側が暗くて黒い。

美和湖を右手に遊歩道を歩くように闇の中を駆けた。同じ方向に向かう車はいない。3連休初日はバス待ちの行列が千人に達した、という投稿を見たが、二日目となるとだいぶ緩和されているだろうと楽観視した。鹿公園の看板が出て来た。千人の鹿人間に囲まれてバスを待つ夢を見よう。上半身が鹿か、下半身が鹿か。前者の知能が不安である。こんな人権のない会話、YouTubeで流せないから私は動画に向いていない。

 

 

■22:30、「仙流荘」駐車場に着

「仙流荘」の施設の隣にバス乗り場と待機場、更に少し先に登山客用の大駐車場がある。出るときに千円の支払いが発生する。

初日の登山者がまだ下山していないので、手前の駐車場は満車だったが、その奥に行くと半分以上は空いていた。バス待ちの列からは離れているが、キャパは意外と余裕である。

バス待ち行列が出来るのが「林道バス営業所」と「仙流荘」の間の敷地で、3列のコーンと場所取りが行われていた。

 

定時ダイヤでは朝5時からチケット販売、5時半の始発発車だが、今回は案の定、少しでも早く客をさばいて回転させるために4:40頃からチケット販売、5時過ぎにはバスの第1陣・10台が客を乗せて順次出発していった。

なお、テント場は「仙流荘」建物の手前側、地図でいうと「湯」の上に体育館のような大きな屋根付き広場があり、そこに勝手に幕営可である。ただ夜通し他の客がウロウロ、ガサガサしていて眠れず、車にスペースがあるなら車中泊も一考であった。

 

今回はクロックスを全面的に活用した。その分、登山靴もしくはクロックスどちらかを運ぶ必要が生じるのだが、登山中は完全デポできる状況だったので、非常に快適だった。これまでの山行では登山靴のみで挑んでいたのだが、快適度が一気に上がった。

 

 

■噂の高山バス・チケット場所取り

さっそくやってますな。日付が変わる前から場所取り。

 

列は3本あって「バス乗車待ち」「チケット購入(キャッシュレス)」「チケット購入(現金)」に分かれている。

ここに最大の罠があった。

説明書きは「チケット購入」の分類だけで、「バス乗車」の列の扱いは書かれていない。

だが地元の暗黙ルールとして、「バス乗車」と「チケット購入」は平行して場所取りして良いことになっている。

 

初見だと「チケットを買って、入手したら”バス乗車”の列に並び直して、乗る」と解釈するところだ。どこにも並び方は書いていないので、我々も実際そうしていたし、普通は絶対そうするだろう。

 

が、夜の3時半、「バス乗車の列の方が多すぎないか」「我々、二人いるんだから、片方はチケット、片方は乗車に分散して並んだ方が良いのでは」とオタケ氏が気付いたのだ。

Webで調べ直すと、2列同時に場所取りをする暗黙ルールについて書かれたblogやX投稿が見つかった。なぜそれを事前にもう少し調べておかなかったのか、、あやうくゼロベースでバス乗車の列に並び直す羽目になるところだった。

 

とにもかくにも、行列が本格化するのが朝4時以降なので、前夜から現地入りしていると、そうしたポカをやってもリカバーが容易です。ただし周辺にコンビニはない。自販機とトイレはあるよ。

 

前夜で、バス乗車に20~30人、チケット販売で10数人の場所取り。まあ楽勝ですね。

 

あとはテント張って寝るだけ。バス営業所の外側カウンターに登山情報の掲示や登山届があるので、しましょう。故・三歩氏(エベレストにて没)も健在です。なぜしんだ(><)

鋸岳(のこぎりだけ)は格が違うようだ。登山地図でも破線のみで構成されている。いみがわからん。ドキドキ。要は甲斐駒頂上からとは逆のルート、横岳~角兵衛沢ノ頭からアプローチすれば良い。実際YAMAPのレポは全部それ。

 

出すもん出したら早くねましょう。

 

仙流荘。地元の富豪の家のように見えるが、山荘風の宿泊施設である。泊なしでも食事と風呂を提供してくれる。下山後なにも考えたくなかったので、ここで両方済ませました。良かったよ(^<^)

 

 

■仙流荘テント場で泊

テニスコートみたいな会場がテント場として開放されている。わあい。これめっちゃ好待遇やんと思ったが、なぜか山小屋のテント場と勝手が違い、周囲の音や振動や灯りがダイレクトに来る。

地面がフラットすぎるせいか、素材のせいか、全然眠れなかった。いや周りがガサガサガサガサ夜通し動き続けてたせいだとは思う。

あと地面が綺麗に見えてめっちゃ靴下に土がついてもうて、テント内が土だらけになったよ。「これテント前回の山行から洗った!?土めっちゃ入ってるねんけど??」「洗ったで」 すんません私のせい。私のせいどす。

 

チケット行列の様子を見たりするため、念のため3時過ぎアラームにして、23時半就寝。

 

全く寝付けない。

なんかみんな夜通し動いてるねんな。計5張ぐらいしかなかったのに、ライトつけて歩き回ってたり、畳む音がしたり・・・

 

ここでの睡眠不足が後に大ダメージとなって影響する。ああう。

 

 

 

■9/17(日)朝3時すぎ、バスの場所取り

(  ╹◡╹)⚡⚡ 寝れるかアホ

 

朝青龍のような語彙になった私はテントの入口をチャーッと開けた。午前3時、アラームが鳴る前から周囲でテントを片付けるバサバサという音、ヘッデンを点けてウロウロと歩き回る時の照らしが五感を襲う。周りがみんな出発してしまうようで落ち着かない。

思っていたより気温が高い。結局、シュラフを下に敷いてクッション代わりにしていた。マットが薄くて頭の位置が定まらない。枕がほしい。

 

外に出た。様子を見に行こう。

列が伸びていた。わざわざ数えてTwitterに記録を残していた。

テン場でわさわさと動き出す人あり。待機列に人が現れ始める。徐々に落ち着かない雰囲気に。

バス待ち:約100人

キャッシュレス券売:約25人

現金券売:約40人

 

つまり午前3時で100人待ちである。バス第一陣(10台フル稼働時)の運搬キャパが270人程度なのでなかなかの数だ。初日はもっと多かったのではないか。

 

偵察から帰って3時半、テントで余裕こいてたらオタケ氏より先述のとおり「手分けして両方の列に並ぼう」と気付きがあり、慌ててバス待ちに場所取り。ふうー。危なすぎる。もうやだ。

 

横になって目を閉じるがろくに眠れない。気休めである。

 

 

■4時半_バス列に並ぶ、チケット購入、5時過ぎ乗車

改めて4時に起床、テント撤収、本格的に列に戻る。

物を置いての場所取りから徐々に人間が並ぶようになってきた。まあ仮眠をとる前泊組以外は直接並ぶわな。

4時半ともなるとバス待ち列は格段に増加、「仙流荘」手前にまで伸びている。

 

置き荷と人間をざっと数えると200人弱は並んでいた。更に列は伸びる。グループ者、カップル、単独行者などまちまちである。こういうとき最小限パーティーは強い。動きが素早くとれるうえにメンバー間で判断ミスを修正、気付きを反映させられる。

他グループからも「前回来た時に朝2時から並んだが、チケット購入とバス待ちを両方同時に場所とりするものと知らなくて損した」という体験談が聞こえてきた。罠すぎるだろこれ。何の試練か。

 

今回まったく登山のこと考えずに来てるけどこれだけメジャーな山だから絶対大丈夫ですよね。いけるいける。  ⇒あとでゲー出るぐらい苦労します。

 

バス側も心得ていて、もう早め早めにスタンバイしている。これは早く乗れそうな気配。なんか思ってたより小さい。補助席込みで27~28人乗り。

 

4:40頃、チケット販売開始。

購入はオタケ氏に委ねた。片道1150円+荷物代220円=計1,370円。これを往復で買っておく。

このあたりから列が動き出し、前に詰めたりしてゆくのだが、荷物を置きっぱなしで不在にしていると、容赦なく抜かされる。4時半頃からは現場に滞在して動向を見ておくのが良い。

 

5時頃、続々とバスが乗客を乗せに来る。わあい。

始発から出し惜しみなく全力で運んでくれるのありがたい。ありがとうございます。バスが頼もしく見える。

3連休ということもあってか、帰路(北沢峠発)の便も、バスが空き次第、随時回しては輸送するとのこと。ここで行列をなした人数がそのまま帰路もまた乗ると思うと恐ろしい。

(※9/18下山時は、最も早い臨時便に乗れたので、混雑度は不明)

 

わざわざバスに乗らないといけないのは、いうまでもなく自然環境保護のためのマイカー規制によるもので、スーパー林道を開発する時の条件だったという。

 

無事にバスに乗れたので、これで勝ちです。後のことは知りません。寝ます。

景色は9割見てない。あまり眠れてもいない。難しいな。うつらうつら。

 

 

■6:00「北沢峠」バス到着 ~6:20「長衛小屋」テント場で場所取り

「北沢峠」に着。これで標高2,000mです。お疲れ様でした。

右が「こもれび山荘」(旧・長衛荘)、左手前がトイレ、左奥がバス待ち場。トイレも山小屋も綺麗です。余裕すぎませんか今回。 ※あとでクソ苦労します。クソもします。

 

少し下って「長衛小屋」(旧・北沢駒仙小屋)テント場まで10~15分。今回の拠点はこちらになります。

( ´ ¬`) うわあ・・・

 

テントめっちゃひしめいてる。住宅事情きつい。

どういうことこれ。現実世界が追いかけてきてるんやけど(怒りと悲しみ)。

 

⇒前日からの登山者がテントだけ置いてアタック中のためです。午後には撤去が相次ぐので心配いりません。

 

「長衛小屋」。かなり立派で新しい。2013年から名前を変えて新築オープンしたとのこと。ここで私の手持ちの地図が2010年版で、かつての「長衛荘」「北沢駒仙小屋」が掲載されていたため、自分の現在地が分からなくなり混乱を来した。地味にこわいミス。

 

テント張れるところあるかな、、、ギチギチなんやけど

テン場の端まで探してやっとスペースを発見。なんで戸建てを見繕うような苦労をこんな山の中で・・・ ※後にみんな下山していっぱい空きが出るので移動できます

 

なんと水が無尽蔵に流れ出ています。しかも飲めるやつ。ワアー。脳裏にちいかわが舞う。アルプス岩稜帯の高地にある山小屋では、今年は深刻な渇水に見舞われているようですが、飲み水が無限湧きですからね。ワアアー。ちいかわが脳に流れます。今回の登山って何なんですかご褒美ですかリゾートですか。※今からクソ苦労します。

 

荷をデポしたらまず「甲斐駒ヶ岳」から倒します。かいこま(略称)の方が時間がかかるらしいので先に倒し、比較的手軽な「仙丈ケ岳」は下山バスの時刻に少しでも早く間に合うよう、明日に回す作戦です。発案者はオタケ氏です。私は「へえ~」「そうなんや~」と売れないパパ活女子のように頷いていただけです、無能🙃 この作戦は結果的に最高の正解でした。下山めっちゃくちゃ苦労した。もうやだ。

 

「荷物デポしといたほうがええで」「今回ぜんぜん楽でしょ、ちょっと負荷かけるぐらいのほうが」「いや~きついと思うで」 もう至る所から死相が出ている私。

 

つづく。甲斐駒戦どうなる(´・_・`)

 

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